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37話 呼び出しと魔王と勇者の訓練

 500年前の冥王の拠点にて衛士や自警団、魔王のリリスと勇者のアリスが訓練に参加して、数週間がたった。

 キリンジの言う通り、2人はすでに大人顔負けの腕前になっていた。

 まさしく天才、天賦の才がある。

 今では2人で仲良く自主練である。

 ある程度の練度が衛士や自警団にも見られるようになったので、俺達は1度、カウス王の所に戻ることにした。

 カウス王がなぜ、不死の森をすすめたかをそれとなく、確かめる為だ。

 もしかしたら、人間側も冥王の拠点を知っているかもしれないからだ。

 王都へ着くと、まずギルドに帰還の報告を行う。

 そして宿を取ると、すぐに王城からの使いが来て、明日、城に来るように言われた。

 これは、あからさまに怪しい。

 事前に決めていた通りに冥王の拠点の事は伏せて、話しをするようにしなければ。

 

 次の日、迎えの馬車に乗り俺達は城へ向かう。

 俺達はすぐに応接室に通されて、カウス王の登場を待つ。

 しばらくして、カウス王が供回りを連れて現れた。

 座っていた俺達は立ち上がろうとするが、カウス王にに手で制される。


 「そのままでよい」


 そう言って、カウス王は俺の対面に座る。


 「まずは無事の帰還何よりだ。不死の森には何かあったか?」


 「いえ、特にこれといった物は発見できていません」


 「神獣とやらもいなかったのか?」


 「神獣ではありませんが、魔獣のケルベロスが徘徊しておりました」


 「なんと!? 伝説級の魔獣ではないか!? それで、討伐はしたのか」


 「いえ、流石に我々でも手を出せば、無事ではすみませんので手はださずにおきました」


 てかあれだけ尻尾を振られてなつかれていては、倒すことができん。


 「ふむ、ケルベロスは何かを守っていなかったか?」


 「わかりませんでしたが、どういう意味でしょうか?」


 「実はな、伝説ではあそこには何かが眠っているという文献が残っていてな。しかし見つけた文献もボロボロでな、ただ、ケルベロスが何かを守っているとしかわからないのだ。しかし文献にあるように実際にケルベロスがいたのなら、何かを守っている可能性もあるな」


 文献か、確かに残っていても500年もたてば、ボロボロだろう。

 しかし、困った。

 ケルベロスが文献に残っていたとは。

 神獣と言うのは嘘で、俺達に何か確かめさせようとしたのかもしれないな。


 「では、陛下は最初から神獣ではなく魔獣ケルベロスが居る事をご存知だったのですね?」


 「すまぬな、我も確証が欲しかったのだ。ケルベロスを討伐し、何が眠っているのか、確かめる事は可能か?」


 「ケルベロスは地獄の番犬とも言われます。そこに何が眠っているかわかりませんが、起こさない方が良いのではないでしょうか?必ずしも我々の利益になるものがあるとは思いません。何よりSランクの不死の森危険すぎます」


 「グレイ殿は反対と言うわけか。しかし、もしその危険な物を魔族が起こしてしまったら、それこそ取返しのつかない事になる。その前に我々が眠っているものを見つけ保護もしくは破壊すべきではないか?」


 「おそれながら、陛下あまりにも危険すぎます。それに魔族どももケルベロスを倒せるとは思いません」


 「グレイ殿の意見は分かった。後は、こちらで、協議して決めよう。Sランク冒険者の貴重な意見だ、参考にさせてもらうよ」


 そう言って、カウス王は退席していく。

 なんとか不死の森の攻略は諦めてほしいものだが、どう出るカウス王。

 最悪あの町を守るために敵対することも考えなければならない。

 なにかいい案はないか。

 数日はこの街に滞在して、様子を見るか。

 一応ファミルには念話でこのこと伝えておこう。


 『ファミル、もしかしたら人間の軍隊もそちらに向かう事になるかもしれない。アンデッドを増やすして、防備をさらに固める事は可能か?』


 『不死の森はかつての冥王様が作り出した疑似的なダンジョンみたいなものです。ですので、多少は増やすことが可能です』


 疑似的なダンジョンか。

 俺の亜空間とにたようなものだな。

 

 『不死の森の近くにアンデッドのダンジョンはあるか?』


 『不死の森の中に2つ程、ございますがすでに先代の冥王様が支配下に置いておりますので安全です。それもいずれは、完全に覚醒したらグレイ様のものになります』


 『今は、支配下に置くことができないのか?』


 『2つのダンジョンは、500年前の完全覚醒された冥王様が支配下に置いたものです。今の不完全な状態の冥王様では支配下に置くことは難しいかと思われます』


 そう簡単に能力の向上は難しいか。

 今はカウス王が攻め込まないよう祈るしかないな。

 数日間滞在したが、特に王宮の動きは見られない。

 諦めてくれたのか、今だ会議が紛糾しているのかは分からないが。

 俺は、配下の1体のリッチを闇の中に紛らさせ、王宮の動きを逐一報告させることにした。

 その間は、冥王の町ともいうべき隠里の皆の稽古に付き合う。

 特に魔王リリスと勇者アリスの2人は徹底的に鍛えあげる。

 

 「いいかい、これからこの町は外の悪い奴らが狙ってくるかもか知れないから2人には、もっと強くなってもらいたいんだ。この町を守る為にもね」


 「私達が2人が冥王様の町を守るの?」


 と、リリス。


 「みんなで守るんだよ。でもリリスとアリスには特別な力があるんだ。だからいざという時は2人で協力して乗り切るんだよ」


 「特別な力?」


 と、アリス。


 「そう、2人は特別なんだ。だからこれからは、2人で協力することを覚えてもらうよ」


 「まずは、剣技から練習しようか、その後、魔法も教えてあげるよ」


 「剣技なら、もうキリンジさんにみっちり教えてもらったから、魔法がいい!」


 「私も私も、魔法がいい。剣技ならもう、大人の人にも勝てちゃうもん」


 とリリスとアリス。


 「そっか、そっかでもね俺にはまだ勝てないよ。2人がかりでかかってきなさい」


 「えーそんなの無理だよ。キリンジさんにもまだ、2人がかりでも勝てないのに冥王様に勝てるわけないよ」


 「そうだよ、冥王様は魔法も使うんでしょ?余計に勝てないよ」


 とアリスとリリス。


 「今回は魔法は使わないよ、2人の腕前をみせてもらおうと思ってね。それにキリンジから一度稽古をつけてやってくれと頼まれたからな」


 「キリンジさんめ余計な事を言うんだから」


 「ほんとだよ」


 とリリスとアリス。


 「それじゃ、始めようか」


 俺達は木剣を持って、稽古を始める。

 数回打ち合えば何となく、2人の強さが分かる。

 だいたい力はミノタウルスぐらいだが、スピードはそれ以上だ。

 この歳で、この力は凄まじいものがある。

 だが、まだ俺やキリンジには届かない。

 俺は全ての攻撃を避け、受け流す。

 だが2人のコンビネーションは上手く機能しているのが分かる。

 だいたい1時間ぐらいで、剣技の稽古は終了した。


 「全然攻撃が当たんない」


 「全くだよ、キリンジさんも冥王様も強すぎ」


 と、リリスとアリス。


 しかし2人とも素晴らしい成長速度だ。

 おれと歳も3つし変わらないが、まだ12歳でこの強さ。

 俺はもうすぐ16になるが、12歳の時にはまだこの強さは持ち合わせていなかった。

 さすがは、魔王と勇者と言ったところか。

 

 「でも次は、ついに魔法の訓練だよね?冥王様」


 「そうだよ、魔法。魔法の訓練だ!」


 と、リリスとアリス。


 さて、次は魔法の訓練にするか。


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