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24話 魔力欠乏症

 公爵家のヴァルフの妻ターニャが謎の病気、魔力欠乏症という病気で定期的に魔力草を煎じて飲まなければいけないそうだ。

 この世界には人間に限らず全ての生物に魔力が存在している。

 その魔力が枯渇すると、普通は回復するまで、体に倦怠感や、ひどいものは意識を失い、気絶するものもいる。

 魔力草は魔力が溜まりやすい場所、つまり、アンデッドが発生しやすい場所によく生えている。

 そのため、アンデッドダンジョンに自生しているのだ。

 もちろんアンデッドの瘴気で毒草も生えやすくなっている。

 その毒草も少量なら薬に使われることもある。

 逆に体の傷を癒す薬草は通常のダンジョンにもあるし、外の森などにも自生している。

 そのほかにアンデッドが生まれやすい場所は戦場だ、これは多くの死んだ生物の魔力がそこに四散して生まれると言われている。

 そうした場所にも魔力草は生えやすい。

 偶然にも俺は、アンデッドダンジョンを1つ所有しているので、定期的に魔力草を渡すことができる。

 しかし、公爵のヴァルフは近くにアンデッドダンジョンがあると言った。

 これは、2つ目のアンデッドダンジョンを所有するチャンスでもある。

 幸いにも今は娘のルルシュが魔力草を手に入れ時間もある。

 ここは依頼を受けるべきだろう。


 「アーデン様、その依頼受けましょう」


 「なに、本当か!? ありがたい、Aランクパーティーなら安心できる」


 「依頼はギルドにも通しているのですよね?」


 「ああ、その通りだ冒険者ギルドにも通している」


 「念のためにギルドの依頼はそのままにしておいてください。私どもが取れなかった場合に備えて。それとこれを渡しておきます。この丸薬は私達が開発した、魔力回復薬です。煎じて飲むよりは効果があります」


 「なんと丸薬の開発までしているのか!?」


 「俺たちも冒険者です、保険は多い方がいいですからね」


 「その丸薬のレシピを売ってくれないか? 金貨300枚! いや500枚出そう!もちろんこのことは秘密にする。君たちの商売のタネだからな」


 「いえ、レシピはタダでお譲りします」


 「しかしそれでは、君たちに旨味がないではないか」


 「その代わり、何かあった時は私どもの後ろ盾になってもらいたい」


 「それこそ、願ってもないことだ。Aランクパーティーとの繫がりは公爵家としても大事にしたいものだからな。本当にそんな事でいいのか?」


 「私どもはそれで構いません」


 そういって、俺は亜空間から丸薬のレシピを取り出す。


 「噂には聞いていたが、本当に空間魔法が使えるのだな。いや、今はこのレシピが先だ。早速我が屋敷の薬剤師に見せてみよう」


 「それでは、私どもは早速アンデッドダンジョンに潜ってまいりますので、場所を教えてください」


 「すまない、助かる。場所はここから南へと行った場所だ、部下に地図を書かせよう」


 こうして俺達は、アンデッドダンジョンに向かうことになった。

 ダンジョンに着くと予想通り人気も少なく。

 アンデッド達は俺達に反応していない、適当に間引きながら先に進み、10層の守護者部屋までたどり着く。

 守護者はスケルトンナイトだった。

 スケルトンナイトを新たに配下に加えて更に下の層に進む。

 20層の守護者部屋のハイゾンビたちも同じく配下に加えていく。

 30層の守護者部屋のリッチも同じだ。

 どうやらここは30層で終わりみたいだ。

 俺は、ダンジョン機能を使いコアルームへと移動する。


 「ダークソウル」


 でコアを黒く塗りつぶしていく。

 これでアンデッドダンジョンを2つ俺の支配下に置いた。

 俺の中に新たな魔力が流れ込んでくる。

 ここのダンジョンもオーバーフローを起こさないように調整をしておく。

 そして、あまり速く帰っても怪しまれない程度に時間を潰しておく必要がある。

 

 さてこの間に、ダンジョンの機能で何かできないか調べてみるのもいいかもしれない。

 すでに俺の亜空間もダンジョン化している。

 更に手に入れた事で、出来ることが増えていないか調整してみる。

 2つのダンジョンと俺の亜空間が同期したことで、亜空間の広さがまた増えたようだ。

 更にアンデッドを生み出すことができるようになったことが感覚でわかる。

 まさに俺自身がダンジョンのコアになった気分だ。

 試しにスケルトンを召喚してみる。

 少し魔力を使うが召喚事態は成功だがダンジョンが生成したスケルトンと俺が召喚したスケルトンでは違いが表われた。

 ダンジョンが生成したスケルトンは通常の白いスケルトンだが、俺が召喚したスケルトンはすでにダークソウルが掛かった黒い状態で出現した。

 推測になるが、冥王としての力が関係しているのかもしれない。

 以前も思ったことだが、冥王の力は俺が死なねば発現されないはずだが、その力の一端を使えるのは一体どういう事だ?

 何かが俺の中で起こり始めているのか?

 俺の生まれに関係しているのか?

 それともまた別の要因か?

 考えても答えはでてこない。


 もう十分に時間も潰した。

 そろそろ帰った方がいいだろう。

 俺たちは、魔力草を持って公爵家に向かった。


 「お待たせしました、これが魔力草です」


 「おお、随分早かったではないか、流石はAランクパーティー、黒い惨殺者だな」


 「アーデン様、その二つ名はかなり物騒なので、出来れば、ハーデスでお願いします」


 「そうか?中々に良い二つ名だと思うがな」


 「それで、奥様の容態はどうですか?丸薬は約に立ちそうですか?」


 「ああ、丸薬の方が効き目がいいらしい、ありがとう。持ってきたくれた、魔力草もそのまま丸薬に使うつもりだ」


 「丸薬を飲んで今は、妻も調子がいいみたいだ、是非、会ってやってくれ」


 俺たちはヴァルフの妻ターニャが休んでいる寝室へと案内された。


 「初めまして、アーデン夫人。お話しは聞いていると思いますが、ハーデスのリーダー、グレイと申します」


 「貴方が、丸薬のレシピをを譲ってくださった、グレイさんね。ありがとう。久々にとても気分がいいわ」


 「それは、ようございました。私どももレシピを譲ったかいがあります。あまり無理はせぬようにお体にはお気を付けください」


 「ふふ、ありがとう」


 俺たちは、挨拶もそこそこに寝室をでた。


 「あのように妻のターニャが笑うの久しぶりだ、本当にありがとう」


 「私たちは、依頼をこなしたまでです」


 「そうであったな、これを持っていくとよい」


 貰ったのは公爵家の紋章が入った、コインだった。


 「何かあった時はそれをみせればよい。大概の事はそれで事は済むはずだ」


 「ありがとうございます。アーデン様」


 「なに、これぐらいで妻のターニャの笑顔が見れたのだ、こちらが礼を言いたい。改めてありがとう」


 「とんでもございません、アンデッドダンジョンもしばらくはモンスターの数が減っているでしょうから魔力草も取りに行きやすくなってるはずです」


 「そうかでは、我が騎士達にしばらくは取りに行ってもらえるな。これからグレイ殿はどうするのだ?」


 「一先ずダンジョンの街グランパレスへ向かい、そこで更に力をつけたいと思っております」


 「そうか、グランパレスへ向かうのか、あそこはダンジョンも多い。さらなる活躍を期待しているぞ。それに、間引きが間に合わず、オーバーフローを起こさないようにくれぐれも気を付けてくれ」


 「はい、お言葉しっかり受け止め、精進してまいります」


 こうして俺たちは、公爵家を後にした。



 

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