静岡が大阪のようになった世界線2
再び地下鉄八幡筋線に乗って「ニシ」の方へと向かいます。その中間あたりにあるのが銀座です。大阪の心斎橋ポジションにあたり、三越や高島屋、PARCOなどの有名デパートやアップルストアが立地しています。それにしても17時を回ったからか、地下鉄はぎゅうぎゅうです。今回はちゃんと6号車の女性専用車に乗っていますので、痴漢はひとまず安心。
「調べたけどJRも女性専用車あるって」
「よかった、わざわざ調べてくれたの!?ありがとう!!」
未来のためなら当然です。
地下鉄中原駅に到着、下車です。中原駅はJR静岡駅や世界初のターミナルデパートである静急電鉄のデパートや津岡電鉄の駅と繋がっており、静岡ダンジョンと呼ばれる広大な地下街が広がっています。とりあえず地上に出てみましょう。
「「すごい大都会!!」」
エスカレーターを昇ってきたここは静岡駅横の八幡筋をまたぐ大きな歩道橋。目の前をJRの電車が行き交っており、下の横断歩道を人がたくさん歩いています。そして横には静急村と呼ばれる世界初のターミナルデパートのビルと静急中原駅が建っていて、左には大きな屋根のついたJR静岡駅があります。後ろにも前にも大きな高層ビルが立ち並んでいます。
「大阪ってビル群のイメージってないけど、凄いね!(ここ静岡だけど)」と未来は感動。
「さすが日本二番目の都市、商都だね」
完全に大阪観光の気分ですが、静岡なんですよねここ。
駅の西口に出ると再開発真っ盛りの場所が見えます。なかにしと呼ばれていて、地下ではJR南中央線の新しい駅(仮称:西中原)の工事真っ最中。そして地上には巨大な都市公園のなかにし公園があります。ここから安倍川を渡ると新幹線の乗換駅、新静岡駅があります(静鉄じゃないよ)。
「うわー、すごい芝生!!」
未来は「ゴローン」と擬音がつきそうなほど思いっきり寝転がりました。大都会の駅前なのにすごいですね。まるでニューヨークの・・・なんて名前だったっけ。まあいっか、そんな公園に似てます。近くでは家族連れの観光客が休んでて、子どもは噴水ではしゃいでいます。なんて平和な風景なんでしょうか。
「沙羅もほら、気持ちいいよー!」
ここって寝ていいのかなとか周りを見渡したらあっちこっちで寝転がってる人が居ました。ならいいかな・・・
私も静かに寝てみました。
「・・・ほんとだ、気持ちいいね」
「ね、そうでしょそうでしょ」
二人でしばらく足の疲れを癒やしながらボーッとしていました。空を眺めているとビルと上空を飛ぶ飛行機がよく見えます。私達のことを端から見れば青春真っ盛りのJK二人組でしょう。やっぱり隣に未来がいるとどことなく安心しますね。でも周りの人に「あっちの子はすっごく可愛いけど眼鏡は何様?あんなブスのくせして」とか思われてるんじゃないかな・・・大丈夫かな。私なんかが未来の隣にいていいのかな・・・飛行機はどんどん視界の端に消えていきます。
それから何分たったでしょうか。
「沙羅、沙羅、おーい」気づくと私のすぐ、本当にくっつきそうなくらい近くに未来の顔が。
「・・・ひゃっ!!!え、あのあの、ど、どうしたの?」すっごい可愛い!!ドキドキしちゃいます。
「やっと気づいたーそろそろ行こうよ、目開けてるのに全然反応しないんだもん」
私はたまにぼーっとして全然気づいてないことがあるのです。どうにかこういうとこも直したいな・・・
「気持ちいいけど・・・そうだね、よっこいしょういち」
「沙羅、おばあちゃんみたいに立ち上がるね、可愛い!!」
「か、可愛い要素あったかな・・・」
「わー、あのビル変わってるね!!」そこには二つのビルがてっぺんで繋がった構造をしています。
「あれは梅田・・・この世界だと中原スカイビルだね」
こんなすごい建物を作れるなんて、日本の土木のすごさを思い知らされます。
静急中原駅の改札までやってきました。JRではなく、私は私鉄で帰るんですね。そして未来とはここでお別れっぽい。
「うわー改札広いね、どこが焼津方面?」
「焼津方面は7・8・9号線なんだって、じゃあバイバイ!!」
「バイバーイ!!!」未来、迷わずに帰れるかな?
スマホでしっかり確認して電車に乗り込みます。
私は静急島田線の普通列車に乗って焼津市に帰るのでした。焼津市の三ヶ名駅で降りると焼津市は人口も元の3倍くらい増えていました。静岡大学や静岡学院大や東海大のキャンパスもあります。三ヶ名駅周辺には西静岡健康医療都市と呼ばれ国立循環器病研究センターなど病院街があります。ここから電車で更に進むと家山歌劇団など静岡急行電鉄の開発地になります。また未来が住む藤枝も政令指定都市で80万人の人口を抱えています。
帰る途中にはJRの踏切があります。既に3本電車が通過していますが全然空きません。開かずの踏切ですね。
<カンカンカンカンカンカンカン>
「まだ電車くるんだ」
ところでこの世界の大阪はどうなってるのかな?調べてみましょう。
西京都こと大阪の人口は1600万人で、どこへも比較的行きやすい大阪は一極集中が東京以上に加速しています。ディズニーランドや生駒スカイツリーがある大都市です。官庁街は中之島、商業は心斎橋で若者の街は京橋や西九条、近年は鶴橋もです。兵庫県にはHYOGOMXというテレビ局が人気です。神戸ハーバーランドや西大寺、泉佐野に高層ビルが並ぶ新都心ができています。いろんなアニメや漫画の舞台も、もちろん西京都です。西京には混雑が酷すぎて新快速は誕生せず、JRは阪和線や大和路線、大手私鉄もかなり長く複々線化されています。
福井や徳島など関西地方周辺は新幹線の開業で大きく発展しますが(山陰にはミニ新幹線が開通)、関東地方は「静岡が首都だったら」よりも過疎化しています。逆に仙台市は新幹線の終着点としてちょっとだけ発展しています。この世界の日本は全体的に政治と文化・経済が非常に密接していて庶民的で開放的な感じになっています。
家に着いたのでテレビをつけてみましょう。3番にサンテレビという謎のテレビ局がありますし、日本テレビじゃなくて読売テレビで4じゃなくて10番!もちろんテレ東系列もあります。普段みないテレビって新鮮ですね。
翌日です!!さっそく静岡万博の会場に向かいます。LINEによると朝9時に地下鉄中原駅の中央改札前で待ち合わせ。
今日はJRで行ってみようかな。JRの駅のコンビニはベルマートではなくセブンイレブンがありました。乗ったJRの電車は各駅停車富士行きです。富士は現実での神戸のように中華街やポートタワー、それから東海国際空港があります。ちなみに今日は皆制服です。
「未来おはよう!!」
あれ、なんでここに未来がいるんだろう?
「お、おはよー!!」未来はなんだか泣きそうです。
「え、急にどうしたの」
「早めに行って昨日の公園でのんびりしようと思ったのになかにし改札?とか津急電鉄の改札?とか南中原駅とかあって迷子になっちゃってー、せっかく一番乗りしようと思ったのにー」
「あー、まあ複雑だもんね、でも未来落ち着いて聞いて」
「え?」
「ここはJR西脇駅、未来は静岡駅から一駅分歩いてるの」
「えー!!!???」
私も驚きましたよ。大阪?名物、立体道路制度を活用して作られた高速道路の出口がビルを貫通してるところを見ようとこの駅で降りたら改札の前に未来がいるんですもん。
「じゃあ中原駅行こうか」
「うん、やっぱり私は沙羅と一緒にいるのが一番!!」
可愛い!!未来が私に頼ってくれるなんて、もっと役に立つよう頑張らなきゃ!!
それにしても未来に対して最近『可愛い』しか思ってないな。私は未来の全肯定botにでもなったのでしょうか。まあ可愛いのは事実なので何の問題もないですね。
岡吉高速道路の出口がビルを貫通するTKPゲートタワービルを見たら、人が多くて複雑な「中原ダンジョン」に潜入です。しかし地上の地図を頭の中にイメージして、現在位置と集合場所を把握して、その方向に案内通り進んでいけば簡単です。
「おはよー」「おはようございます~」
「おっはよう!!」「おはよう!」
ほら着いた。そこにいたのは涼子のお母さん。
「え、なんで涼子のお母さんなの?」
「実は万博協会のスタッフの一人なの、お母さんに万博の工事現場見たいって言ったらあっさり許可されちゃった」
社長の妻自ら!?お偉いさん・・・なんだよね雰囲気0だけど。服もガイドさんって感じだし。まあ涼子も金持ち娘感は0ですけど。そこが涼子のいいところです。
「じゃあ涼子のお友達が揃ったから、さっそく行こーう!!今日は要人でもないし堅苦しい言葉使わなくていいからお母さん嬉しいわー」
「お、お母さん恥ずかしいからやめて!」
こんな照れてる涼子初めて見た。涼子のお母さんってこんなキャラだったんだ。
さて八幡筋線で移動して乗換です。ここも万博にあわせてリニューアルされています。
「さてちょうど到着した電車が・・・」
そこに先頭がとんがった変わったデザインの、未来のような新型電車がやってきました。
万博会場最寄り路線である静岡メトロ中央線の最新車両、400系です。
車内も黒くておしゃれです。座席が一つ一つ独立して緑と青に塗られていたり、車椅子の乗車位置が分かりやすいのも良いところです。きれいな画面もついています。地下鉄は地上に出て、高速道路と併走しながら高架線を走り出しました。
ちなみに万博へは、この地下鉄以外にもJRゆめ咲線の終点から予約が必要なバス、全国から高速バス、さらには水素船などでアクセスできます。自家用車の乗り入れは駄目です。代わりに周辺の駐車場からバスに乗るというルートもあります。事前予約制の駐輪場もあります。
「そういえば沙羅、万博って結局なんなのかな?」
「万博は万国博覧会の略で、世界の国々が様々なものを集めて展示するっていうイベントだよ、最初はそれぞれの国が国内のものを展示してやってたんだけど、国同士でもやろうってなって1851年にロンドンで第1回の博覧会が開催されたんだよ、2000年以降は5年に一度開催されてるね」
「日本でも昔やったことあるの?」
「1940年に東京の晴海・豊洲で万博をやろうとしたけど戦争で中止になっちゃってそのリベンジで・・・」
1970年3月15日から9月13日の183日間にわたって、大阪の千里丘陵で開催された東アジア初の万博である「日本万国博覧会」、通称大阪万博が開催されたよ。東京ドーム35個以上の面積で開催され、6000万人以上が来場したんだって。テーマは『人類の進歩と調和』だよ。
「あ、太陽の塔・・・だっけ?とかは聞いたことある!6000万人なんてすごいねー、他には何があったの?」
「アメリカの『月の石』が有名だね、後は動く歩道とかテレビ電話や温水洗浄便座に携帯電話、人間洗濯機とかが有名だよ!」
「へえ~、今は普通なのもいっぱい!!」携帯電話を感慨深そうに見つめる未来。
「ちなみに東海道新幹線が16両になったのもこのときだよ、他にも北大阪急行電鉄が・・・」
「沙羅、他には万博ってあるの?聞きたい!!」と未来は目をキラキラにして聞いてきます。しょうがないな~
1975年7月20日から1月18日までの6ヶ月にわたって、沖縄の日本本土復帰記念事業として、北部で「沖縄海洋国際博覧会」が『海ー望ましいその未来』をテーマに開催されたよ。来場者数は約350万人。
「あんまり聞いたことないね」
「ちなみに会場だったとこは今修学旅行で行く予定の美ら海水族館があるよ、ここのメイン展示物はアクアポリスっていう海上都市なんだよ!」
「海上都市!?すごいねー」
1985年3月17日から9月16日の184日間にわたって、茨城県の筑波山麓に広がる筑波研究学園都市で「国際科学技術博覧会」通称「科学万博」が開催されたよ。来場者数は約2000万人。テーマは『人間・居住・環境と科学技術』だよ。
「なんで東京じゃなくて茨城でやったの?」
「このときのつくばは研究機関や大学をまとめて大きな街を作る、『筑波研究学園都市』を作ってたから知名度アップや民間企業の誘致のために考え出されたんだって」
「ふーん、確かにそんな施設がいっぱいあるなら科学にぴったりだねー、何が展示されたの?」
「リニアモーターカーや立体映像、巨大なテレビに都市ガスの燃料電池なんかが有名になったんだよ!ちなみにここの万博キャラクターはコスモ星丸っていうんだよ」
「わ、ちょっと可愛いかも・・・」ミャクミャクに通じるモノがありますね。
1990年4月1日から9月30日の18日間にわたって、大阪の鶴見緑地で国際園芸博覧会として開催されたのが「国際花と緑の博覧会」通称「花の万博」だよ。来場者数は約2312万人で、現金の忘れ物総額は7338万円。テーマは『自然と人間との共生』。世界の植物を展示した『世界の庭』やSL義経が有名なんだって。
「国際ー園芸博覧会??園芸専門なの?」明らかに混乱してる未来。
「普通の万博は国際博覧会条約(BIE)が認定するんだけど、花博はオランダの国際園芸協会が認定する博覧会なんだよ、2027年には横浜の上瀬谷通信施設跡で開催する予定なんだって」
「全然知らなかった!そっちも行ってみたいな、園芸なんだからお花畑とかもいっぱいあるのかな」
「そう、この花博では世界の花が一堂に会してたんだって」
2005年3月25日から9月25日の185日間にわたって愛知県の瀬戸・長久手で開催されたのが「愛・地球博」通称「愛知万博」で21世紀最初の博覧会だよ!来場者数は2200万人。テーマは「自然の叡智」。
ロボットのショーや氷漬けのマンモス、IMTSとかが展示されたのが有名だよ、地味なのだとAEDの普及のきっかけになったのもこの万博。
「あたし達の生まれる2年前なんだね、行ってみたかったなー」
「キャタクターはモリゾーとキッコロだよ」
「なんかEテレで見たことある気がする!」
「そろそろ終点のコスモスクエア駅ですよー、こっから先は線路まだ開通してないからバスに乗りかえだよー」地下鉄の開業は来年2月の予定だそうです。地下鉄の駅を出るとバスが止まっています。
「あれ、バス結構人乗るみたいですけど・・・?」
「この方々が今日、本来案内してる方々で、私達はおまけですよー」
なんだか、すっごいおじさんの視線を感じる・・・まあ、こんなとこにJKいたらさすがに見ちゃうかな、私以外皆可愛いし・・・
マイクロバスでトンネルを抜けると大きなクレーンがいくつも伸びた場所が見えてきました。そして手前に派手な施設があります。
この静岡万博、場所がこの世界では違うだけでほぼ大阪・関西万博なんですよね。「命輝く未来社会のデザイン」をテーマに4月13日から10月13日まで開催されます。もちろんキャラクターも現実と変わらないので安心してください。
「あ、あれ遊園地!?」
「・・・清掃工場と下水処理場だね」有名な外国のデザイナーが作ったんですよね。バブルの残り香を感じます。
「会場では自動運転や走行中に充電できるバスが走る予定ですよー」
コンテナトラックやダンプカーが行き交う道路を抜けて、メガソーラーに囲まれた(万博の電力は全て再生可能エネルギーらしいです)広い駐車場につきました。バスを降りて、ヘルメットを被ったらここからは歩きです。
「まずは工事中の地下鉄の駅を見に行きましょう!」
地下鉄中央線、この区間だけは清水港テクノポート線という名前ですがそんな事知ってるのは関係者やマニアくらいなものです。関係者用の北口から入ると駅の設備はほとんど完成していて、窓口の取り付け準備が進んでいました。通路も階段もすっごく広くて、たくさんの人を受け入れる地盤が整っています。コンコースには世界最大級の壁面LEDビジョンも付けられるんだそうです。ホームに降りると線路や設備もだいぶ完成していました。それから混雑や大音量にストレスを感じやすい方が少し安らげるようなカームダウン・クールダウンスペースなんかも整備されるそうです。このスペースが学校にあったら私も使うのにな・・・
「ほとんど出来てるんだ」
「開業は来年の1月ですからね!」
万博の工事現場は東ゲートから入ります。ちょうど大きな屋根を作っているところでした。ここにはコインロッカーや金属探知機、荷物検査の機械が並ぶ予定だとか。入場は顔認証です。万博の中は全面キャッシュレスで、また大型の荷物は持ち込めません。本番は人でいっぱいになるんだろうな。
さっそく足場に囲まれた大きな建造物が見えます。まだコンクリートやアスファルトで舗装されていないため、土煙が立ちこめます。
「ヘルメット被って歩くとか小学校以来だなー」と涼子。
「小学校~?」と楓が頭に?を浮かべます。
「え、小学校に登校するときはランドセルと横断バック、ヘルメットが必須でしょ?」
「静岡県内の小学校で登下校時ヘルメット着用が求められているのは33.4%(2022年、静岡理工大学調べ)なので結構当たり前・・・?」
「え、静岡は県じゃなくて府でしょ」と涼子に訂正されてしまいました。
「あ、間違えちゃった」(危ない危ない 今は静岡府だった)
「あ、これが静岡万博のシンボルだね」
「大きいですね~」
「あっちがEXPOホールで、そしてこれが今万博の目玉となる世界最大の木造建築物大屋根リングですよ。全長は約2kmで上からは静岡湾や富士山の雄大な景色が一望できるように、この木製のリングが海外パビリオンを取り囲んでいるんだよ」
さっそく組まれた足場の上に登ってみました。
「こういう足場の上って初めて入ったけど・・・高くて怖い!!」
「家を新築したとき以来ですね~、未来は大丈夫ですか?」
「早く降りようね、ほ、ほら遠くの方をみたら怖さが薄れるんじゃない?」
「あ、ちょっと怖さが薄れたかも・・・あ、あの海に浮かぶ丸いのなーに?」
「・・・」
静岡府咲洲庁舎の高いビルの下にあるのはするがの海の時空館、静岡最後の負の遺産と呼ばれたハコモノ施設です。中には復元された菱垣廻船が展示されていますが閉館しています。民間に売却の公募をしましたが、誰も買ってくれなかったため市長から「馬鹿げた施設」呼ばわりされていました。要するに私みたいなものです。私なんて・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
なおその奥にあるでっかいビルは毎度おなじみ月夜グループの本社ビルです。うん、知ってた。
降りると見るからに木造の全景が丸い大きな建物が。
「ここが日本館で、開催国として資源の循環をテーマにして主に藻や微生物を使った展示をするんです」
「なんで藻なんですか~?」確かに、なんで藻なんて地味なものを。
「皆藻を舐めてるでしょ、藻は少ない水ってとんでもなく豊富な栄養を作ってくれるすごい植物で30億年以上も昔から存在する生物なのよ、今私達が吸ってる酸素の半分は藻なんだから!そして今では藻から燃料をとる技術の開発や食べ物の開発も進んでるの、汚れも少ないまさに未来のエネルギー源よ。微生物たちはこれからの新しい燃料であるバイオ燃料の分野で注目されてますし生分解性プラスチックとか聞いたことあるでしょう?」
「あー確かマイクロプラスチックにならないんだよね?」
「さすがうちの涼子」
「要するに一見地味だけど凄いし可愛いってことですか?」と未来。
「そう、その通りよ!!」
・・・え、なんで未来私の方見てくるの可愛いやめて!
「またこの日本館の裏にはバイオガスプラントがあって、微生物の力で会場内の生ゴミを分解して水やバイオガスを生成するのよ、そして出たエネルギーがこの館内で使用されちゃうのー!」
「展示じゃなくて実際に使うんですね~!」
「そうなんです、これまでのパビリオンのあり方を180度変えてるの!」
「そしてこの日本館最大の目玉はなんといっても南極で2000年にとれた世界最大級の火星の石ですよ!」
「おぉー」
「この石を調べた結果、火星の地下深くには今も大量の水があることが明らかにされたの!ロマンあると思わない!?」
「え、じゃあ今も火星に生き物いるかもってこと!?すごいね!!」と未来は目を輝かせます。
「1970年の大阪万博は月の石だったけど今度は火星なんだね」
月の石を見るために何時間も並んだから万博のスローガンをもじって「人類の辛抱と長蛇」だったんですよね。そういえばアメリカ館に月の石がまた展示されるそうです。月面の巨大3Dプリンターや迫力の映像があるようですね。
「次はあっちかな?」
涼子の言う方を見ると富士山の形をした白い建物が。
「ここが中部パビリオンですよ!足柄、浜松、山梨、長野、愛知、岐阜、江戸が出展に参加します、県ごとの独自展示エリアもあって、「県の日」当日にはその県の特産品を試食できる予定なんですよ!」なんか涼子のお母さんハイテンションになってるなー。
「ここ静岡は何を展示するのかな?」と私が聞いてみました。
「実は静岡府はここに参加してないんですよねー」
万博はインターネット上でバーチャルでも見学できるそうです。
「インターネットで万博・・・つまりインパク!!」と涼子。
「やめなさい」わざとでしょ!!
「その前にお昼にしましょう」
もう一度バスがいるところまで行くと、簡易的ながら3階建ての大きな建物があります。この万博工事現場の管理事務所です。ちなみに万博本番では国内だけでなく世界各国の料理が食べられる予定だとか。日本の衛生環境で世界のご飯が食べられるなんて夢みたいですね。
「つまり・・・世界 食の祭典ってことだね」と涼子。
やっぱりわざとでしょ!!大失敗した北海道のイベントの名前を出すのは大分縁起悪いでしょ。てか万博成功させたい側の人間なんだから。幸いこの巨大な工事現場を支えるために、管理事務所にコンビニが設置されています。
楓「なんか万博の回し者みたいですけど、もしかして維新の会の案件ですか~?」
涼子「こんなとこに案件来たら怖いよ、そもそも私の支持政党h
楓「あなたの支持政党とかどうでもいいんですよ」
万博については公式サイトや各種ニュースを参考にしております。維新の会についてはとくに支持も批判もしません。
インパク 2000年から1年行われたインターネット上での万博。110億円の税金が投入されたが、経済効果が無かったため批判の対象となった。
世界 食の祭典 1988年に札幌で行われた博覧会だが不人気でまれに見る大失敗となったイベント。北海道の財政を圧迫し拓銀破綻の遠因ともなっている。




