黄色の人~3(続々編)
オレは駅前のビルの二階で雑貨屋をやっていた。
以前働いていた会社の営業がまた来るというので
【すぐに戻ります】と入り口に張り紙をして、階下の喫茶店にに降りて行った。
『お前、最近よく来るようになったな』
『おう、あれだよあれ、あの人。黄色の人、足擦りの、懐中電灯の、工事現場のツナギ着た、水晶の、、』
『めんどくさいなぁ、もう「の人」でいいよ』
『ノヒト?』
『の人。』
『あー、一週間くらい前に来たよ』
『おー!平日?』
『そここだわる?』
『また、水晶に直行?』
『というか、団体で』
『おー、御一行様で。黄色を先頭に赤、青、緑って感じ?』
『バカか、、団体っても4人だけどさっ。下の駅前ロータリーに車乗り付けてきやがった。』
『お前の店2階だろ?なんで車ってわかる?』
『昼飯にここでチャーハン食べて階段の下でタバコ吸ってたらさ』
『お前の食べたもんはどうでもいいよ。で?』
『軽にギュウギュウづめで来た』
『パンチクリンだな』
『後部座席にチョコンと乗ってこっち見てた』
『それだけで笑える』
『目が合っちまってさ。あッうちの店来る!と思ってさ、慌ててタバコの火消して店戻ったよ』
『慌てなくていいだろ?』
『いや、ほら、何せ団体様だから。』
『「職場の先輩方々! 私の行きつけの穴場、ご紹介いたしましょーう! 水晶はむろん、雑貨に洋服、マニアックな商品何でも有りまーす! 私はプライベートではこんなお店でファッションセンスを磨いておりまーす!さあ!とくとご覧あれ!」みたいな感じで職場の人連れて来ちゃった感じ?』
『長いよ』
『それで? 来た? 二階にあがって来た?』
『来ない』
『は?』
『いくら待っても来ない』
『どうして?』
『気になって店から出て下を覗いた』
『いない?』
『いた。ロータリーの工事してた』
『ほう。』
『黄色いコーンの横に立ってた』
『立って?』
『黄色の旗振ってた』
{ブレンドコーヒー2つお待たせ致しましたぁ}
『じゃ、今度来たときは「ノヒト」でいいかい?』
『「の人」な。』