第1話「セルリアのフーディロード」6
ドッバアアアアアアアアアアアン!!
「ピュア・バリア」が開始の狼煙。
砦の壁がガラガラと崩れ、沈黙を破って、ゴブリンたちの姿をあらわにした。
はずだった。
『へ??????』
本日2回目の間抜けなクエスチョンがシンクロした。
誰もいない!
「ちょっと、自警団長! 話が違うんじゃないの?!」
俺は慌ててブレーキを踏んで、魔導車両を止めた。
「ピュア・バリア」の波動がシュコシュコと床を掘り続けている。
作戦開始とともに荷台に移動したゼッピの抗議に、自警団長はうろたえて、言い訳をはじめた。
どこまでもかっこ悪い奴らだ。
ゼッピは詠唱の終わった広域魔導をホールドしたまま。
......嫌な予感がする。
砦内部を見渡せば、左側にゴブリンたちの魔導車両が乗り捨てられている。
俺を殺しかけ、ジョセフィーナを誘拐したやつだ。
操縦席には誰もいない......!
ギュイイイイイイン!
突然無人の魔導車両が動き出した!
わ、向かってくる!
「ゼッピ!! 左!」
思わず叫ぶと、流れるようにゼッピが魔導を放った!
「【ピュア・フレイムバスター!!!】」
そう、詠唱を終え、待機させていた広範囲の魔導である。
ドッガーン!
俺たちに激突する寸前、魔導車両が吹っ飛んだ。
跳ね返るように転がってゆく。
うーん、ゼッピ、運動神経いいな......俺にはできない芸当だ。
「コンビネーション、イイッすね......!」
自警団たちが素直に感心している。
「ちょろいもんよ!」
「油断しないでください! まだゴブリンは全員無事なはず!」
もちろん操縦席からは、ゼッピたちの姿は見えない。
首を後ろに傾けながら、俺は注意を促した。
これは絶対、おかしい!
魔導車両の無人操縦は高レベルな魔導だし、俺たちの作戦を嘲笑うかのような、動き。
策士だぞ。
コマンダータイプの魔族、何を考えてるんだ?
「そ、そうね、ジョセフィーナも、どこなのよ......?」
真夜中、山の中、孤立した魔族の砦。
魔導車両1つで、対応できるのか......?
「ちょ、見てください!」
後ろを気にしていた俺は、気づくのが一瞬遅れた。
なんと、砦の壁が、勝手に動きはじめている!
【メタモア・フォーゼス!!!】
勇者パーティでも耳にしたことのない魔導が、操縦席まで甲高い声で響いて!
瓦礫も吸収して、眼前にはとてつもなく巨大で、禍々しい物体が屹立していた。
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バトルも佳境です!