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29話 未踏破ダンジョン 其の4

 一人で90層の守護者と戦う事になった。

 俺は全員を亜空間に入って貰った。


 「賢明な判断ですね。では続きと行きましょうか、ゴズ、メズ」


 再び2体の赤鬼と青鬼が俺に接近戦を仕掛けてくる。

 俺は黒剣を抜いて相手をする。

 2体の動きはまだ目でおえる、後は攻撃のタイミングさえつかめば倒せる。

 だが、2体の鬼は、抜群のコンビネーションで俺に攻撃のタイミングつかめさせない。


 俺は一旦距離を取り、魔法を使う。

 

 「ファイアーランス」


 するとゴズと呼ばれた赤鬼が炎を吸収してしまう。


 「くっ、なら、アイスランス」


 今度はメズと呼ばれた青鬼が氷の刃を吸収してしまった。


 「くそ!2体とも属性持ちか」


 まるで今度は俺たちの番だというつもりか、赤鬼は拳に炎をまとわせ、青鬼はてを手刀のようにして氷の刃を纏わせて、攻撃してくる。

 俺は、避けては攻撃を黒剣で受ける。


 「いつまでもその調子ではいけませんね、私には届きませんよ」


 くそ!確かにこのままじゃいけない。

 

 「ダーククラウド」


 完全な闇の世界を作り相手を攻撃する。

 俺は黒剣で赤鬼と青鬼を切りつけるが、直前で察知されてしまい中々有効打を与えられずにいた。


 「ちっ、浅いか」


 俺はまた闇に溶け込む。

 そして完全に赤鬼と青鬼を捕え、今度こそ首を撥ねようとするといきなり横から衝撃が来て、吹き飛ばされてしまう。


 「ゴズ、メズ下がりなさい。今のは本気で危なかった」


 どうやら鬼人に吹き飛ばされてしまったようだ。


 「貴方は強い、だが、私よりは弱い。しかし、未だ覚醒していないのに冥王の力の一端を使えるとは驚きです。ゴズとメズでは荷が重いようですし、私が相手をしましょう」


 「お前もネームドなのか?」


 「おや?そういえば、名乗っていませんでしたね。私の名前は、キリンジ。あなたは?」


 「俺の名前はグレイだ」

 

 「そうですか、ではグレイ殿。まいりますよ」


 「刀を抜かないのか?」


 「残念ながら今のグレイ殿は、刀を抜くほどの強者ではないので。私に抜かせることができたら勝ちを譲ってもいいですよ」


 「そうかよ!」


 俺は、真っすぐに相手を見据えて突きを放った。

 だが簡単に避けられてしまい、逆にキリンジのケリを食らってしまう。


 「遅い。踏み込みがまだまだです」


 俺は、無属性の身体強化を使う。


 「これならどうだ!」


 身体強化を使いパワーもスピードも跳ね上がる。

 キリンジを倒すために切りかかるが、どれもこれも紙一重で躱されしまう。


 「先ほどよりは、マシになりましたね」


 「戦闘中にごちゃごちゃといってんじゃねえ」


 俺は渾身の力でキリンジの首を狙い黒剣を薙ぎ払う。

 だが、俺の剣は届かず、反対にキリンジのボディブローをもらい、吹っ飛ばされた。


 「今のは中々良かったですよ。ただ、攻撃に夢中になりすぎて、防御が疎かになっては今みたいに反撃をもらうんです」


 「ゲホッ」


 咳をすると口から血がでてきた。

 今ので内蔵をやられたみたいだ。


 「ヒール」


 自分に魔法をかけて回復する。


 「おや、光属性の回復魔法まで使えるのですか。これは驚きだ」


 とほんの少し驚いた顔をしていた。

 俺は自分に身体能力強化の魔法の上から更に風魔法をエンチャントとし更にスピードを上げてキリンジに切りかかる。


 「ウラァ」


 「おっ、更にスピードが上がりましたか」


 それでもキリンジは涼しい顔して、俺の攻撃を避ける。

 その避けた先に俺は無詠唱の転移魔法で移動し黒剣を振るう。


 キン


 と音共に俺の一撃は防がれた。

 キリンジが抜かないと言っていた、刀を抜いたのだ。


 「刀は抜かないんじゃなかったっけ」


 「本当にあなたには驚かされる。無詠唱での空間転移までやってのけるとは」


 「たしか刀を抜いたら、勝ちを譲ってくれるんだよな?」


 「ええ、もちろんです。91層の扉を開きましょう。ですがせっかくですので、このまま少し戦いましょうか、私は、今のグレイ殿の限界が知りたい」


 こうなりゃとことん付き合うしかない。

 自分の限界を超えてやる。

 こんなところで死んでたまるか!


 「いくぞ」


 「いつでもどうぞ」


 俺はキリンジに斬りかかった。

 何度も転移で奇襲をかけるが、見事に刀で防がれてしまう。


 「もっと殺気を抑える事を覚えないといけませんねぇ」


 と軽口ばかり叩きやがる。

 っ全然攻撃が当たらない。

 それどころかこちらが押され気味で傷が絶えない、その度に無詠唱でヒールを使い傷を回復させる。


 「貴方の魔力は無限なのですか、傷を付ける度に回復されては、グレイ殿を倒せないではありませんか」


 なんて、言っているが、明らかにこちらが遊ばれている。

 確かに魔力には余裕がある、今もダンジョンコアから魔力が運ばれて来て回復速度は速い。

 しかしキリンジを倒すだけの力が今はまだ足りない。

 どうする俺。


 「では、私も少し本気で行きますか」


 キリンジのスピードが更に上がり、俺の傷が増えていく。

 戦闘しながらの回復魔法もかなり神経を使う。

 こうなったら、もうやるしかない。

 魔力に物を言わせてブーストの上にブーストをかける。


 「ダーククラウド!」


 「今更そんな猫だましが通用するとでも」


 俺は一旦距離をとる。

 その数秒の間に身体能力強化と風魔法をエンチャントしてパワーとスピードを更に上げる。

 体が悲鳴を上げているのがわかる。

 もう無理だと。

 違う、無理ではない、やり遂げるんだ。


 「オオオオオ」


 俺は一直線にキリンジに向かい斬りこむ。


 「まだ、伸びますか。やっぱり、やればできるじゃないですか」


 「その減らず口を聞けないようにしてやる」


 「へえ、それは楽しみですね」


 今の俺とキリンジは互角だ、いや、魔力が多い分こちらが有利だ。

 しかし早めに決着をつけないと俺の体が持たない。

 

 「ダークハンド」


 俺の影から無数の闇の手がキリンジに襲い掛かる。


 「ちっ、厄介なものを呼び出しますね」


 俺は決め手に更に闇魔法を使う。


 「ヘルハウンド」


 俺の影から更に地獄の番犬を呼び出し攻撃させる。


 「ここまで冥王の力を使えるのか!?」


 俺は持てる力を全て使ってキリンジに攻撃を仕掛ける。

 無数の闇の手でキリンジを拘束し更にヘルハウンドと俺の同時攻撃。


 「おのれ、これしきの事で私が……」


 しかし、流石のキリンジも全ての攻撃を受け止めきれず刀を落とした。

 

 膝をつくキリンジに黒剣を突き付け、


 「降参し、約束通り我が配下となれ。キリンジ!」


 「私の負けですね、清々しいほどに負けてしまいました。約束通りグレイ様の配下になりましょう」


 良かった、正直、体が持たない所だった。


 「貴方なら、簡単に100層のヴァフォメットも倒せるでしょう。ではコアルームでお待ちしております」


 そういってキリンジは消えて行った。

 コアルームで待つ?

 一体どういうことだ。


 疲れた俺は体に鞭を打って91層の転移結晶に触れて亜空間に入った。


 「グレイ様よくぞご無事で」


 とパウロ。


 「2人ともどうしている?」


 「2人とも命に別状はございません。医務室で横になられて、まだ目を覚ましておりません。今はアマーリア殿がついていらっしゃいます」


 「そうか、ならそれでいい。俺も奴には勝てたが体がくたくただ、俺も休む。後の事はパウロ、リッチやワイト達と相談して決めてくれ、任せる」


 俺はパウロ達に後の事は任せて、休むことにした。


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