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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

テーマ詩集:食器棚

作者: 歌川 詩季

 お団子も好きです。

 ぺたっと ()りつけてやったり

 まとめて 包んでやれたならいいなって思うけど

 生憎(あいにく) おれはそれほど器用でもない

 悪いけど ちょっとばかし ちくりとするぜ

 耳たぶにピアスをあけるようなもんだって

 いい加減な 気休めを言っといて

 吸血鬼の心臓に (くい)を打とうと狙うみたいに

 こいつらのまんなかあたりに(まと)をつける

 そんなおれのことを

 おっかねえやつだなんて 毛嫌いしてくれるのも

 まあ 仕方のねえことだろうさ


 なんのためにこんな

 とんがった先っぽしてんのかと言やあ

 ぶっすりと(つらぬ)いてやるためだし

 ひとつ(つらぬ)けば気がすむわけでもなく

 その矛先は もうひとつ さらにひとつ

 口の悪いやつらの言葉を借りれば

 犠牲者を増やしていく



 だけど ちょいと待っとくれ

 数珠(じゅず)(つな)ぎだか 何両編成だかに見える

 このざまだから

 そんなふうに言いたくなるのも わからんでもないが

 このおれだって なにも

 こいつらを傷つけてやりたくて

 そのまんなかに風穴(かざあな)をあけて

 いくつもつらねて(つらぬ)いてみせるんじゃないぜ

 不器用なおれなりのやりかたで

 こいつらが はなればなれにならないように

 一本に(つな)いでやってるだけさ


 だってよお こうでもしなきゃ こいつらは

 あっち こっちに ころがっちまうか

 どっち そっちに 取り分けられちまうだろ?

 そんなこいつらを 一本に(つな)いでやるにゃあ

 絆を糸で結んでやろうにも どのみち

 針は通してやらなきゃならねえ


 不器用なりに言わせてもらえば

 おれは針だし おれは糸だ

 ()められたやりかたじゃあないとは思うが

 こいつらが はなればなれにならないように

 一本に(つな)いでやってる


 だから どうか あんたらも

 おれのこと邪魔者扱いして

 せっかく一本に(つな)いでやったあいつらを

 このおれから とっとと引き抜いちまうなんて

 そんな野暮なことはしないで

 とんがった先っぽじゃないほう

 そのために余らせてある 反対側をつまんで

 おれごと こいつらを その口へ運んでやってくれ



 だけど ちょっとだけ気をつけな

 あんたまで こいつらといっしょに

 一本に(つな)いでやろうなんて思ってやしないけど

 あんたまで おれのとんがった先っぽで

 串刺しになっちまわないように


 なんたって

 おれの先っぽはとんがってやがることだし

 あんたまで(つらぬ)かないように

 気を配ってやれるほど

 こちとら器用じゃあないからさ


 くれぐれも 気をつけな

 串、打ってないほうが食べやすいですけど(笑)

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― 新着の感想 ―
[良い点]  串の視点がとても新鮮でした。   それは考えたことなかったです。    串ものを食べるときには、この串のことを思い出しそう。 [一言]  口は不器用そうですが、この串はとても親切そうです…
[良い点] 串が針でもあり糸でもあると言う発想はありませんでした。 素敵な詩ですね。
[良い点]  言い方のわりに優しく親切。  刺される方の気持ちになって。  食べる方の心配をして。  不器用な可愛らしさを感じます。 [一言]  串刺しだからこそ落っことさずまとめて焼き目をつけられ…
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