猫とキミとわたしと紅葉
「秋ね……」
「秋だな……」
キミとわたしは、近くの山へ黒猫のあなたを連れて
紅葉狩り中
山々は色とりどりの赤や茶色や黄色で彩られている
大きな大きな公孫樹の木の下に辿り着く
周りは黄色一面の絨毯だった
黒猫のあなたをストン、と下に降ろす
ぽてぽてと、足元の感触を確かめるように歩くあなた
「にゃー、にゃ」
―黄色いねー、でもちょっと何か……
「銀杏の臭いするねー」
とわたし
あの潰れた状態の銀杏って臭いますよねー
「でも美味なんだよなー」
とキミ
「わたしは、栗ご飯の方が好きかな」
「秋の味覚だな」
キミとわたし
秋の美味しいものを言いながら
秋の小道を歩きます
ぽてぽてと、歩いて付いてくる黒猫のあなた
その頭に……
コツン!
「ふぎゃっ‼」
「「わっ!」」
驚くあなたと私たち
「みー」
―何か当たったよー
コツン!
「痛てっ!」
キミの頭の上にも、何か落ちてきたみたい
わたしそれを手に取ってみる
「どんぐりね」
近くにどんぐりの木があったみたい
どんぐりと言えば、木の実を埋めたあの某映画を思い出します
どんぐりの実を植えたら、本当にあんな大きな木と森になるのかしら
コツン、ころころ
と、どんぐり沢山まだまだ落ちてきます
キミとわたし思わず童謡を歌い出します
日が傾いてきました
そろそろ帰らなきゃ
「帰って、明日本当にお庭に植えてみようか」
「お、いいね」
「にゃー」