3話 ゴブリン対策と野盗の襲撃
6歳になった僕は、家の仕事をだいぶ手伝うようになっていた。
朝は水瓶に魔法で水を貯めて、母と一緒に畑仕事。
畑の水やりも僕が魔法を使う事ですぐに終わる。
後は雑草を抜くだけで終わりだ。
最近では村に行商の人も来るようになり、開拓村としては、益々発展してきている。
ただ最近では村の近くにゴブリンが現れるようになってきて村では柵を大急ぎで作り上げたりしている。
そこで僕の土魔法が役にたった。
柵から壁を作り出して、より堅牢にしてゴブリンでは越えられない高さ2mぐらいの壁を村に作りだしていく。
一応、門は皆で木を伐り作りだした。
自警団も結成されてみんな鍛冶屋のトーマスさんが作った武器で稽古中だ。
そしてなんと我が父アルフレッドと母マリアは元冒険者で高ランクだったらしい。
僕ができた事を理由に冒険者を辞めて開拓村に移り住んだそうだ。
父が自警団の団長を務め、母は神官だったらしく主に回復役として立ち回ることになった。
「父さん、俺も自警団に入れてよ、俺だって魔法が使えるよ」
「ダメだ! これは遊びじゃないんだ」
と叱られてしまい。
一人暇になる。
この三年間で僕も自分で魔法の修行をして、だいぶ扱えるようになった。
戦力としては、十分に役立つはずだ。
しかし、いつ死ぬかわからない世界だ、安全な所にいても、自警団がやられては意味がない。
よし、自分を鍛えるためにも自警団の訓練だけでも受けさせてもらおう。
「父さん、訓練だけでも受けさせてよ。せめて自分の身ぐらい自分で守りたいんだ」
「しょうがない、訓練だけだぞ!」
「わかってる」
僕は木剣をもって素振りをひたすら、させられている。
他の皆は素振りは終わり、今はゴブリン戦を想定しての模擬戦が始まっている。
僕も交じりたいが、父がいいというまで素振りをさせられているのだ。
自分にひたすらいい聞かす、これも生き延びるためだ。
いつ何があるかわからない。
出来るときに最善と思ったことを信じて実行するしかない。
しかし素振りもだいぶ疲れる。
だんだんと木剣とはいえ振りが遅くなっていき重く感じる。
「そこまでで、いいぞ。グレイ、よく頑張ったな。少し休憩してなさい」
大人より体力のない僕はすぐにへばってしまう。
生き残るために魔法で補えるとこは補っておきたい。
身体強化の無属性の魔法はもう使えるが訓練で使うと意味がないと思うので使ってない。
もし、ゴブリン達が襲ってきて、この人たちが死ねば次は村が狙われる。
この人たちにも強くなってもらう必要がある。
僕は秘密兵器を出すことにした。
まず、土魔法で即席のゴブリンサイズの土くれ人形を作る。
そして密かに練習していたらできてしまった闇魔法の一つを使う。
「ダークソウル」
多分この力は冥王の力の一端だと思うが生きてるうち使えるのだから問題ないだろう。
生み出した闇の疑似魂魄をゴブリンサイズの土くれ人形に入れると、ゴーレムの完成だ。
僕が生み出したゴーレムと僕は対ゴブリン戦を想定して自主練習だ。
この様子を見れば、きっと父も僕の案に乗ってくれるはずだ。
思い通り父がやって来た。
「これはグレイが作ったのか?」
「うん、ゴブリンを想定して作ったよ」
「そうか、もっと作れそうか?」
「うん、もっとたくさん作れるよ」
「そうか、でもまずグレイが作り出したゴーレムがどの程度なの強さを図る、から本気で動かしてきなさい。」
「動かす? 勝手に動いてくれるけど。まあいいや。いけゴーレム」
「何!? 自律型なのか!?」
しかし父は少し様子を見ているのか受けにまわり、すぐにゴーレムを切り伏せた。
流石元冒険者だ、僕のゴーレムでは歯が立たたない。
「よし、グレイ。魔力の方はどうだ? 後何体くらい作れる?」
「30体は作れると思う」
「そんなにか!? いや、むしろ都合がいい。30体作ってくれ」
僕は父に言われるがままにゴブリンサイズのゴーレムを30体用意する。
「これで、訓練するんだね?」
「その通りだ。強さもちょうどいいだろう」
ふむ、これで村の戦力増強にも使えるし、皆の技能も上がれば、生き残る可能性が上がる。
土くれから作っているから、何度でも再利用が可能だ。
母が僕が使う魔法を見ていて驚いていた。
「グレイ、すごいじゃない、今のは二つの魔法を組み合わせてつくったのね」
「うん、そうだよ母さん。母さんの回復魔法も教えて欲しいな」
「ふふ、向上心があるのね。いいわよ、母さんの出番は今のところなさそうだし」
「まずは回復魔法は何系統かしら?」
「光系統だよね」
「その通りよ、回復魔法を覚える前ににまずはライトボールを使えるかね。母さんが』やってみるからみておくのよ。ライトボール」
母さんがそういった、瞬間に光の玉が現れた。
魔力の流れはこの目で確かに見た、これなら僕でもいける。
「ライトボール!」
母さんよりは小さいが確かに」僕の手のひらにも光の玉が現れた。
「流石グレイね、本当に魔法の才能に溢れているわ。将来は賢者様にもなれるかもしれないわね」
賢者とは、物語にでてくる英雄譚の一つで、全ての魔法をおさめる賢者が悪党をやっつけるお話だ。
だが俺の将来は死んだら冥王と決められいる。
生きている間にどんな夢を見ようといいだろう。
まあ、そう簡単に死ぬわけにはいかないが。
「じゃあ次はヒールの魔法ね。グレイにかけてあげるからよく体に覚えさせるのよ」
そういって母は僕の頭の上に手を置き、
「ライトヒール」
母が唱えた瞬間に体がポカポカと温かくなってきて、先ほどまでの訓練の疲れが取れていくような感覚になった。
「分かったかしら? さあ、グレイも母さんにやってみて」
俺もは母の頭には流石に手が届かいないので手を握る。
そして母の疲れをいやすイメージで魔力を込める。
「ライトヒール」
すると母は淡い光に包まれた。
これは成功か?
「やるじゃないグレイ!本当に天才ね、流石は私達の息子だわ」
と喜んでくれた。
どうやら成功したみたいだ。
こうして、俺は剣術は父に魔法は母に教えてもらえるようなった。
いつものように自警団に混ざって訓練をしていると、猟師のオットーさんが父に何か話している。
いよいよゴブリン達がくるのか?
父とオットーさんの話に聞き耳を立てていると、どうやらオットーさんがゴブリンの巣を見つけたらしい。そこで強襲をかけるか話し合いをしているみたいだ。
結果的に父は自警団と共にゴブリンの巣を一掃することに決めたみたいだ。
自警団たちは、鍛冶屋のトーマスさんが作った武具を装備して出陣することになった。
どうか、誰一人も欠けて帰って来ないことを祈る。
母も後方支援に回るみたいなので、僕は一人で留守番だ。
父が出立する前に僕にゴーレムを展開して防御を固めておくようにと言って出立していった。
僕は父に言われた通りにゴーレムを生み出し、村の護衛に当たらせる。
村には念のため最低限の自警団をのこしている。
これでゴブリン退治も父が居る限り安心だろう。
父たちが出立して、2時間ほどたった、頃だ、物見やぐらで見張りをしていた自警団の一人が金を鳴らす。
カンカンカンカンと音が村全体に鳴り響く。
緊急事態の合図だ。
女子供はすぐに広場近くの地下に倉庫に隠れるが、僕はゴーレム達を伴って自警団の人達に近づく。
「どうしたんですか?」
「君は確かアルフレッドさんの息子のグレイ君だったね。いま、野盗たちがこの村に近づいてきてるんだ。きっとこの時を待っていたんだ。あまりにもタイミング良すぎる。君もすぐに隠れるんだ」
「しかし、このままでは皆さんの命が危ない。それに僕のゴーレム部隊も必要になるはずです!」
「確かに君の力が必要だ。すまないが力を貸してもらえるかい」
「もちろんです。少しでも時間稼ぎをして、父さんたちを待ちましょう、ゴーレムならもう少し大きめのを作ればパワーも上がります」
僕は物見やぐらに上がり近づいてくる野盗たちにゴーレムをけしかける。
更に魔法で追い打ちをかける。
「ダーククラウド」
この魔法は闇属性の魔法で相手に暗闇の煙幕を張る魔法だ、ほんらいならば、逃走用の魔法に当たるが、僕が生み出したゴーレム達は違う、ダークソウルの疑似魂魄で闇属性のゴーレム達には敵が見えている。
もちろん僕にも見えている、立ち止まった敵から僕は魔法で仕留めにかかる。
「ファイアーランス」
炎の槍が敵を焼き尽くす。
ゴーレム達も闇の中に紛れて野盗を殺していく。
野党の数が減ったところで、こちらもうってでる。
今の数なら自警団の皆と協力して、野盗をうつこともできる。
門を開け、総攻撃を仕掛ける。
父さんに鍛えられ自警団もそれなりに強い。
次々と野盗を切り伏せていく。
僕はは、魔法で援護にまわる。
「エアバレット」
風の弾丸が敵をハチの巣にする。
あらかた野盗を片付けて残りの生き残りの2名を捕虜としてるまえる。
これで、野盗はかたずいた。
過剰なアドレナリンが出ていたのだろう、収まってみると、そこは血の海になっていた。
そして僕は殺した野盗の死体を見て、初めて吐いた。