猫とキミとわたしと七夕
七夕の唄が商店街に流れる
今日は七夕
織姫と彦星が一年に一度会える日
でも残念
今日はここは雨だね
傘を差しながら
キミとわたしとお買い物
そしてもう一つ……
黒猫のあなたはお留守番
「ただいまー」
とわたしとキミ
「にゃーん」
—おかえりなさい
と黒猫のあなた
「にゃ、にゃにゃ?」
—それ、なあに?
「これはね、笹だよ」
とわたし
「ちょっと濡れたけどね」
とキミ
「願い事を、この短冊に書くといいんだよ」
とわたし
七夕ってお話知っているかい?
つらつらとキミが黒猫のあなたに語りだす
織姫と彦星の出会い
別れ
そして再会
「ドラマチックだよね」
とわたし
「一年に一回しか愛する人と会えないなんて」
とキミ
私の方を見て
「僕は嫌だけどね」
「わたしも、かな」
真っ赤な顔の私
「にゃー、にゃー」
—今日は雨だよ、天の川は大丈夫なの?
と黒猫のあなた
雨が降っても
カササギが天の川を渡る橋となって
二人を逢わしてくれるんだよ
織姫と彦星
雨がたとえ降っても
出逢える二人の
一年に一度の大切な約束
「いい話よね」
とわたし
「だね」
とキミ
「にゃー」
と黒猫のあなた
だから
キミとわたしの願い事は一つ
黒猫のあなたの願いも一つ
「いつまでも、ずーっと一緒に、いられますように」
「にゃー」
—僕も、ずーっと一緒にいたいよ
笹の葉に
色とりどり
様々な折り紙の飾りと
短冊が四つ
一つはわたしの願いごとの短冊
一つはキミの願いごとの短冊
一つは黒猫のあなたの肉球の手形のハンコを押した短冊
もう一つは
二人と一匹の願いごとの短冊
大切なお願いごとの
短冊です
あなたの七夕のお願い事、何ですか?