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枢軸国がWW2で勝利した世界線1

 目を開けるとそこにはー


特に何も変わらないいつもの景色がありました。


「あれ?何も変わってなくない!?」




 上を走る新幹線の高架も向こうの高層マンション銀行のビルも変化はないし、横を私たちと同じ制服の高校生がいつもと同じように歩いています。


 おかしいなと思ってタブレットを見ると「元の世界線に戻る」とだけ表示されています。


 それ以外は普通の、何も変わらない全部いつも通りの・・・あれ?




「なんだ、結局変なタブレットだっただけ?」


「あ、あれを見てく、下さい!!!!」


 そこには点検や工事のため、新幹線の高架に昇るための階段があり、注意書きもあるのですが、こう書

いてありました。




立入禁止

()()()()線路内に立入ると法律により罰せられます。異常を発見された方

は、下記の箇所へご連絡願います。JR東海


「弾丸列車??」


「・・・弾丸列車っていうのは戦前に計画された高速鉄道の計画で東京から下関、将来的には対馬海峡にトンネルを掘って満鉄や中国まで繋げる予定だったんです!史実では1943年に戦争の悪化で一度在来線に転用された用宗~焼津間の日本坂トンネルを除いて工事が中止されて、戦後の新幹線に用地などが受け継がれることになったはずで・・・あ、その、ごめんなさい」

挿絵(By みてみん)


 興奮して思わずオタク特有の早口というのになってしまいました。恥ずかしい!!私の話なんて面白くないよね。


「えなんで何で謝るの?」

「こんなこと興味ない・・・ですよね」

「そんなことないよ!!沙羅が楽しそうに言ってるの見るとこっちも楽しいよ!」興味ありげに言うそういう未来の笑顔はどこかで見たことある気もして、嬉しくなります。

「え、あの、本当・・・ですか?」

「もちろん!あれ?てことは・・・」


「ほ、本当に移動したのかも?」





 あわてて私は歴史総合の教科書を取り出して、後ろに載っている年表を見てみます。


昭和16年 2601年12月 ハワイ真珠湾攻撃。大東亜戦争(~45)


「大東亜戦争」や皇紀の表記にまず驚いた後に、下を見てみると


昭和20年 2604年8月 アメリカシアトルに原子爆弾投下。サンフランシスコ上陸作戦決行(アメリカへ

上陸した事実を作りアメリカを揺さぶるため)。アメリカがミンスク宣言受託し大東亜戦争終結。




 鈴木さんも私の教科書をのぞき込んで「ホ、ホントに勝ってる・・・ドッキリとかじゃなかったんだ」

と呆然としています。


「・・・2604年?」


「・・・これはえっと皇紀っていいます。最初の神武天皇が即位されたとされる年から数えていて、今は・・・たぶん2684年になると思います・・・」




「そそれにしても・・・ど、どうします?」


「とりあえず1日この世界にいてみようよ、面白そうだし」と鈴木さんは言いました。


「それにしても沙羅、すごい詳しいね」


「れれれ、歴史好きだからです、かね」


「いいなー、歴史全然わかんないから羨ましい」


「あ、あと沙羅」


「はい」


「敬語じゃなくていいよ、呼び方も未来って呼んで!」


「そ、そうだね、み、未来・・・?こんな感じでいいのかな・・・」


「そーいう感じ!」


 鈴木さん、ううん、未来はにっこり笑いました。やっぱり可愛いな。




 「と、とりあえず、か、帰る?」


「そうだね」


 二人でそのまま駅へ向かいました。


駅の改札はいつもと変わりません。自動改札機が並んで、大学生や高校生がたくさんいます。

 ただ、「そうだ南洋へ行こう」「樺太、北海道の5月の臨時列車は時刻表を」といったポスターが貼っ

てあってありました。


 未来の後について定期をピッとして・・・

『ピンポーン!!もう一度、触れてください』

「あ、あれ」

 今私が持っているのは確かに定期券のはずと思って手元を見るとポケットティッシュでした。未来と一緒だからってテンパりすぎだよ!!どうやったらそんな間違い出来るの私!未来がぷるぷる笑いこらえてて、穴があったら入りたいくらいでした。



 駅のホームにつくと未来が突然「え?あれ!?」と困惑。


「ど、どうしたの?」


「あたしのスマホが別のになってる、確かにさっきまで私の白いIphoneだったのに」

 確かにiphoneとは少し違うスマホです。


「え、私のAndroidは変わってない・・・も、もしかしてこの世界にはIphoneが無いの?」


「えぇそんなことある!?家とかも別の場所になってたりしない!?」



あわてて二人で学生証やらを確認しましたが、幸い学校もクラスも家の場所も携帯の暗証番号も同じでし

た。良かった。

 ちなみに附属小学校だけ附属国民学校に変更されていました。


「あ、電車来た」


 電車はいつもと変わらない211系。とりあえず写真をパシャリ。

「なんで写真撮ったの?」

「こ、この電車は来年にはいなくなっちゃうから、当たり前に走ってる今のうちにと思って・・・」

「へー」

 最初座ることはできなかったけど、二つ先の静岡駅で乗客が一気に入れ替わったので二人で座れました。



「それにしてもいつもの日本ぽいよね、漢字も今のやつだし文字も左から書いてある」


 意外と思われるかもしれませんが戦時中の1942年の時点で文部省により「横書統一案要綱」が出て横書きは左からで統一すべきと言っているんですよね(右翼や保守層が反対したけど)。また戦前から漢字簡略化の動きもあったんですよ。「私」も「和多志」のまま・・・それはとんでもないデマですよ!!GHQはそんなことしてません!


「で、でもあそこに陸軍軍人募集の広告があるから、やっぱり違うんだよね」


「このタブレットはあたしが持ってるよ、そうだ連絡を取り合えるようにLINE交換しようよ」


「えぇ!?」


 お母さんとクラスLINE、涼子以外だと初めてのLINE交換でした。



 この世界のネットニュースを二人で確認してみました。


「満州国、地方選挙で極右政党が躍進」「釜山(ふざん)府のビルで火災」「ドイツによるポーランド

侵攻最新情報」「帝国海軍軍人が悪ふざけのSNS投稿、停職処分」「住友財閥人事」・・・


「やっぱり全然違うような、やってることが同じような・・・」と未来。


 あっという間に15分経過してしまいました。





 <まもなく西焼津です。出口は左側、ドアから手を離してお待ちください>


「あ、私はもう降りなきゃ。・・・そうだ、このことは二人だけの秘密にしないと」


「え、なんでよ?」


 未来が不思議そうにしました。そのほっぺに人差し指当てる動作可愛い!


「だ、だって日本が負けた世界から来ましたなんて言っても普通誰も信じないかなって」


「そうだね」

 

 少し納得した顔で未来が答えると同時に電車のドアが開きました。





「じゃあバイバイ!!」


「バ、バイバイ」


 少し顔が赤くなりながら電車を降りました。未来は手を振って送ってくれます。



 未来と緊張して凄いことがあったけど話せて良かったです。うーん、でも最初に話しかけるとこはもうちょっとどうにかならなかったかなとか、喋ってるの気持ち悪くなかったかなとか一人で反省。


(家についたら自分の部屋で歴史の教科書をじっくり見てみよう、その前にバイトだけど)

弾丸列車とは↓

https://tanken.com/dangan.html「幻の新幹線計画」弾丸列車(1)

 このソース内の大東亜縦貫鉄道や中央亜細亜横断鉄道も次回にちらっと登場します。

https://trafficnews.jp/post/88620

戦前にもあった新幹線計画「弾丸列車」工事の名残を東海道に訪ねてみた

テーマ別歴史資料検索ナビ アジ歴グロッサリーインターネット特別展 公文書に見る戦時と戦後

httpa://www.jacer.go.jp/glossary/tochikiko-henten/qa/qa23.html


 次回はこの世界のざっくりとした年表です。

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