猫とキミとわたしの梅雨
梅雨です
キミとわたしの住む地方も梅雨入りしました
今年は、地方によって本当に梅雨入りがバラバラな気がします
「今日も雨か……」
とキミが窓の外を見て呟きました
「洗濯物がお外で干せないってやっぱり嫌ね」
とわたしも部屋干しの洗濯物たちを見てぽつり
黒猫のあなたは
湿気で毛並みが気になるのか
さっきから必死で毛繕いしています
ザーザー……
サーサー……
雨は本当によく降り続きます
一日中振っている時もあれば
半日とか、長い時は三、四日振り続けるとか
災害が心配よね
「やっぱり、この時期に降る雨は、梅雨って感じよね」
わたしは
まだ外を見ているキミの隣に立って同じようにお空を見上げます
「梅雨って"梅雨"って書くだろう?」
突然キミが言い出します
「そうね」
とわたし
自慢じゃないけれど、漢字検定二級は持っているのよ
それくらい分かるわ
と、わたしは思いました
「梅って漢字見ると、祖母ちゃんが育てて漬けた梅干しの事思い出すんだよなー」
キミは懐かしそうに
脳裏にお祖母ちゃんを思い浮かべているようです
「お祖母様の梅干し。ああ、私も自分の祖母の梅干しの事思い出すわ……」
梅干しって日本の故郷の味よね
「にゃあ?」
トテトテと、黒猫のあなたも窓の所にやって来ました
—一体何の話?
ですって
「あなたが食べたら、全身の毛を逆立てて飛び上がるでしょうね」
わたしは黒猫のあなたの鼻を優しくツン! と突きます
「はは。想像したら面白いな、お前の顔の表情とか」
キミはカラカラと笑いました
「にゃあ……」
自分の無様な事を想像されて拗ねたのでしょうか
黒猫のあなたはプイッとそっぽを向くと
ソファーに戻って毛繕いの再開です
雨は降り続けます
ザーザーと……
窓の外の雨が
まるで誰かの涙みたい
とわたしはちょっぴりアンニュイな気分になりました……




