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41話 VS魔王

 魔族の軍勢5千に対して人間側は6千もの軍勢を整え始めていることがわかった。

 幸か不幸か、大規模な軍勢の移動は、魔族側、人間側にも緊張をうみ、不死の森の近くで小競り合いが起きて、多少の時間がこちらには、出来ていた。

 今も両軍は睨み合いを続けており、不死の森の探索を一時中断するまでになっている。

 何度か両軍とも少数での不死の森に挑んだが全て失敗に終わっている。

 こちらはその間に戦力の増強をはかる。

 しかし、決定的な戦力が魔族側にも現れたという。

 なんと魔王を名乗るものが現れたのだ。

 人族には勇者が魔族には魔王が現れた。

 しかし、本物の勇者と魔王はこちらの冥王の町に存在している。

 魔族側も異世界から魔王を呼び出したのだろうか?

 どちらにせよ、戦況は変わらずに睨み合いが続く。

 俺は、この状況を何とか打破しようと考えるが、中々思いつかない。

 今はただ、この嵐が過ぎ去る事を願うばかりだ。


 「冥王様、このまま、今の内に冥王の町を亜空間に収納し、逃げる手もあります。ほとぼりが冷めるまで身を隠すことも考えてはいかがでしょうか」


 と、ファミル。

 確かに今の状況ではそれもあり得る。

 しかし、いつまで続くかわかないこの状況下では、住人に不安を与える事になる。

 まあ、すでに、住人達は不安を隠しきれていないが……。

 最初は、不死の森の中での両軍とも遭遇戦に持っていき数を減らす作戦だったが、目の前で睨み合いが行われるとは、思いもしなかった。

 魔族側の500年前の生き残りはここは、冥王の拠点で魔王の装備も勇者の装備もない事は分かっているはず。

 なのになぜ、この場所に拘るのかがわからない。

 人間たちは、古い文献を見つけての行動だが、魔族側は真実を知っているはず。

 もしかして、この町に本当の魔王が居る事を察しているのか?

 色々な考えが頭をよぎっては消えていく。

 思考が纏まらない。

 いっその事正直に話すか?

 もちろんリリスとアリスの事は伏せて。

 いや、ここまで大きく話しがなっているし、両軍とも多少なりとも被害でている。

 はいそうですかと、納得もしまい。

 やはり潰し合ってもらい、残りをこちらが叩くしかない。


 俺は、両軍が睨み合いをしているあいだに、500年まえの冥王が支配しているアンデッドダンジョンに行き新たに俺の支配下において、オーバーフローを起こすことにきめた。

 少しでも両軍の侵攻を防ぐために。


 「ファミル、俺は先代の冥王の2つのダンジョンを支配下に置きに行く。その間の指揮をお前に任せる」


 「よろしいのですか?今は緊張状態を両軍とも保っていますが、いつ戦いが起こるか分かりません」


 「わかっている。だからこそ、今はこちらの戦力をより強固にしておく必要があると判断した。いざという時は念話で知らせてくれ、転移魔法で冥王の町に戻ってくる」


 「畏まりました。お気を付けください」


 かくして俺はダンジョンに潜り、2つのダンジョンに向かい、支配下の置きに行く。

 ダンジョンの支配は簡単に終わり、その間もなにも起きなかった。

 攻め込んできたら、オーバーフローを起こす準備もしている。

 これで勝負は五分に持っていけるだろう。

 

 しびれを切らしたのは両軍とも同じ時期だった。

 追加で両軍とも3千の兵を送りこみ、魔族側8千、人間側が9千の兵力になり、ついに不死の森の攻略に乗り出してきた。

 不死の森に送り込まれてきたのは、両軍とも追加の3千の兵力だ。

 俺達は作戦通りに行動を開始する。

 わざと、不死の森の中で敵を誘導して、不死の森で接敵させて、お互いをぶつかり合わせることに成功し、第1陣は、全滅に追い込むことができた。


 しかし、これが不味かった。

 両軍は不死の森を抜けられるまで、互いに不干渉の条約を結び、本命の第2陣が動き出す。

 今度は誘導しても意味がなくなってしまった。

 

 「キリンジ、異世界の勇者は任せた。無理はするなよ」


 「グレイ様こそ、お気をつけて」


 俺は、2つのダンジョンにオーバーフローを起こさせる。

 不死の森のアンデッドがより一層多くなり、敵に襲い掛かる。

 俺は、一応仮面をつけて出撃する。

 目指すは異世界の魔王だ。

 

 「敵襲だ、アンデッドの軍勢が多数出現!」


 俺はその場で、配下を出現させる。


 「黒いモンスターだと!?」


 俺の配下達は次々に敵を不死の森のアンデッドと共に敵を屠っていく。


 「アイスフロスト、ダーククラウド」


 で、敵の動きを阻害して、アンデッドに有利な状況を作っていく。


 「くそっ!どこかにアンデッドを操っている奴がいるはずだ!そいつを探せ!こんなにアンデッドが連携を取るとは考えられん」


 流石に指揮官は冷静に判断をくだしている。

 たしかに俺の配下達は連携を取っている。

 俺は黒剣にダークソウルをエンチャントして、敵を斬り伏せながら、アンデッドを量産していく。


 「トルネードタイフーン」


 突如敵の魔法が撃ちこまれる。

 おかげでこちらのダーククラウドも吹き飛ばされたが、あいつ、仲間事、攻撃しやがった。


 「ま、魔王様!?」


 「いつまで遊んでいる、あの仮面をつけたアンデッドが親玉だ、全員でかかれ」


 そう言ったのは男の魔導士風の奴だった。

 なるほど、あいつが魔王か。

 確かにリリスと同じ黒髪で黒い瞳をしている。

 通合の良いことにこの仮面のおかげで、俺までアンデッド扱いされている。

 しかしさすが魔王か、一発で俺が親玉と気づくとは。


 「明らかに怪しい仮面をつけている、奴が親玉に違いない」


 違った、俺が仮面をつけているから、適当に言ってるだけだ、こいつ。

 俺は無言のまま襲い掛かる敵を斬り伏せてアンデッドに変えていく。

 時間がたつほどこちらの戦力が増えていく。

 敵はアンデッドになる事を恐れ始めて、俺に対してしての攻撃が少なくなってきた。


 「ええい、何をしているか、さっさと奴を仕留めろ!」


 口だけは達者な魔王のようだ。

 

 「ファイアーランス」


 と魔王が魔法を多重展開して攻撃してくる。

 森の中で火をつかうとは。


 「アイスランス」


 こちらも氷属性の魔法を多重展開して相殺する。


 「っな、俺の魔法が相殺された!? 奴はただのアンデッドじゃないのか!?」


 当り前だ、こっちは剣に魔法も使える魔剣士だ。

 そう簡単にやられるわけがない。

 

 更に俺は魔法を多重展開して攻撃を続ける。


 「アイスフロスト、アイスストーム」


 敵の動きを阻害し、氷の刃で、敵陣中央を攻撃して、魔王への道を切り開く。

 空いた穴にアンデッド達が殺到して、もはや指揮系統は取れていない。

 完全な乱戦状態へと移行した。

 俺も、急いで空いた穴に入り敵の指揮官クラスを斬り倒す。

 漸く、魔王の前に俺は、躍り出て、取り巻き達から攻撃を開始する。

 

 「くっ、おのれ、アンデッドの分際でよくも俺の軍団を!」


 俺は、取り巻きをアンデッドに変えて魔王に挑む。

 魔王は魔法を多重展開している。

 また何か仕掛けるつもりだ。


 「くらえ爆撃魔法、コメット!」


 すると空から、小さな隕石群が降り注いで敵味方関係なく爆撃にさらされる。

 こいつ、また味方ごと巻き込むように攻撃魔法放ちやがった。

 俺は、被害を最小限に抑えるために空に向かって魔法を多重展開して迎え撃つ。


 「ライトニングトルネード!」


 雷をまとった竜巻が空に幾重にも重なって魔王の放った魔法と衝突し、爆発を起こす。

 爆風で視界が揺らぐ。

 今の攻撃で魔王が率いる軍勢はほぼ壊滅状態になっている。

 生き残りも負傷兵ばかり、これは勝ったか?

 

 「魔王様、ここは撤退をして本国に戻り体制を整え治しましょう!」


 「今更、撤退したところで、元老院のジジイどもにいいように使われるだけだ!」


 「それでも、今、魔王様を失うわけにはいかないのです!」


 「やつら、アンデッドが逃がしてくれるならな」


 ふむ、本国とやらまで撤退するなら、無理にここは追う必要はない。

 勇者の方も気になるし、無駄な犠牲を出さずに済む。


 「2度と不死の森に近づかないと誓うならこのまま見逃してやる」


 俺は、そう言って、アンデッド達の動きをピタリと止める。

 

 魔王は悔しそうに、


 「分かった、2度とこの森に近づかないと誓う」


 そして、魔王が率いる軍勢は撤退していった。


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