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23話 貴族との出会い

 貴族の馬車を盗賊から助けて、物騒な二つ名まで知った俺は今、助けた騎士達の治療を行っている。


 「まさかこんなところで噂の黒い惨殺者のAランクパーティー、ハーデスに出会うことになるとはな。しかも部下の治療までしてくれ、助かる」


 「いえ、とんでもありません。ところで噂と言うのは?」


 「なんだ知らんのか? 各地で村や町を救っているではないか。それも黒い軍勢を召喚し、完膚なきまでにモンスターや盗賊を亡き者にしていると聞いている。そこで付いた二つ名が黒い惨殺者ではないのか」


 良かれと思って助けていたがそんな二つ名で呼ばれいたのか。

 どうりで途中で出会った、町や村の皆が恐れていたわけか。

 二つ名がそんな物騒な名前じゃ、恐れられて当然か。


 「ところで馬車の中の方はご無事でしょうか?もしケガをされているのであれば、私でよければ、回復魔法を使いますが」


 「わたくしなら平気です」


 と現れたのはまだ幼さが残る少女が馬車から出てきた。


 「危なき所を助けて頂きありがとうございます。わたくしの名前はルルシュ・アーデンと申します」


 相手は貴族、俺たちはすぐに跪く。


 「恐れ入ります。Aランクパーティー、ハーデスのリーダー。グレイと申します」


 「同じくハーデスのメンバーのミコと申します」


 「サーラと申します」


 「御立ちになってください。助けてもらったのはこちらの方です、公爵家アーデンの者として礼をするのはこちらの方です。改めて助けて頂きありがとうございます」


 公爵家の人間だったのか。


 「とんでもございません。当然の事をしたまでです」


 と俺は、お嬢様のお許し得たので、立ち上がり言った。

 貴族に無礼を働けばすぐに首が飛んでもおかしくない社会だ。

 しかも相手は公爵家ときた。

 これは無礼が無いように気をつけねば。

 それにしてもあの、盗賊団も公爵家を襲えばどうなるか、分かった上での犯行か?

 妙に統率も取れていたし、服装は盗賊のそれだが、装備は上等な物だ。


 「まあ、噂のAランクパーティー、シュバルツ惨殺者マーダーの!? せっかくですので、我が家に是非来ていただきお礼をせねばなりません、命の恩人ですものね」


 とお嬢様は手を合わせながらこちらを見て言う。


 「もったいなきお言葉です。ですが、こちらは礼儀作法も知らぬ冒険者。アーデン様に無礼があっては、いけません。」


 と、一度はここでやんわりと断っておく。

 俺たちは貴族と特に繫がりが欲しいわけではない。


 「そこまで畏まれるのであれば、無礼には当たらないでしょう。それにお父様もきっと許してくれるわ。だから是非、我が家へいらしてください。それに護衛にAランクパーティーが付くとなれば、より安心ですわ」


 これ以上、断るのは無礼にあたるか。

 しかもちゃっかり護衛依頼として頼んできている。

 断れないな。

 一応、護衛の騎士の隊長さんを見ると、頷いているし、大丈夫だろう。


 「畏まりました。Aランクパーティー、ハーデスが護衛に付かせていただきます」


 こうして俺たちはアーデン公爵家のルルシュ様の護衛として、屋敷まで行く事になった。

 屋敷までは何事もなく、たどり着いた。

 公爵家の領地につくと前触れに出ていた騎士がいたのか、スムーズに公爵家の屋敷にたどり着いた。

 屋敷の前に着くと、メイドと執事が勢ぞろいでお出迎え。


 「お帰りなさいませ、お嬢様。御父上が心配なされております。Aランクパーティー、ハーデスの御一行様もささどうぞこちらへ。お話は伺っております」


 と応接室に通された。


 「心配したぞ、ルルシュ!」


 と、たぶん公爵家のと当主だろう、父がルルシュを抱きしめている。


 「お父様、ご心配をおかけしました。聞いていると思いますが、Aランクパーティー、ハーデスの方々に助けて頂きましたから」


 「娘を助けてくれてありがとう。私は、公爵家の当主、ヴァルフ・アーデンだ」


 「恐れ入ります。Aランクパーティー、ハーデスのリーダー。グレイと申します」


 と、俺たちは跪く。


 「そんなに畏まらなくていい。君たちは娘の命の恩人なのだから。それで、ルルシュ手に入れたのかい?」


 「はい、お父様。無事に手に入れることができました。これでお母様の病も治るといいのですけど」


 「おっと、すまない。客人の前でする話ではなかったな」


 ここは踏み込むべきとこでは、ないな。


 「いえ、お気になさらずに」


 「実は妻が、ちょっと病気を患っていてね」


 向こうが踏み込んできた!?


 「まあ、座って話そうか」


 「わたくしはお母様に薬を持って行ってまいります」


 とルルシュはここで退席した。

 

 俺たちは改めて席に着いて話し合う事になった。

 

 「まず、娘を助けてくれた礼だ」


 そういうと、執事が袋を持ってきた。


 「金貨300枚ある。受け取ってくれ」


 「そのような額、受け取れません!いくら何でも多すぎます」


 「なに、娘の命と妻の薬を無事に届けてくれたのだ。これぐらい、安いものだ。それに公爵家としてもAランクパーティーの繫がりは大事にしたいのだよ。それが最近、巷で噂の黒い惨殺者とあっては、余計にね」


 全然いい二つ名ではないがな。

 ただ敵を全て倒してきただけだ。

 

 「色々な噂が飛び交っているよ、まあ中には眉唾ものの噂もあるけどね、例えば、モンスターをと討伐するために村を1つ壊滅させたとかね」


 と笑いながら語ってくれるヴァルフ・アーデンさん。


 「アーデン様そのようなことはした事がありません」


 「はは、分かっているとも。もしそんな事があれば、いくら何でも我が領軍が動く事態になるし、君たちには今頃、懸賞金が掛けられているよ」


 心臓に悪い話しだ、まったく。


 「ではありがたく頂戴いたします」


 「ああ、受取ってくれ」


 すると娘のルルシュが戻って来た。


 「お父様の笑い声廊下まで聞こえてましてよ。なにか楽しい話でも?」


 「なに、報酬の金貨300枚が多すぎると言う話しと二つ名の話しをしていたところだよ。それでターニャはちゃんと薬を飲んだかい?」


 「はい、お父様。今はお部屋で休まれています」


 奥さんは病気のようだな、変に絡まれなければいいが。


 「妻は病気でね、Aランクパーティー、なら聞いた事がないか? 魔力欠乏症まりょくけつぼうしょうという病気の事を」


 やっぱり絡んできたか。


 「魔力欠乏症? ですか。すいません、聞いた事がありません。どういった病気なのですか?」


 「体内の魔力が徐々に失われていく病気でね、定期的に魔力が豊富に含まれる魔力草を煎じて飲まなければいけないんだ。これが中々市場に出回らなくてね。なんせ生えているのがアンデッドのダンジョンにしかないんだよ。アンデッドのダンジョンは不人気だし、魔力草の数も少ない。冒険者ギルドにいつも依頼しているんだが中々に依頼を受けてくれる冒険者が少ないんだ」


 ん? アンデッドのダンジョンなら1つ所有しているな。

 魔力草も俺なら定期的に渡すことができる。

 転移魔法を使えばいつでも戻ることができる。


 「もし、君たちが貴重な魔力草をもっていたら、譲ってくれないか?もしくは近くにある、アンデッドのダンジョンに潜って取って来てもらえると助かる。もちろん対価はそれ相応に払うつもりだ」


 確かに魔力草を持っている。

 これは、今、亜空間にて魔力回復薬を作れないか実験中でもある。

 すでに丸薬として試作品もできている。

 ただすぐに効果がでず、ゆっくりと回復するため、魔力草を煎じて飲むよりマシな程度だ。

 今、開発中なのは、即効性がある魔力回復薬だ。

 これの実験にダークエルフとワイトにリッチが力を注いでいるところだ。

 

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