猫とキミとわたしと初夏の味
「え? こんなに美味しいの駄目なの?」
「うん……、駄目……」
驚き、固まるキミと下を見続けるわたし
その横で
「にゃん♪ にゃあん♪ にゃにゃにゃ~♪」
―ああ♪ 美味しそう♪ 食っべたいな~♪
と黒猫のあなたは猫なのに、鼻歌を歌ってそうな泣き声を上げる
喉もぐるぐる鳴らして綺麗な猫座り
そんな目の前にあるのは……
初夏の味覚と歌われる
そう……
"カツオのたたき"
いろんなことが原因で、元気が無いわたしに
キミが朝の情報番組を観てなんとフライパンで作ってくれたのだ
フライパンでカツオのたたきが作れるなんて、正直すごいのだが
すごいのだが……
そこでぐるぐると思考が回る
わたしの目も
漫画風に描けばぐるぐる状態だろう
プシュー!
「わ、だ、大丈夫!?」
キミの慌てた声に
わたしは
「へ?」
と声を出す
「顔真っ赤だよ! 熱あるの!?」
キミがわたわたとお皿を持ったまま右往左往する
とりあえずテーブルにカツオのたたきを置いて
キミはわたしを座らせた
黒猫のあなたも
心配そうに鳴いている
「大丈夫だよ~。ちょっと考え過ぎただけ~」
「ちっとも大丈夫じゃあないだろう」
「にゃにゃ?」
-本当だよ?
黒猫のあなた
前足をちょこんとわたしの膝に乗せた
「ごめんね……」
わたしは黒猫のあなたの頭を軽く撫でた
喉を鳴らす
黒猫のあなた
わたしは意を決してキミに向き直る
「カツオのたたき、嬉しかった。貴方が応援してくれてるのがすごく嬉しい」
そこで、ちょっと間を置く
キミを抱き締めたかったからだ
突然の私の行動に驚くキミだけど、わたしを抱き締め返してくれる
「元気が無かったからね」
キミが囁く
「……アレルギーなんだ」
「そうだったのか……」
その一言で、キミは解ってくれたようだ
「気付かなくて、今まで知らなくてごめんな」
「いえいえ、お互い様よ」
わたしはキミの目を見て微笑む
「にゃーん」
―解決だね
黒猫のあなたが高らかに鳴いた
その日の夕方
黒猫のあなたを抱いて
わたしとキミは夕陽を見ていた
もう夏は本番に近くなっている
梅雨なんか、あっという間に居なくなってしまった
「……実はね。昔、カツオのたたき食べ過ぎてアレルギーになっちゃたのよ」
「そうなの⁉」
「にゃん⁉」
夕陽の中にキミと黒猫のあなたの驚きが
吸い込まれていく……
皆さん、暑い毎日ですが如何お過ごしでしょうか?
体調を崩す方が多いと思います。
まずは、無理をせずに休みましょうね。
黒猫のあなたとは、水分補給をしっかりする約束をしましょうか。




