表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/33

猫とキミとわたしとヒマワリ

「ミーン ミーン」


今日は早起き出来ました


黒猫のあなたとキミとわたしで

ラジオ体操前に、朝のお散歩です


朝はまだ早いので(せみ)の騒がしさも、まだ静かなオーケストラです


ガードレールの側に

ヒマワリが五本並んで咲いているのを発見したのは

わたしでした


ふと、昔のことがよみがえります


これと似た風景を

隣のキミと見たのだったね


「キミは覚えている?」

とわたし


「さあ」

(とぼ)けるキミ


でも、キミの顔、少し赤いよ


五本のヒマワリの全長は二メートルより少し低いくらい…かな


キミの背よりも少し高いね


するとキミ、ムッとして


「これくらい大きなカッコイイ男になって見せる!」


「これ以上大きくなれないよ。もう大人だもん」

とわたし

笑って言う


大輪のヒマワリ

お日様の方を向いて立っている


「にゃあー」

―おおきいねー


と黒猫のあなた


キミの腕の中でまだ寝ていたみたいだけど

やっと起きたかな?


「にゃあ?」

―ヒマワリの花って、どうしてお日様の方を向いているの?


「それはね……」

とわたし


お日様に恋した水の精のお話

黒猫のあなたにしてみる


「にゃん……」

―ちょっと悲しい……


と黒猫のあなた


「悲しい……かな?」

とわたし


「悲しいかもしれないね」

とキミ


「でも……」

とわたし


恋して

恋焦がれて

想いが強すぎて

お花になってしまうお話はいくつか花物語にはあります


「でも……。“想い”が“お花”になれるなら素敵かな」

とわたし


「きみが花になったなら、永遠に枯れないように育ててみせるよ」

「うん……」


顔が真っ赤なわたし

(うなず)く以外、何も言えません


「あなたなら大丈夫かな、きっと」

「きっとって、ひどいな」


朝の空気に、わたしとキミの笑い声が溶けてゆく


「にゃあ……」

―ヒマワリって()()お花なんだなぁ……


しっぽゆらゆらゆら……

黒猫のあなたがキミの腕の中で

しっぽを揺らす


さあ、ラジオ体操の広場に行こうか―



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ