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34話 不死の森

 カウス王からネクロマンサーの力を使ってもいいとお許しを得た俺達は500年前の冥王の拠点だったという、不死の森に行く事を決定した。

 アンデッドが徘徊する難易度Sの森。

 しかも神獣までいるかもしれないといういわくつきの森に俺達は挑む。

 アンデッドは基本的に俺に攻撃を仕掛けてこないので、問題はいるかもしれない神獣だ。

 俺たちは旅に出るためにまた日持ちする食糧を買いだめする。

 旅の途中で出てくるモンスターも強化された、俺の配下達の前では、瞬殺だ。

 楽な旅である。

 旅の途中では、やはり子供たちを交代で馬車にのせてやる。

 時には、親と一緒に狩りの練習までするようになった子供まで、出てきた。

 子供の成長は早いなと思いつつ俺ももうすぐ16になるんだなぁと思いながら、御者を務める。

 そしてついに不死の森にたどり着く。

 ここから先は俺以外の生者に取っては、危ないので、俺の配下たちもアンデッドに切り替える。

 不思議とアンデッド達はこの森から出てくることはないそうだ。

 俺と配下達は不死の森に足を踏み入れる。

 予想通り、俺にもアンデッドの配下達にも不死の森のアンデッドは反応しなかった。

 俺は気楽に森の中を歩く。

 一応は神獣に気を付けながら森の奥へと進んでいく。

 奥へ進むたびにだんだんとアンデッドの気配が強くなっていく。

 しかし突然、アンデッドの気配が薄くなる。

 すると森の奥から雄たけびが聞こえてくる。


 「ワオーン」


 と狼なような鳴き声が聞こえる。

 ついに、神獣の登場かと思って現れたのは、黒い毛並みの首が3つあるケルベロスが現れた。

 これは、神獣ではなく確実に魔獣である。

 ついに戦闘かと思われたが、巨大な魔獣、ケルベロスはこちらを見て、動かない。

 それどころか、尻尾を振って、命令を待っているかのようである。

 俺は試しに、ケルベロスにダークソウルを使う。

 ケルベロスは何の抵抗も見せずに俺の配下となった。

 すると、ケルベロスはまるでついてこいというような、素振りで俺達を案内する。

 案内に従い着いて行くとそこには町があった。


 ケルベロスと俺達に気づいた門番が、

 

 「大変だ、ケルベロスが人間を連れてきたぞ!」


 と大声で叫んだ。

 よく見ると大声で叫んだ門番は魔族だった。

 すると魔族の兵士と人間の兵士との混成部隊が俺達を囲む。

 1人の魔族が前に出て来て、


 「何者だ!? なぜ、ケルベロスが貴様らを連れてきた!?」


 亜空間が開き、キリンジが出てくる。


 「久しぶりですね。カイル」


 「キリンジ様!と言事は、この方はまさか!?」


 「そのまさかですよ、まだ完全には覚醒していませんがね」


 「おお、ついに見つけられたのですね」


 そう言った瞬間に魔族と人間の混成部隊は跪く。


 「お帰りなさいませ、冥王様」


 ここでも冥王か、一体この街はどうなってるんだ?

 魔族と人間が一緒に暮らしているのか?


 「キリンジ、どういうこだ」


 「言ったでしょ、500年前の冥王の拠点だったと。ここは冥王様が作った町。そして、冥王様が助けた、人々が暮らした町で、彼らはその子孫と500年間、冥王様を待ち続けていた町でもあります。グレイ様」


 「人間も魔族もいるのか」


 「500年前の冥王様は人間でも魔族でもそれが知性あるものなら助けて下さりました。町の中をごらんになってはいかがです?」


 俺は、キリンジに連れられて町の中を散策する。

 見事に人間と魔族が平和に暮らしている。

 歩くたびに冥王様と声をかけら、拝まれる。

 一体、500年前の冥王は何をしたんだ?


 そして、ある、屋敷に連れてこられた。


 「ここが、冥王様の屋敷です」


 と、答えたのキリンジ。


 「ようこそおいでになりました、次代の冥王様。ここでは何ですから応接室へ」


 と出迎えてくれたのは、黒いリッチだ。

 俺達は応接室に通されて黒いリッチに話しを聞くことになった。


 「まずは、お帰りなさいませ。不完全とはいえよくぞここまでたどり着けましたな。道中にはアンデッドがうようよと徘徊していたでしょおうに。失礼、先に名乗ってませんでしたな。私はこの屋敷を任せられている、エルダーリッチのファミルと申します。キリンジもよく、見つけられな。あれからずっとさまよっていたのか?」 


 「いえ、あの100層ダンジョンに篭っておりましたので、見つけたと言うよりも、見つけられたが正しいでしょうな」


 「なんと、すでに100層のダンジョンを効力されたのですか?」


 「それでこの隠里にもたどり着けたのか」


 「ファミル殿、グレイ様は不完全ですが、アンデッドに襲われていませんよ」


 「そんな馬鹿な!? いくら次代の冥王様といえ、未だ命あるもの。アンデッドが襲い掛かって来ないなぞありえん!?」


 「それが、あり得るのですよ。どういうわけか、グレイ様にはアンデッドが襲い掛かってきません。それどころか、ケルベロスさえ、グレイ様に従順でしたよ」


 「ケルベロスでさえか!?」


 「そんなにおかしなことなのか?」


 「くくく、グレイ様。通常はアンデッドが襲い掛かってくるのは生者にのみ襲いかかります。つまりは、不完全なグレイ様にも襲いかかってもおかしくありません、それが逆に言う事をきくのは本来ならありえないのですよ」


 しかし、俺は不完全な冥王のはず、まだ死んではいない。

 成長もしてきた。

 なにかがひっかかるが思い出せない。

 今は、原因を究明をするのは、後にしよう。


 「それで、500年前の冥王はどうして、ここを拠点にしているのだ」


 「かつてはここは、ただの平野でした。魔王と勇者が戦った場所でもあるのです。」


 と、ファミル。


 「その時に戦いを望まない者達を集めてできた町です」


 とキリンジ。


 「戦場の後は、アンデッドが発生しやすい。だからあんなにアンデッドが多かったのか」


 ただの平野にアンデッドが徘徊するし、人が寄り付ける場所ではなくなった。

 そこに、目を付けたのが冥王だった。

 そして今、500年の間に平野は森になり、今に至るということか。

 しかし、勇者と魔王が戦った場所か、壮絶な戦いだったのだろう。

 

 「それで、アンデッドが多くなった場所になった場所で、魔王と勇者の決着はついたのか?」


 「いえ、それは着きませんでした。別の場所で決着がついたのです、同時に魔王と勇者と冥王様も命を落としました」


 史実には載ってない、冥王がいたというやつか。

 何故、冥王がそこにいたのかは謎だが。

 聞いてみるか、ファミルなら知っているかもしれない。


 「何故、冥王はその場所に?」


 「冥王様は魔王と勇者の戦いを止めるために、赴きました。ですが敵わず、命を落とされた」


 魔王と勇者の戦いを止めるためか、相当、お人よしだったのか、別の意図があったのか。

 だれもその時の冥王が、何を考えていたかわからない。

 

 「ですが、ご安心ください。この町の住人は誰も争いを好みません。何の運命のいたずらか、魔王と勇者はこの町に生まれ育っております」


 「っな、魔王と勇者がこの町に生まれいるだって!? それで2人とも無事に育ってたるのか?」


 「はい、2人とも元気に仲良く暮らしています。この不死の森には、人間も魔族も近寄りません、もう2度とあんな悲惨な戦争は起こりません」


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