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猫とキミとわたしと春の訪れ

「にゃあ~……」

―春ですね……


「春ね」

「春だな」


今日は、暖かい陽気です


黒猫のあなたとキミとわたしは例のごとく

近所をお散歩中


黒猫のあなたは、ぽてぽてとキミとわたしの前を歩いています

あ、近所だからリードはちゃんとしていますよ?


「あら、タンポポが咲いているわ」

とわたし


もちろん、近所とはいえマスク姿でお散歩です

このコロナのご時世ですもん


「お、こっちはつくしも出てる。お、あそこにも!」

とキミ


こちらもマスク姿です

でもキミは花粉症の為のマスクでもあります


「ふぇっくしょん!」

と、ほらね


世の中はコロナ一色で大変だけれども季節は確実に移ろってるんですね


タンポポはちゃんと咲くし、

つくしだって今年もここら辺に生えました


わたしは春の風に吹かれながら

そんなことを考えていました


「にゃあー?」

―どうしたの?


「ん? どうした?」


立ち止まってしまったわたしを心配して

黒猫のあなたが見上げてきます


キミも、優しい顔でわたしを見下ろします


「何でもないよ」

マスクの下で笑顔を作って、それが分からないかもと、

少しだけマスクを下ろして笑顔を見せます


桜の古木の下にやって来ました


どこからか、貴婦人の様な笑い声が聞こえた気がして

わたしは言います


「あ、スプリング・マダムが笑っている」

「スプリング・マダム?」

「にゃあ?」


キミは可笑しそうに聞き、

黒猫のあなたはキョロキョロ周りを見ています


「春になるとね、スプリング・マダムが春風と桜前線と共にやって来るのよ。知らなかった?」

「いや、知らないよ」

「スプリング・マダムはね……」


わたしはキミに説明します


そんな桜の古木に

蕾が大きく膨らんでいるのを

まだ二人と一匹は気付きません


『まだまだね……』

おやおや、スプリング・マダムがすぐそこで笑っているのにも気付きませんよ?


桜、いつ咲くのかしらね……

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