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31話 冥王の役割とアーデン家の依頼

 俺たちは無事に100層のダンジョンを踏破して冒険者ランクがSへと上がった。

 しばらくは、100層のダンジョンを周回して、能力の強化にあてた方がいいだろう。

 いつまたキリンジみたいな強敵に会うかわからないし。

 俺たちは、再びダンジョンに潜るために準備を始める。

 まだまだ、強くなる為だ。

 まずは他の配下たちを強くするために、61層から80層までのゴブリンロードとオークロードの守護者を配下達だけで、倒せるようになってもらう必要がある。

 そして81層から100層までは俺達ハーデスのメンバーだけで攻略できるように経験をつむ。

 この繰り返しの中で俺個人としては、キリンジにブーストなしでも勝てるように亜空間で修業をつけてもらう。

 そうしている間に月日は流れ、半年がたとうとしていた。

 俺達は更に強くなり、ミコとサーラもSランク冒険者に昇格して、おれもキリンジとの修行の成果が表れて、今ではブーストを使わなくても互角に戦えるようになった。

 すでにこのグランパレスでハーデスを知らない者はいなくなったほどだ。


 「まさかたった半年で私と互角以上に戦えるようになるとは、流石は、次期、冥王と言った所でしょうか」


 とキリンジ。


 「ずっと思っていたんだが、キリンジは冥王について何か知っているのか?」


 「冥王とは、第3勢力の事を表します。人間にも魔族にも組しないことで、この世界のバランスを保ちます。人間と魔族の仲が悪いのは知っているでしょう?」


 魔族とは魔王が支配する魔物達の集団だ。

 ダンジョンに現れるモンスターとは違い統率が取れていて国もある。

 だが、今は魔王が不在で大人しくしていると聞く。

 魔王が現れし時、また伝説の勇者も現れると言う。

 伝説では500年前に魔族と人間の戦争が起きて双方に多大なる犠牲がでたときいている。

 魔王と勇者は、壮絶な戦いを繰り広げ相打ちになったと聞く。


 「キリンジはまた、500年前の戦争が起きると思っているのか?」


 「ええ、思っています。史実には残っていませんが、500年前にもグレイ様と同じように冥王様がいらしたのですよ」


 「それでおまえは、その冥王の配下だったのか?」


 「おや? やはりここまで話せばわかりますか」


 「あなたは、冥王様の生まれ変わりなのですよ、グレイ様」


 「仮に俺が生まれ変わりだとしても、俺は俺だ。かつてのお前の主人ではないぞ」


 「いずれ貴方が冥王として覚醒したらわかるでしょう」


 「戦争を止める方法はないのか?」


 「かつてのあなたもそれを模索していました。戦争が起きないように第3勢力として、三竦みの状況を作り上げるか、魔王と勇者をいち早く見つけて、両方を始末するかですね」


 「それ以外の方法もあるはずだ」


 「グレイ様、この話しはもうやめましょう、ただの水掛け論になるだけで解決しません」


 「確かに、今話し合った所で魔王や勇者が見つかるわけではないか」


 「その通りです。さ、休憩は終わりです。修行の続きをいたしましょうか」


 俺とキリンジは修行に明け暮れる。

 

 ある日、公爵家から冒険者ギルド経由で俺達ハーデスに手紙が届いた。

 何でも、依頼したいことがあるから直接会って話したいとの事。

 公爵家といえば、魔力欠乏症の奥さんに丸薬のレシピを譲って以来だ。

 また何かあったんだろうか?

 俺達ハーデスは一路、公爵家にむかう。

 旅の途中では、亜空間で子供たちも大分成長していて、今は、キリンジが修行を付けてくれいる。

 これもいざという時の備えだ。

 もちろん、ライカンスロープとダークエルフに大人たちや他の配下達も訓練を受けている。

 時間があれば、俺も指導役として、訓練に参加している。

 だいぶ、亜空間も賑やかになったものだ。

 俺の亜空間は、今でも広がりをみせている。

 そして、この半年で俺の配下達も、大分増えている。

 そうこう考えている内に公爵家の領地に到着、俺達は、公爵家からもらった紋章の入った、コインをみせると、すんなりと通された。

 公爵家の屋敷に着くと、すぐに応接室に通された。


 「お久しぶりです、アーデン様」


 「本当に久しぶりだグレイ殿。ハーデスの活躍はこちらにも届いているよ。何よりSランクに昇格おめでとう」


 「ありがとうございます」


 「さっそくですまないが、依頼の話しをしたい」


 「丸薬の件でなにか問題でも?」


 「いや、丸薬自体は大変助かっているよ。おかげで、妻も動けるようになったからね」


 「では、何か別の問題ですか?」


 「そうなんだ、材料の事でね。私の子飼いの部下たちに魔力草を取りに行かせているのだが、最近また、盗賊が出るようになってね、中々尻尾をみせなくて、困っているんだ。そこで、君たちに依頼を頼みたい」


 「盗賊団を捕まえて、壊滅させればよろしいですか?」


 「ああ、その通りだ、すでにこちらにも被害が出ていて困っているのだよ」


 「わかりました。その依頼受けましょう」


 確か以前にシャドウウルフに後をつけさせていたから、すぐにわかるだろう。


 「その前に魔力草の備蓄は足りていますか?なければ、今持っている物を都合できますかが」


 「おお、それは助かる。備蓄も少なくなってきていた所なんだ」


 俺は、いくらかの魔力草の束を渡す。


 後は街道にでて盗賊団を壊滅するだけだ。

 俺達は早速街道にでる。

 

 「シャドウウルフ、以前の盗賊団の臭いを追えるか?」


 シャドウウルフは肯定の意を表し臭いを追っていく。

 すると隣の領地の盗賊団の隠れ家らしき所にたどり着いた。

 どうやら今は、盗賊団は留守のようだ。

 俺は、夜になるの待ち、盗賊団が現れるのを待つ。

 すると、如何にも兵士らしき者達が隠れ家に入って行くのを見つける。

 俺は闇夜に紛れて、聞き耳を立てて、奴らの会話を聞く。


 「アドルフ様もどうして、あそこまで、アーデン家のこだわるんだろうな」


 「さあな、何でも、娘の婿に自分の息子を養子に出して、公爵家を乗っ取りたいって話しは聞くな」


 「公爵家の治安が悪くなれば、ヴァルフ・アーデンの名も地に落ちる。そうすれば、娘婿を取って現当主には隠居してもらうしかなくなるだろうさ」


 「そこで治安が悪くなって、侯爵家のハーゲン家の登場ってわけさ。恩を売って婿を取らせる気じゃないのか」


 そこで、隊長格の男が話しに割って入る。


 「お前たち、無駄口はその辺にしとけ。着替えて、明日に備えるぞ。俺達はただ命令に従えばいい。それに実入りもいい仕事だ。いざという時はこちらの領地に逃げれば、公爵家の連中は追って来れないしな」


 「確かに隊長の言う通り実入りはいいですね、捕まえた女も自由にできるしな」


 「ただし、公爵家の馬車は襲うなよ、以前のようにルルシュ・アーデンが乗っていれば手練れがついているし、嬢ちゃんに何かあれば、アドルフ様の計画がご破算になれば、我らの首も飛ぶ事をわすれるなよ」


 うん、こいつら屑だな。

 しかし、アドルフ・ハーゲン侯爵家が関わっているのか。

 これは、最低でも隊長格だけでも生きて捕える必要があるな。

 ここで捕まえてもいいが、泳がして、現行犯で捕まえた方がいいだろう。

 奴らが動き出すまで待機だな。


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