表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/11

第1話「セルリアのフーディロード」9

 そういえば、詠唱は?!

 初めての本格魔導、すっかり忘れてたが、間に合うのか?!


 ゼッピもストレイも魔導を放つには詠唱時間が必須だった。

 もちろん魔族もだ。


 だからバトルの前に詠唱しておいたり、相手の反撃を読みながら、さらには仲間の攻撃で時間稼ぎをしたりとか、行動のデッキを組む必要がある。

 ゼッピがやたらと「作戦」を気にしていたのは「パーティ感」を意識していたからなんだろう。

 

 って、勇者パーティで眺めていただけで、作戦立案に積極的に参加したことはないが......

 そんな俺でも、ゼッピのいい加減さはわかった。

 「もっと考えようぜ」なんていったら、怒るだろうな。

 

 しかし、心配はいらなかった。

 魔導名を叫んだ瞬間、横転していた魔導車両(マホトラ)の周りに猛烈な風のフィールドが発生したようだ。

 

「なんだあ?! 浮いてる??」

 そう、不思議と詠唱時間不要、すぐに効果が発現したのである。

 そうか! いつの時代も主婦の味方は時短!

 料理はスピードが命。

 「食魔導」は、時短魔導ってやつなのかあ?!

 これはひょっとすると、チートスキルなのかもしれない。


 地面に風がびゅうびゅうと吹きつけて、俺の魔導車両(マホトラ)は、高度を上げていく。

「くっ、ボディを安定させるにはどうすれば? こうか?」

 ほぼ反射的にハンドルを回すと、ボディは正面を向いて、目の前には、コマンダーゴブリンと人質が見えた。

 「マホトラ・フォートレス」と同じ高さまで上がる!


 どうやら、「ガストラ・ウインド」は魔導車両(マホトラ)に効いているらしい。操縦系統は変わらない。


 よし! このまま巨大な魔導車両(マホトラ)に突っ込んで、奴の詠唱を止める!

 ジョセフィーナにぶつけないように、少し下に狙いをつけ、そのままアクセルを踏んだ!

 

 ガムシャラだけど、少しは判断力がある!

 しっかりとハンドルは握って、肩を硬くしながら、目をつむって、激突した!


 ブオオオオオン!

 ドグウウウウウウシ!


 俺のガラスは割れているし、「マホトラ・フォートレス」は剥き出しだ。

 正面から突撃したから、砦の粉塵が一気に侵入してきて、むせる。


「うえっ! なんだこのマホトラは! えっ!」


 爆風の中、初めて、コマンダーゴブリンの生声が聞こえた。

 やはり人間の言葉を話すのか。

 セルリアのポンコツマホトラがまさか宙を舞うだなんて、予想していなかったのだろう。

 躊躇の声がした方向、上目遣いに奴を見た瞬間、ジョセフィーナから手を離した!


 煙が巻き上がり、何が何だか、視界は悪いが、ハンドルを勘で動かしつつ、アクセルを強く踏み切って!

 ギリギリギリと10秒ほどは魔導車両(マホトラ)同士組み合って、風の力を使いながらそのまま押し切り、

「マホトラ・フォートレス」の巨大な躯体を両断した!


「ぐわあああああああ」


 ジョセフィーナは気絶しているから、響いた野太い声はコマンダーのボスゴブリン!

 壁を打ち破り、急に勢いがついたので、慌てて、とっさにブレーキを踏む。

 ハンドルを回旋させて、後ろを向くと、「マホトラ・フォートレス」の上部、ゴブリンコマンダー、ジョセフィーヌが落ちていくのが見える。

 

 しまった! 

 多少の怪我はやむを得ないか?!

 多少で済んでくれ......

 

 俺が妥協しそうになった瞬間、街道で救われた光景を思い出す、救いの魔導が暗闇を制した。


『ピュア・バリアァァァァ』

 

 鬱陶しい圧の強い声......ではなく、掠れた、弱々しい響き。

 しかし......よし! ゼッピが意識を取り戻したらしい!

 下を見れば、地面に這いつくばったまま、空に魔導を飛ばす姿。

 ローブから伸びた細い手によって放たれた光が、器用にもジョセフィーナだけを包んで、ふんわり、落下の衝撃を和らげた!

 そうか、ゼッピが詠唱予約していたのは、攻撃じゃなくて防御だったんだな。

 

 ゴン!

 

 不気味な音でコマンダーゴブリンは落下した。

 これで、形勢は圧倒的に有利。

 自警団たちにソルジャータイプのゴブリンを蹴散らしてもらって、紆余曲折、作戦は終了だ。

 俺はゆっくりと風を操作して、魔導車両(マホトラ)を着陸させた。

1冊分は書いておりますので、エタりませんが、投稿と続きを書くモチベーションになりますので、ブクマ、感想、レビューお待ちしております! 2話までなんとか読んでください! よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ