28話 未踏破ダンジョン 其の3
俺たちがダンジョンに潜って数日。
50層の守護者に挑んだことで噂になり、数日たっても帰って来ないので、死亡説が流れているらしい。
俺たちは、急いで冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドに到着したら、ギルドにざわめきが起こる。
「おい、あれってAランクパーティーのハーデスじゃないか?」
「生きて帰って来たって事は50層のミノタウルスを討伐したって事じゃないか」
「マジかよ、あのミノタウルスを倒したのか!?」
俺は、冒険者達の声や視線を無視して受付に向かう。
「俺たちの死亡が届けられてると聞いた。取り消してくれ」
「ハーデスの皆さん生きていたんですね!てっきり、死んだのかと思っていました。すぐにギルド長を呼んできます!」
そういって、受付嬢は走って行った。
すぐにギルド長が下りてきて、
「信じられない!ミノタウルスを倒したのか!? 話しを聞きたい、すぐにギルド長室に来てくれ」
俺たちは、ギルド長室に通された。
「で、本当にミノタウルスを倒したのか!?」
「ええ、討伐しました」
「では、なぜ帰ってくるのがこんなに遅れたのだ?」
「それは、更に下に続く階層があり、攻略していたからです」
「それで、何層まであったのだ?」
「まだ、完全に攻略したわけでは、ありません。今は71層の転移結晶から帰還してきたところです」
「何とそんなに階層があるのか!? して今までの攻略の情報や取れた、アイテムは、公開してくれるんだろうな!?」
俺たちは今までのダンジョン攻略の経緯を説明した。
もちろん、アンデッドや配下のブラックモンスターの事は伏せてだが。
「なるほど、かなり危険だな。ところで、モンスターの素材はどうした?」
「ある程度は持ち帰っていますが、流石に全部は持てませんので、泣く泣く置いてきました」
これは嘘だ、全て亜空間の中にしまってある。
「それは、仕方あるまい。ある程度ギルドに卸してくれれば、そなたちの功績も認めよう」
俺は、モンスターの使える素材や、途中で取れた宝石などをいくつかギルドに売却した。
今の所金にはそんなに困ってないので、残りの素材は自分達の強化に使うつもりだ。
と言ってもほとんどが人型のモンスターなので、強化に使えそうなの途中で見つけた魔石ぐらいだ。
「それで、また潜るつもりか?」
「もちろんです、一旦食料などの買い出しに戻って来たので、またしばらくは帰って来ないと思います」
「そうか、有益な情報だった。また潜るなら気をつけてな、今やおぬしらがこのグランパレスのトップ冒険者じゃからな」
「ええ、十分に気を付けます」
そういって、俺たちはギルド長室を後にした。
俺たちは一度宿にもどり、少し休んだ後、買い出しに出かけて行く。
配下達、主に生きているライカンスロープとダークエルフにお土産の食い物も大量に買い込む。
そして肉の確保として森に入り、大量のビッグボアを仕留めた。
これは亜空間内で干し肉にしたり、オーガ達の食い物にもなる。
そして準備が整い、俺たちは再度ダンジョンに挑む。
今回は、大量に出てきた、61層から再スタートして、配下の能力向上に努める。
順調に敵を殲滅して、70層の守護者ゴブリンロードにもう一度挑む。
今度はミコとサーラがゴブリンロードの相手をする。
2人がかりで息の合ったコンビネーションでゴブリンロードを翻弄し、あっという間に倒してしまう。
2回目と言う事もあり、配下達も難なく敵を殲滅していく。
そして、前回の続きの71層の転移結晶にきた、ここからの敵は似たようなモンスターばかりなのでここでも俺たちの無双は続く。
そして、80層の守護者部屋にたどり着く。
扉が開くと、オークロードどその取り巻き達が多数出現した。
70層の守護者とそんなに変わらない。
俺たちはこの階層も問題なく攻略に成功。
やはり、未だ下があるのだろう、81層目の扉が開いた。
転移結晶に触れて、今日はここまでにして野営の準備にはいる。
もちろん野営と言っても亜空間内で休むだけだが。
次の日、81層目に挑む。
81層目から現れたモンスターは鬼だった。
筋骨隆々の額に角が生えている極めて強力なモンスターである。
角が生えていることからよくオーガに間違われやすいが全くの別物。
一気に難易度が上がったのを感じる。
俺たちは細心の注意を払って探索を開始する。
鬼たちは1体1体が強い。
その証拠に俺のブラックゴーレムがたった3発で崩れてしまった。
雑魚でこの強さ。
俺は鬼の攻撃をかわしながら、傷を付けて行く。
1体を倒すのに数分かかる。
現れる数が少ないのが、救いになっている。
俺の召喚するアンデッド達もいとも容易く倒されていく。
だがその隙をを突いて攻撃に転じて鬼どもを倒す。
何体かをダークソウルで配下に加えてからは、大分楽になったが、それでも中々前に進めずにいる。
90層に着くころには、俺たちは生傷が絶えない戦いになっていた。
もちろん鬼の配下も作りながらだが、それでも鬼たちは強かった。
90層の守護者部屋に着く。
90層の守護者はかなり強いと予想できる。
今まで通りの編成では悪戯にこちらの被害が大きくなる。
ライカンスロープとダークエルフに新たに配下にした鬼、リッチにワイト、パウロを連れて行く。
それ以外の配下亜空間で待機だ。
「いいか、負傷したものはすぐに亜空間に逃げ込めこの先の守護者はかなりの強敵と思われる。ミコとサーラも何かあれば亜空間に逃げ込め。俺一人なら、いざという時に逃げ切れる」
「了解です」
「畏まりました」
と、ミコとサーラ。
そして俺は、扉を開く。
そこには、両サイドに肌が赤い1本角の鬼と肌が青い1本角の鬼。
そして、真ん中に人間サイズの着物を着た2本角の刀を持った鬼人が座っていた。
「これは珍しい。何やら外が騒がしいと思っていれば侵入者か。しかも闇の気配をここまでもっているとは、貴殿が次なる冥王と言う事か。すでに外の鬼どもも配下にしている。素晴らしい」
と、鬼人がいう。
話が通じる相手か、しかも俺の事を冥王と知っている。
このまま配下にできるか?
「話しが分かるなら早い、元は鬼も闇の眷属のはずだ。俺の配下になれ」
「これは異なことを言う。貴殿はまだ、冥王様と呼ぶにはまだ早い。その証拠に外の鬼どもにも襲われたのであろう? 貴殿は今だ不完全な状態だ次代の冥王よ。私に勝ったなら喜んで配下になろう。だがまずは貴殿がどこまでやれるか見てみないとな」
鬼人はそういうと、ニヤリと獰猛な笑みを浮かべた。
「ゴズ」
赤鬼が一歩前に出る。
「メズ」
青鬼が一歩前に出る
「まずはお前たちに任せる」
そういうと、2体の鬼は俺に向かってきた。
速い!
2体の鬼は同時に俺に殴りかかって来た。
駄目だ避けきれない。
俺はとっさにガードにうつる。
重い。
が、受け止めきれないほどではない。
「「グレイ様!」」
と、ミコとサーラが叫び、援護をしようとした時だ。
「邪魔をするでない」
と、鬼人がいつの間にか、2人を刀の鞘で殴って気絶させた。
「ミコ!サーラ!」
「安心しろ、気を失っているだけだ。他の者も動くなよ。動けば切る」
「全員ミコとサーラを連れて亜空間に逃げろ!」
「グレイ様しかし……」
と、パウロ。
「いいから、言う通りにしろ。お前たちに勝てる相手ではない」
「くっ、畏まりました。ご武運を」
そして全員亜空間に入っていった。
こうして俺は、1人で90層の守護者と戦う事になった。
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