猫とキミとわたしと希望の春
さらさらさらら
穏やかな春の風が吹きます
それをわたしは穏やかな心地で受けています
いろいろ訳があって黒猫のあなたとキミとわたしは、新天地にやってきました
前よりも交通の便は悪くなりましたが
自然豊かなこの地は何処か心地がとても良いのです
この間はすごい雪も降りました
初めての雪掻きは楽しかったものの
次の日はキミとわたしはひどい筋肉痛
それはそれは二人して悶えました
「なーん?」
黒猫のあなたは不思議そうにぷるぷる震えて動くキミを見ていましたよ
「にゃあ~」
―気持ちいい~
「そうねえ」
とわたし
木々を揺らす風はとても穏やかです
春の訪れを肌で感じます
家がぽつぽつ並ぶ道を歩けば
各家庭の桜の木が芽吹いていく様子が日々分かります
「にゃあん~!」
―春の匂い~!
「そうね。春ってこんな薫りなのね」
わたしも微笑みます
腕の中で黒猫のあなたは大きく伸びをしました
そしてちょんとわたしの腕から降りると
モンシロチョウを追いかけて
一生懸命ジャンプしてじゃれています
「はっくしょーん!」
と盛大にクシャミをするキミ
このご時世、マスクが個人の判断に委ねられても
キミはどうやら必須の様です
だって……
「はっくちょーん!」
「……立派な花粉症デビューね」
わたしは苦笑してキミにポケットティッシュを差し出します
「きみが羨ましいよ」
半分以上濁音が混じった声でキミが恨めし気に言いました
「にゃあん?」
―声、へーん
モンシロチョウを追いかけるのを諦めた黒猫のあなた
キミを見て笑う様に鳴きます
軽やかなわたしの声が風に乗って響きます
今年の春は希望に満ちています
自信を持ってそう友人たちに言いたいです
キミもそんなわたしを見て寄り添ってくれました
春の日差しと
あったかな黒猫のあなたとキミの温もり
新しい住処には桜の吊るし飾りが
穏やかな風に吹かれて揺れています……
久しぶりです。
三寒四温とはよく言います。
皆さんの所はもう春ですか?
それともまだまだ春の足音は遠いですか?
くれぐれも体調等にお気を付けくださいな。
黒猫のあなたが何処からか、皆さんの事を見守っていますから。
穏やかな春が皆さんに所にも訪れますように……。




