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番外編 電車の大遅延

 またも日常会です。興味ない方は飛ばして下さい。電車が遅延するだけ。

 <今日の未明は静岡県西部を中心に雷をともなう非常に激しい雨となるでしょう>

 アルバイトから帰って、テレビをつけると天気予報はそう言っていました。晴れるのは明日の午後からのようです。

(今日の夜中かー、大丈夫かな)




 翌日、朝起きてカーテン開けると大雨が降っています。かなり風も強そうです。

朝6時半、ニュースをつけると速報のテロップが流れます。なんだろう。


交通情報 東海道線は先ほど運転を再開


(電車止まってたんだ、でも動いたから学校あるのかなー)とこのときは軽く考えていました。


 いつものようにお母さんに車で駅まで送って貰います。あれ、人が多いような。

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい、気をつけてよ」


 さっきまで止まってたから人が多いのかな。今日も学校頑張ろう!そう思いながら狭い改札の前まで来ました。

<繰り返し、お客様に列車の運行について情報をお知らせします。東海道線は島田駅構内で発生した落雷による信号トラブルおよび焼津~用宗間で通常より速度を落としている影響で、列車に運休や大幅な遅れが発生しております。上り静岡方面の電車はただいま島田駅に到着しております。お急ぎのところご迷惑をおかけします。下り方面の列車は・・・>


 1時間以上電車が遅れているようです。運行表示が「表示調整中」になっているほどですから相当。ホームに降りると、ホームから今にもあふれそうなほどたくさんの人が電車を待っています。


 しばらく立つと未来からLINEが来ました。

「電車すごい遅れてるじゃん遅刻確定でしょ

沙羅はまだ西焼津?」

「そうだよ、未来は藤枝?」

LINEのスタンプでそう!!と帰ってきました。とりあえず電車の位置を確認した後、スマホで音楽を聴きながらゆっくり待つことにしました。


 30分くらいたってやっとゆっくり313系と211系電車6両がやってきましたが、とんでもない満員電車でした。

(これはちょっと無理かな、次にしよう)


 未来も同じように判断したようです。それからまた20分経ち涼子からLINEが来ました。

「まだ西焼津みたいだけど大丈夫?こっちでタクシー手配する?」

「今日はいつ着くか分かんないよ

あとタクシーは大げさだよ」

「あ、もう先生にスマホ預ける時間だから学校でね」


 時計を見るともう8時10分。朝礼は8時15分なので遅刻確定です。それにしても電車が来ません。いつもは10分くらいで次の電車がくるのに。お母さんも仕事なので送迎は頼めません。ホームを見ると私と同じようにずっと電車を待っている人が何人もいます。


 それから15分。もう聴く音楽も無くなってきた時にやっと次の電車がやってきました。偶然にも6月に入ったばかりの新車、315系電車です。混んでいますが、さっきよりは乗れそうです。ドアが開くと水色のかわいらしい傘を持った未来がいました。

「おはよう、朝なのにもう疲れたー」

「おはよう、やっと西焼津だよ、ここまで10分くらいかかったし電車駅でずっと止まってたんだよ」

「そんなにかかったの!?」

「うーん面倒だよ、今から学校休みにならない?」

「ならないんだろうねー」


 電車は2分くらい駅で止まった後ゆっくり走って行きます。大混雑なので未来と体が密着します。未来は車内が暑いので顔を真っ赤にしていました。

「未来大丈夫?満員電車暑いよね」

「そ、そうだね暑いね」


「そういえば藤枝から静岡へはバスでも行けるのに電車にしたんだね」

 しずてつジャストライン中部国道線(20~30分に1本、所要時間1時間)がありますね。

「・・・そういえばバスも走ってたっけ」まあこの雨と風なら道路も大渋滞でしょうけど。


「そういえば昨日ネトフリで『君の名は。』見たんだけどね」

「へ~そうなんだ!私もテレビで見たことあるよ」涼子は口噛み酒のシーンが苦手だって言ってましたね。

「思ったんだけどもし沙羅があたしと入れ替わったら、どうする?」

・・・えっ、ええええええ!私が未来と入れ替わるって事は、私が未来の体になるってことだよね・・?


 ちょっと妄想してみた。




 目覚まし時計の音で目を覚ました私は違和感に気づく。あれ、私の時計アラームこんな音だったっけ・・・天井はこんな遠かったっけ?

 腕を伸ばすと指が見えた、けど・・・爪が綺麗に整ってて指が細くて、ほんのり日焼けしてる。

「えっ・・・?」

 慌てて起き上がって、綺麗でかわいらしい見知らぬ部屋の鏡の前に呆然と立ち尽くす。目線が私よりずっと高くなってて裸眼なのに目がよく見えて、胸が小さくてちょっと体が軽いような気がして、肌は日焼けしていてピンクでチェック柄の可愛いパジャマを着ている長い茶髪の女の子。

 

「え・・・?えええええええ!?!?」なんで私、未来になってるの!?すっごい可愛い!!

 ビックリしすぎて足の小指を鏡にぶつける。痛いけど目は覚めない。夢じゃないの!?心臓はドクドクして足が震えちゃう。





 ・・・自分で考えたけど恥ずかしい妄想!で、どうしようかな・・・?

「激しい運動したいな!!」

「は、激しい運動!?」え!?顔真っ赤にして、そんなに驚くことなの!?

「そうだよ、未来の体力を手に入れて走ったり泳いだり跳んだり思い切りいつもの私じゃすぐ疲れちゃう激しく運動してみたい!!って思ったんだけど・・・どうかしたの?」

「あー、なんでもないなんでもない!!」


「・・・未来は私の体に入って、あの、どうするの?」

「うんとね、あたしはいろいろ沙羅の体でおしゃれしたいな!!沙羅すごく可愛いんだから、髪型とか服とかいろいろアレンジしたい!!」

「えっ・・・か、可愛い!?」

私、可愛いのかな?どうなんだろう、こんな、やせで暗い地味眼鏡が果たして可愛いのかな?でも未来がせっかくそう言ってくれてるんだから素直に受け取った方がいいかな?


「そうだ、入れ替わったときのために練習しよ、あたしが沙羅の真似するから沙羅はあたしになって自己紹介して!!」絶対役に立たない練習だけど・・・未来の真似したら少しは私もいい子になれるかな。でも、未来の真似ってどうしたらいいのかな。

「まずはあたしから行くね、ごほん・・・ええっと、あたしは内山沙羅です。うーんと、可愛い可愛い高校2年生で絵描くのがすっごい好きです・・・どう?」


「私、未来みたいにそんな可愛くないし元気ないけどね」

「か、可愛い・・・恥ずかしいなあ、まったく沙羅は相変わらず自己肯定感低いんだからー、次は沙羅の番だよ」

「えっっと、うん!!・・・やっほー(ちっちゃく手振る)、私は鈴木未来です!!何だっけ・・・と、とっても運動が得意で、おしゃれ好きで、かか、可愛いよー」はぁ、はぁ・・・

「おー!!・・・可愛い!!」可愛いなんて、やっぱり言われると恥ずかしいよー!


「な、なんか暑いね」

「あたしも暑いよー、でも以外とそこまでじゃない気がするー」

「新型の電車だから、AIが冷房を操作してるんだよ」

「ここにもAIかー・・・」


 10分くらいで焼津に着きました。電車に大勢の人が乗ってきて大分苦しくなってきました。そして淡いピンクの傘を持った楓も乗ってきました。ちなみに私の傘は普通のビニール傘、ついでに涼子の傘は黒です。

「「おはよー」」

「おはようございます~」

「それにしてもすごい混んでるし電車ゆっくりだよね」と未来。


<お客様にお知らせします。この電車はこの先のトンネル内で水がたまっているため大幅に速度を落として走行します、信号が変わり次第発車となります>


「この満員電車をあと何分耐えればいいんでしょうね~」

「うー、苦しい」

 電車はぎゅうぎゅうで3人の体が完全にくっついています。この前の満員電車を思い出しますね。


「そうだ、なんか一緒に見ようよ」

 未来はスマホのTVerの画面を見せます「アニメくらいなら1本見られそうだね」

「でも私のイヤホン有線のやつだから未来のIphoneと繋げられないよ」

「大丈夫、二人でAirpods分けて使おっ」と未来。やっぱり優しいな!

「大丈夫ですよ~、楓もAirpods持ってますから~」


 イヤホンを繋げてアニメを見ます。電車内でのアニメ鑑賞会です。



<25分後>

「いやー面白かった」と未来。

「キャンプいきたくなりますね~」と楓は羨ましそうに言いました。

「みんなでキャンプも行きたいね」

「さて今どこってまだ焼津駅!?」

 相変わらずまだ進んでいませんでした。なのでもう一本見ます。いつの間にか電車はゆっくり走り出しています。


 列車はトンネルをすごいゆっくり走ります。

「見て、線路に水がたまってるよ!!」

 未来の言うとおり、窓の外を見るとトンネルの中が完全に水に浸かっているのがうっすら見えました。

「いやー、よくこれで電車走ってるね」

「凄いですね本当に~」


 楓の言うとおりです。よくこんな状態で電車を走らせている物だと、そのいろんな方々の努力には驚くばかりです。


 さらに5分後、ようやくトンネルを出て次の用宗駅に着きました。時間的にもう1時間目も終わっています。ダイヤ乱れのせいか、いつもは電車が止まっていない一番線にも電車が止まっていました。


「うわー大遅刻だ」

「初めての遅刻ですね~」

「私は4時間寝坊で遅刻したことあるよ」

「何の自慢ですか~それっっ」と呆れる楓。



 電車は安倍川駅を過ぎ、安倍川の橋をゆっくり渡ります。

「うわー川の水すごいね」いつもは広いのに水はあんまり流れてませんが、今日は端から端まで大雨のせいで水でいっぱい。思わず窓まで顔を近づけたその時、反対から貨物列車が突然登場。しかも私のすぐ横でEF210電気機関車が大きな警笛を鳴らしました。

「ひゃん!!」

 すごいびっくりしてよく分からない大声が出ます。周りの人に注目されてすっごい恥ずかしいです。

「大丈夫だよ、皆あの子可愛いって思ってくれてるから」と未来は言います。本当かな・・・しれっと、また可愛いとか言わないでー!顔はもう真っ赤です。


<この電車は熱海行きですが、現在大幅に列車が遅れているため行先を東静岡に変更します 東静岡より先、富士・沼津方面ご利用のお客様は乗換が必要となります お客様には・・・>


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「えー」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 この電車に乗るほとんどの人がまったく同じ声を出しました。


「いよいよいつ着くか分からなくなりましたねぇ~」と楓。・・・東静岡?あそこって電車を折り返す設備とかあったかな?東静岡駅近くの車庫と言い間違えたのかな。


<静岡ー静岡です。車内にお忘れ物なさいませんようご注意下さい。本日は列車が遅れましてご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします、この列車は行先を変更し東静岡行きとなります>


 そしてやっと静岡駅です。

「やっと静岡だー」

「やっと解放されました~」

「疲れた、3時間くらい立ちっぱなしだったんじゃ」

「あとはあっちの方へ行く電車を待つだけだね」

 そして本当にあの電車、東静岡止まりなんだ。行先が対応してないから表示が「普通」だけになってて珍しい。もしかして草薙駅の中線で折り返すのかな?確かに配線的には出来るけど、あそこって折り返せるんだ。新発見です。


「まあすぐ電車来るでしょ」



と思っていた時期が私たちにもありました。




<30分後>

「まだ来ない」

「もうアニメ3つ目が終わっちゃうよ」

「・・・おなか空いてきてしょうがないですねっ~」

「確かにもう疲れたしおなか空いてきたね」

「あたし、コンビニでお菓子買ってくるね、ついでにトイレも」

「楓もお手洗い行ってきますです~」


 久しぶりに一人になりました。相変わらず小雨がパラパラ降り続いています。

<繰り返しお客様にお知らせします。現在東海道線は・・・>と放送だけが流れています。


「ただいまー、はいうまい棒」

「ありがとう、うーんおいしい!」

 モグモグ「おいしー」

「おいしいです~」


「そういえば未来の腕のそこ、なんか赤くない?」ちょっと心配になって声かけます。

「これは昨日蚊に刺されちゃったんだよ、O型の血なんて美味しくないのに」

「未来ってO型なんだ、私はA型だよ」

「あ、楓もA型です!」

「じゃあ、もしあたしが蚊になったら二人の血吸うよ」

「きたら叩き潰してあげますね~」

「容赦ないなー!!」

「私は心の中で『ごめんなさい!』って言いながらかな・・・」

「結局あたしは殺られるのね!」とかくだらない話をずっとやること何分立ったことでしょう。



<おまたせしました、まもなく1番線に遅れておりました普通列車 東田子の浦行きが・・・>

「やっときたー」と未来は呟きます。313系電車の8000番台がゆっくりとやってきました。

「早く学校に着きたい・・・」

「東田子の浦行きの電車なんてありましたっけ~」

「まあ方向的には合ってるから大丈夫じゃない?」


 混んだ普通列車に乗って草薙駅に着きました。草薙駅の中線にはさっき乗ってた電車がいました。私の予想は当たったようです。

「あれ、上の表示が『次は天竜川』になってますね~?」天竜川駅は浜松から東に二つ隣の駅です。

「とうとう表示もおかしくなったか」と未来。


 <聖葉学園の生徒の皆さん、学校には連絡してありますので遅延証明書は受け取らずに改札へお進み下さい>

 遅延証明書に並ぶ行列の横をささっと通過。後ろを見るとおじさんが呆然とホワイトボードの前に立っていて妙に芸術的でした。

「次の静岡の方の電車、行先書いてないよ!」と未来。運行表示の時間の横の行先欄が空欄になっています。

「行先をxとしてるんですね~」数学?


「きっと駅員さんがダーツで行先を決めるんだね!」

「違いますよ~、サイコロじゃないですか~?」

 日本列島ダーツの旅でもサイコロの旅でもないんですよ。


「それはともかく雨やんでるね」外を確認する私。空は曇っていますが、遠くでわずかに晴れ間が見えます。

「よかったですね~」

 草薙駅北口のロータリーに出ました。ちょっとベンチで休憩。

「あ、沙羅のバッグ濡れてるから拭くよ!」

「え、後で自分でやるよ」

「いいからいいから遠慮しないで」

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて・・・」

 未来が家から持たされたというタオルで拭いて貰いました。


ガラガラと教室の後ろのドアを開けます。

「お、遅延?」

「はい、そうです~」と楓は職員室にはもう行った旨を告げます。


「おはよう、遅かったね」と涼子とやっと会えました。いつもは約30分の登校が、今日は3時間以上です。

「おはよう、疲れたーもう3時間目なんだね」

「本当に大変でしたね~」

「もうこりごりだね」

未来は・・・もう居眠りしていました。早い。そして寝顔すごく可愛いな。


 その後は本当に疲れていたし、空もすっかり晴れて暖かかったので、私も5時間目に居眠りしてしまいました。ごめんなさい居眠りは今回だけですから!

今回のエピソードは2022年9月8日(島田駅の信号に落雷)と2024年9月(台風によって発生したトンネル水没による大幅徐行)の電車の遅れを組み合わせております。

 次回はモータリゼーションがなかったら、です。

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