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36話 不死の森 其の3

 魔族の軍勢は大分数を減らすことに成功した。

 そして俺が狂ったネクロマンサーである演技も成功した。


 「これより、邪悪なネクロマンサーの討伐を開始する! 各員戦闘開始!」


 俺は黒剣にダークソウルをエンチャントして、倒した敵がすぐにアンデッドになるように非道な行いをする。

 俺は次々に敵を斬り伏せていく。

 そのたびにアンデッドが増えていく。

 

 「おのれ、卑劣なネクロマンサーめ!」


 敵の戦力は減り、こちらの戦力は増えていく。

 敵の数が100もいなくなった時に指揮官は何を思ったのか、


 「私は、閣下に報告しに戻り、増援を連れてくる。それまで貴様らが足止めをしておけ!」


 と、自分だけ逃げるつもりらしい。

 そうはさせない。


 「パウロ、逃がすな」


 「はっ」


 一目散に逃げようとした指揮官はパウロの手によって首を撥ねられた。

 それを見た、部下達は恐慌状態に陥り逃げる者、逆に俺に立ち向かってくる者、何もできずにいる者になり、俺達は簡単に敵を制圧できた。

 都合よく敵の副官を捕虜にすることができた。


 「何故この森に入った? 先ほどの会話では、冥王の名が出ていたな?」


 「お、俺達の部隊の命令は冥王の拠点と伝説にうたわれる場所の捜索隊だ。」


 「ほう、冥王様の拠点か。そこに何があるのだ?」


 「伝説では、魔王と勇者の装備がそこにあると言う事しか知らされていない。頼む、助けてくれ、俺が知っていることは、これで全部だ。二度とここには来ないと誓う、あんたの事も喋らない。」


 俺は念話で確かめる事にした。


 『ファミル、こちらは片付いた。今、捕虜から話しをきいている。そこに、魔王と勇者の装備があるのか?』


 『いえ、そんなものは存在しません。500年前の戦いでは彼女達は自分の魔力で装備を具現化して戦っていました』


 「下手な情報に踊らされたな。そんなものは存在しない」


 「ばかな、そんなわけがない。私達は500年前の戦争を生き延びた1人の魔族の長から確かに聞いたのだ」


 「では情報が間違っている。ここは不死の森。アンデッドと私以外は存在しないとんだ無駄死にだったな」


 「頼む助けてくれ!」


 「1人でこの不死の森を抜けられるならな」


 「どういう事だ?」


 「私は手を出さないと誓おう。だがこの森の全てのアンデッドが私の配下ではない。無事に逃げ切れるといいな」


 「そんな……」


 俺達はその場を去る。


 転移魔法で町に戻って来た俺達は危険は去った事を町の皆に伝えた。

 しかし面白い話しもきけたものだ、装備を自分の魔力で具現化できるとは、流石は魔王と勇者と言ったところか。

 そして、500年前の戦争を生き延びた1人の魔族の長か。

 生き延びたなら、装備を具現化できるのを知っていそうなものだが。

 なぜ、わざわざそんな無駄な情報を流したんだ。

 後は、後続の部隊がこの不死の森に来ないようになんとか考えないといけない。

 いっその事、このあたりの土地全てを亜空間にしまってみるか?

 それをすると、もし不死の森が突破された時に逆に違和感を覚えてしまうかもしれない。

 最悪の事態になったら実行すべきだな。

 いまは、そこまでの事態になっていない。


 「お帰りなさいませ、冥王様。まさか不完全な状態で1000の軍勢を全て倒してしまうとは思いもよりませんでした」


 と、ファミル。


 「ああ、俺も自分で驚いてるよ」


 どうも、ファミルとキリンジは、俺に完全な冥王になって欲しいみたいだ。

 完全な冥王になるには1度死ななければならない。

 そんなのはごめんだ。

 俺はまだまだ生きていたいし、もっと強くなって、最後の最後まであがくのだ。


 「ファミル、魔族はどうやらこの不死の森の奥に拠点がある事を知っているみたいだぞ。なんでも500年前の戦争を生き延びた1人の魔族の長から話しを聞いたらしい」


 「やはり、魔族側にもおりましたか。人族の間ではどうなっているんですかな?」


 「そんな話は聞いた事がない。500年前の戦争でさえ、人族にとってはただの伝説になっているよ」


 「冥王様。冥王様はどうしてこの地にやってきたのですか?」


 「それは、カウス王、人族の王にランクSの不死の森の攻略を進められたからだ……。王もなにか知っていのか?」


 「その可能性は高いでしょう。一度、王城に戻りそのカウス王に話しを聞いてみてはいかがでしょうか。王族だけに伝えらえる話しと言う事もあり得ます」


 「確かにその可能性も一理あるな。しかし今すぐでなくてもいいだろう。取り敢えずは、町の強化が先だ。いつまた、魔族が攻めてくるかわからないからな。せめて籠城して少しでも時間を稼げるようにしなければな」


 俺は、久しぶりに土魔法で城壁を強化していく。

 その間に町の衛士や自警団を組織して、キリンジが稽古をつける。

 自警団の中には魔王のリリスと勇者のアリスもまじって稽古をしていた。

 その日の終わりにキリンジに2人の様子を聞いてみた。


 「リリスとアリスの様子はどうだ?」


 「凄まじいですね、まだつたないながらも早くも技術を吸収していく。この分だと後、数週間もすれば、大人達にも勝てるようになるでしょうね」


 「そこまでの成長速度なのか!?」


 「ええ、流石は魔王と勇者と言ったところでしょうか。ですが2人を育ててどうするのです?いずれは私達の敵になるかもしれませんよ」


 「そうはさせないさ、2人は親友だと言っていた。俺達が2人を守れば、500年前のような戦争は起きないさ。それに2人はこの町でで育っている。魔族と人間が共に手を取り合って生きているこの町で」


 「グレイ様がおっしゃるなら私は従うまでです。そうそう、二人とも今日、グレイ様の魔法をみて2人も覚えてみたいと言ってましたよ。私には魔法までは教えられませんので、グレイ様にお願いします」


 「わかった、後で、ミコとサーラにも相談してみよう」


 俺は、亜空間に入り、ミコとサーラを探す。

 最初に見つけたのサーラだった。


 「サーラ話があるんだが、ミコはどこだ?」


 「ミコなら工房に篭って配下達の武器を増産してますよ」


 「増産?なんでまた?十分な数は揃っていると思うが」


 「取り敢えず、ミコを呼んでまいりますね。私達も外の様子が気になりますし」


 俺は2人を連れて応接室で外での経緯を説明した。


 「なるほど、魔王に勇者ですか。というか町に着いていたなら、私達も外に出してくれれば良かったじゃないですかー。まあおかげで、じっくり鍛冶仕事ができましたが」


 「そうですよ、私達も町の防衛に残して頂いてもよかったのです」


 と、ミコとサーラ。

 今日はやたらとグイグイくるな。


 「すまなかったな、魔族の襲撃でそこまで頭が回らなかった」


 「2人を育てて自己防衛ができるようになればいいんですか?」


 とミコ。


 「ああ、最低でもな」


 「それでしたら、ガイアさんやアマーリアさん達にも声をかけた方がよさそうですね」


 と、サーラ。


 ライカンスロープの長ガイア、ダークエルフの長アマーリア。

 この2人も呼んで、事情を説明し、明日から、訓練の手伝いをしてもらう、事になった。

 次の日、訓練にこの町の衛士や自警団の他に、ライカンスロープの皆とダークエルフの皆が参加するよになった。

 魔術の素質がありそうなものは、主にダークエルフに見てもらう。

 もちろん、主な指導役はキリンジ。

 魔法にかんしてはダークエルフ達と言った具合だ。

 俺はまだ壁の補強作業に従事していた。

 もちろん、ミコとサーラも訓練には参加している。

 その中でも異彩を放っているのが、リリスとアリスだ。

 2人は物覚えが良く簡単に魔法や剣の技能を身に付けていく。


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