「ブータンだってよ。」
「おいアキラー。」
「……。」
「暇ならサッカーしようよ?」
あーうぜぇ……。
部屋でベッドに寝っ転がってヒケコイを読んでたら、暇こいたアルがトゥギャザーな感じでフレンドリーに話しかけて来た。
見ればもう既にサッカーボールを右脇に抱えており、トゥギャザーやる気満々だ。
バット――だが俺は決して暇なわけじゃない。
ビコーズ――なぜならこうしてマンガを読むのに忙しいからな。
「んどくせぇわ。一人で行けよ。」
そうつまり、だが断る――という訳だ。
「なんでだよぉ~!!」
「……。」
平成二十八年、五月二十一日、土曜日――そう、今日は休日だ。
本来なら俺は部活動に励んでいる頃なのだが、実はバスケ部……辞めたわ。
なんか、コイツに負けてから全てがどうでも良くなっちまって、練習に身が入らなかったから。
なんつーの? あー…ほら、燃え尽き症候群てやつよ。
なもんで、最近の俺は麗しき青春ガン無視で日々を怠惰に過ごしている。
「暇なんだよぉ~!!」
「……。」
コイツを拾ったあの日から、かれこれ一月半が経過した。
まぁその間、色々とトラブルがあったのだが、それを一先ずザックリと纏めると、正真正銘、コイツはまじで、悪魔だった――
「遊んでくれよぉ~!!」
「……。」
つってもまぁ、こんな纏め方じゃ流石に納得いかないだろうから、もう少し詳しく話すことにしよう。
遡ること、四月六日、水曜日――学校をサボってアルに飯を食わせてやりながら、俺はアルから身の上話を聞いていた。
「あーーーそーーーんーーーでーーーッッッ!!!」
「……。」
そしてこれがまた中二病熱心なことで、例えば――齢1000歳くらいだとか。
例えば――人間と遊びたくて人の姿でこっちにやって来ただとか。
まぁこの歳にして大分拗らせちゃってる感じで、正直コイツの精神を疑ったんだが。
その話の成り行きで、それじゃぁ悪魔の時の姿を見せてみろよってなったわけ。
「遊んで遊んで遊んで遊んで遊んでッッッッッ!!!!!」
「……。」
んで、そん時に見せたコイツの姿があまりにグロテスクで――
いやコレ、まじ悪魔だなー……って思った。
なんか腕の大きさとか左右で違うのがまず怖いし、脂肪に覆われた皮もブニブニしててキモすぎる。
かろうじて顔面っぽいのはあるけど、果てさてあれが顔なのかは解らない。
極めつけはパックリ割れた頭の、なんかタラコみてーなツブツブ。
あれがトラウマ級にキショかったのをよく覚えている。
あと、なんか……めちゃクソデカかったわー、コイツ。
普通に俺の家と同じ位の大きさだった。
殺られるわ、逆らったら、ぜったい殺られる――て、そん時は思って弱気になってたけど。
「遊遊遊遊遊遊遊遊遊」
「……。」
なんかもう正直、今すぐ追い出したい。
あぁ、因みに近所の交番に連れてったことがある。
けど、その直後に交番の警官二名が失踪したわ。
それが近所でも結構な騒ぎになって、お前何かしただろってアルのヤツに聞いたら――
「ん? あぁ、田中と伊藤か? うるさいからブータンに飛ばしてやった。」
てさ――それが、なんかすげえ怖かったんだよね。
いやまじブータンてどこなんだよ……怖ぇよ……。
しかも警官の名前覚えてやがるし、ナチュラルに呼び捨てだよ。
「遊ッ遊ッ遊ッ遊ッ遊ッ遊ッ遊ッ遊ッ遊ッ遊ッ!!!!!!!!!!!」
「だぁぁあああぅっせぇぇえええよっわかったよッ!!!」
「よっしゃッ!! 行くぞアキラ!!」
たく、とんでもねぇもん拾っちまったわ……。