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爆音

作者: みくた

 深夜帯、私は自宅へ向けて郊外の国道沿いを歩いていた。

 遠くで改造車の爆音が響いている。

 この時間帯になるとよく聞く音だ。なんのことはない。うるさくて厳つい連中だが、大体はそういうバイクが好きな普通の人だ。

 思案しながら歩を進めていると、先程から聞こえている爆音が大きくなっていることに気づく。

「やれやれ、これは横を通るな。」

 私自身、バイクは好きだが爆音カスタムはどうも苦手だ。

 背後から近づいてくる爆音に歩きながら身構える。

 感覚からして大分近い。だが、何かがおかしい。

 なんとも言えぬ違和感を覚える私。しかし、そんなことなどお構いなしに爆音は私を追い抜いていった。

 その瞬間、違和感の正体が判明した。

 追い抜いていったのは音だけなのだ。その発生源であるバイクは愚か、すぐ後ろに来たときに照らされるはずのヘッドライトの光すらなかったのだ。

「・・・ん?」

 不可解な出来事に呆然としている私の視界の端に何かが映る。

 そちらに視線を向けると、それは道路脇に置かれた花束だった。その近くには缶コーヒーと、線香代わりなのだろうか燃え尽きたタバコが数本落ちている。

 そこで私は最近、この周辺で夜中にバイク事故があったことを思い出した。

「え、死んでたの?じゃあ、今のって・・・」

 そこまで口に出した私だったが、薄ら寒いものを感じその場を足早に立ち去った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これはゾッとしますねー。
[良い点] 仏花と一緒に手向けられている煙草と缶コーヒーは、事故死したライダーが生前に愛飲していた品なのでしょうね。 ドライブインやPAなどで取る小休憩の際に、御供え品と同じ銘柄の煙草や缶コーヒーを吸…
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