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最悪のシナリオの世界線2

 教科書やネットを見てしばらく呆然としていました。


「東京も全部避難範囲とかなにこれ・・・」と未来が言ったので現実に引き戻されました。


「とりあえずGoogleマップ見てみよう」


 Googleストリートビューを使ってみると半径250kmでほとんどの道路が通れなくなって、半径170kmから先はもう何も見れません。ほぼ廃墟状態の東京が映るばかりです。

挿絵(By みてみん)


 境目付近を見てみました。横浜市。市内の横浜駅付近より東はほぼ入れません。在来線は横浜駅で折り返し運転、新横浜駅は使えないので新幹線は小田原で折り返し運転です。「4月に新車展示」のポスターが貼られたままの自動車店の廃墟や草で埋もれた駐車場がありました。


原子力災害対策本部 復興省 神奈川県 この先避難指示区域のため立ち入り禁止。通行制限中 防犯カメラ作動

NEXCO中日本 原子力災害通行止 ここで出よ 災害通行止

小田急電鉄 町田行き 東北地方太平洋沖地震により、町田~新宿間、および多摩線は無期限運休です

東京湾 JR代行フェリー房総半島方面は横須賀線の久里浜行きをご利用下さい。



 避難区域の入り口には誰も見ることのないであろう信号機が赤を表示しています。廃墟の家やマンションがどこまでも続いていました。


 奥には完成直前の高さ625mで工事が止まって、工事のクレーンが今なお立ちっぱなしの廃墟タワーが見えます。東京周辺では航空障害灯だけが廃墟の町で光っています。東京の羽田空港やお台場はポンプの作動が停止して数センチほど水に浸かっています。千葉県南部は孤島状態となっています。


「まるで世界が滅亡したみたい・・・」

「これが最悪のシナリオ・・・」


 教科書やパソコンでいろいろ調べた結果、この世界は想像以上に大変でした。


 震災直後から急速に円安が進行して1ドル=450円くらいとなっています。円の信用は完全に失墜し、自治体が発行する商品券や地域ポイント制度、また仮想通貨の利用も普及しています。与党の中では仮想通貨の法定通貨化まで検討されています。東京を基盤とする大企業の倒産、東日本を地盤とする地銀や信用金庫の破たんも相次ぎ、GDPは当然10位を下回っています。その結果、人余りが加速して就職氷河期が現在も続いています。もちろん2020東京オリンピックも大阪関西万博もありません。


 京都は御所が再び置かれ大阪は夢洲・舞洲・咲洲などに行政施設が集中するようになって結果的に再び繁栄するようになりましたが、日本の景気がとても悪いので活気は感じません。首都機能が置かれたためなのか、大阪都構想が実現しています。


 円安の進行で輸出産業は若干成長しましたが、貿易摩擦を引き起こしてアメリカから防衛費の増額を迫られました。しかし大企業の倒産や外資への買収が相次いだため、輸出産業が成長しても得るものがほぼありません。


 仮設住宅の整備がとても追いつかず、2012年には一家ホームレスが大きな問題となりました。西日本は学校不足、保育園不足が問題になりました。政府は「ネクストふるさと政策」を行いましたが、うまくいきませんでした。

 さらに健康不安で少子化、人口減少にがん患者が増加、原発を恐れた外国人を含む一部の人は海外に脱出、売春やいじめも増加しました。特に海外への人口流出は深刻で、人口は1億人を切っています。外国人観光客も風評被害があってほぼ来ないためインバウンドもありません。

 また、失業者や社会不安によって犯罪率が急上昇。女性一人では夜出歩くのが危なくなり、闇バイトや薬物の流行が問題となっています。


「ここから日本は立ち直れるのかな・・」

「アメリカや中国なんかに振り回されるんだろうね」


 さらに原子力発電所全廃は、日本の電気代高騰を一層深刻にしました。再生可能エネルギーの供給も不安定です。そのため、大幅な規制緩和が行われて中国資本による大規模メガソーラーや地熱発電所が建設されています。ウクライナ侵攻の際は、石油を輸入しているロシアに経済制裁ができませんでした。さらに中東情勢の不安定化で石油価格は高騰。

 そのため、よく電力需給ひっ迫警報が発令され計画停電、輪番停電が実施されています。こんな感じなので電気代は現実の2倍、3倍へと膨れ上がっています。


 このような日本の変化のため、この世界では震災前を「震前」、現在を「震後」と呼んでいます。戦前戦後みたいな感じです。



「・・・すごい大変な世界だね」と未来。


「まあ日本の半分が使えないんだからね」


「そりゃそっか、覚悟はしてたけど実際これを見せられるとなかなか心にくるね」


「元の世界でも福島県は復興が進んでいるけど、大変だからね」


 だけど私達が暗そうにしてる横で涼子と楓は楽しそうにお話していて、この恐ろしい現実がこの世界では当たり前で、なんだかんだと適応しているっていうのが少し変な気持ちになります。



 そして元の世界線に戻りました。あの事故の結果、日本の原発は全て稼働を停止。基準の徹底的な見直しが図られました。


「原発に関しては私達も無関心でいられないよね」

「そうなの?」

 静岡県御前崎市の浜岡原子力発電所(現在5号機まであり1・2号機は廃炉作業中で6号機の計画もある)には22mの防波堤や二重三重の電源系統や注水用設備が設置されています。しかし、そんな浜岡原発で事故が起こった場合に備えて、「原子力災害対策重点区域」が半径31kmに定められています。

 その地域に私と楓が住む焼津市や未来の住む藤枝市が入っているのです。もしいざという事態が起きたら私達は神奈川県か静岡県東部に避難しなければならないのです。そして地震など複合災害が原因の場合は埼玉県に避難することになっています。


「そうだったんだ、全然知らなかった・・・私達もいつ南海トラフ地震が起こるか分からないよね」

「当たり前は当たり前じゃないからね」と私。

「新型コロナもそうだったからね」あの教訓を活かさなきゃいけないのです。



 今後30年以内に80%程度の確立で発生するとされ、24万人以上が死亡するという南海トラフ巨大地震。50年以上前からずっと言われてることらしいですが、どうか起きないでほしいです。せめて予知とかできればうれしいのですが、人間に地球をどうこうしようなんて何百年も早いのでしょう。


「まあこの静岡県で備えていない人なんていないと思うけど、幼稚園なんて避難訓練月1でやってるし」

「この学校年1回しか避難訓練やらないなんて危機感が足りないんじゃないの?」

「ま、避難訓練の実践がないのが一番なんだけどね」


 地震はいつ起こるか分かりません。もちろん南海トラフ巨大地震だけじゃなく、首都直下地震や千島列島沖、日本海側や沖縄の与那国島付近、あらゆる場所で地震は起きるかもしれないのです。それらに備えて、ありきたりなことを言いますがしっかり防災用品のチェックや避難場所を調べることが大事ですね。

静岡県ホームページ 浜岡地域原子力災害広域避難計画

https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/genshiryoku/genshiryokubosai/1030331.html

 次回はちょっとした番外編です。

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