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猫とキミとわたしとクジラの夢
ザーザーザー
たくさんの雨
恵みと時には災害をもたらす雨
今日もたくさん降っているね
「くぅ……くぅ……」
「スー、スー、スー」
そんな雨の午後
黒猫のあなたとキミがお昼寝中
わたしは
そんな一匹と一人を見守りながら
趣味の手芸の製作中
クジラが好きだから布でぬいぐるみを作っているの
出来上がった、クジラのぬいぐるみを
寝ている黒猫のあなたとキミの間に置く
「にゃー……」
「ン―……」
あれ? なんの夢見てるのかな?
☆☆☆★☆☆☆
「おー、海だなー」
「にゃーん」
―そうだねー
「おまえも海好きか?」
「にゃー」
―わかんない
「何か、この島動いているなー」
「にゃー?」
一人と一匹がいる
大きな大きな島がゆっくりと動いて……
プシュー!
潮を吹いたとたん!
「わっ」
「にゃ!」
☆☆☆★☆☆☆
突然目を覚ました黒猫のあなたとキミ
「あれ?どうしたの?」
とわたしはパチクリ
顔の近くにあったクジラのぬいぐるみを見て
キミが一言
「何か一緒の」
「にゃー」
「夢見たな」
とキミ
「なんの夢?」
とわたし
すると笑って
キミがまた一言
「ひみつ」
「にゃーん」
―だよ
一人と一匹の
ひみつのひみつの
クジラの夢