22話 Aランクパーティーへの昇級と二つ名
無事にダンジョンを制覇してコアを吸収した俺は、地上に戻り、掃討戦に移行することにした。
もちろん、ダンジョンで活躍してくれた、配下達は亜空間に戻している。
地上では、ライカンスロープの戦士とダークエルフの戦士が大活躍してくれいた。
ほどなくして、地上戦も終わりを迎えた。
俺は、今、冒険者ギルドのギルド長室に通されて、ギルド長の爺さんと話していた。
「今回の活躍ご苦労であった。して、あの軍勢については冒険者達に一応は口止めをしたが、いつまでも人の口に戸は立てられぬぞ」
「わかっているが、あの場合ああするしか、この街を救えなかっただろう?」
「おぬしの言う通りじゃな。お主は一体何者じゃ?召喚と言ったがあれは、使い手の少ない亜空間魔法じゃろ?」
流石はギルド長、見事にいい当てられてしまった。
今回の事で、もうギルド長の爺さんには話しておいてもいいかもしれない。
「バレてたのか」
「儂を甘く見過ぎじゃ」
「俺は闇魔法を使える、それで闇の眷属とされている者達を配下にすることができるんだ」
「っ!? 闇魔法じゃと、儂も使い手を見るのは初めてじゃ。だが、それだけではあるまい? お主はまだ何か隠しておるな? たった3人でオーバーフロー中のダンジョンを攻略できるとは思えん」
「やはり、そこもわかるか。確かに俺にはまだ配下達がいる。だがおいそれと人に見せてもいいものじゃない。きっと勘違いされるからな」
「勘違いじゃと? 街を救った英雄が何に勘違いされると言うのじゃ。確かにライカンスロープやダークエルフ達も闇の眷属じゃと言われているが、何も悪いわけではないぞ。」
「俺は、アンデッドも使役できる」
「お主、ネクロマンサーか!? 確かにそれではいい噂にはならんな。ネクロマンサーは時に邪法ゆえに賞金が掛けられることもある。しかし、お主が亜空間から出したライカンスロープもダークエルフも生きておったように、見えたが?」
「ああ、間違いなく、奴らは生きて俺の配下となった。ここには爺さんしかいないから見せても問題ないか」
俺は亜空間からブラックゴブリンを1体呼び出す。
「なんじゃ!? 黒いモンスターじゃと!?」
「こいつは俺が殺したゴブリンに闇魔法を使って新たに生み出した、モンスターだ」
「これがただのゴブリンだったというのか?」
「もとはそうだ」
「俄かには信じられんな。しかし目の前に確かに存在しておる。しかもゴブリン以上の強さを感じる」
「これでわかったか? 俺が勘違いされると言った理由が?」
「確かにこれは、お主の言う通りじゃな。じゃが、いつまでも隠し通してもいけまい。いずれこの秘密も露見するじゃろ。いっその事、今回の事で、公にすればどうじゃ?」
「黒いモンスター使いとでも言ううのか? 配下の中にはアンデッドのリッチやワイトもいる。そんな奴を誰が信用する? それともギルド公認のネクロマンサーとして登録してくれるか?」
「ふむ、ギルド公認となると、儂だけの力では無理じゃな。今回の功績を持ってしても、難しいな」
「じゃあやっぱり隠し通して行くしかないな」
「じゃがお主がその力でSランクになるほど功績を積めばギルドも認めるかもしれんぞ」
「今回の事で、俺はAランクにあがるのか?」
「そこは保証しよう。だがSランクとなるとかなりの功績がひつようじゃな」
「どうすればSランクになれる?」
「Sランクになるには、国を救うほどの偉業、例えばドラゴンの討伐か難易度の高いダンジョンの攻略をいくつもして、周りに強さを見せつけるしかあるまいな」
ドラゴン。
この世界の最強生物の一角じゃねえか。
流石に今の俺の力でもドラゴンは倒せるとは思えない。
やはり、グランパレスへ行って、もっと強さを身に付けるしかないな。
「俺たちはダンジョンの街グランパレスへ行こうと思っている」
「一先ずは、そこを目指してSランクを狙うしかないであろうな。取り敢えずギルドのタグを貸せ、Aランクに昇級させる」
俺たちは冒険者のランクタグを渡す。
数分もしないうちにタグは出来上がり、俺はAランクにミコとサーラはBランク冒険者になった。
「これでお主たちのランクは上がった。だが、パーティー名もつけねばな。これから先、知名度を上げるためにも必要じゃ。すでにパーティーとしてはAランクになるからな」
パーティー名か、どうするか、俺は、死んだら冥王になるし、俺の軍勢は黒いモンスターばかりだ。
いっその事思いきった、名前にするか。
「俺たちのパーティー名はハーデスにする」
「ハーデスか少々物騒な名前じゃが、お前たちになら、ピッタリじゃな。よかろう、これからパーティー名ハーデスは、Aランクパーティーじゃ!」
こうして俺たちはAランク冒険者ハーデスとして行動することになった。
パーティー名も決まった事で俺たちは次の待ちに移動することになった。
今回のオーバーフローでライカンスロープもダークエルフも大分能力が上がった。
そこでミコは漸く完成した、工房に篭りライカンスロープとダークエルフの武具を作り始めた。
今までに貯めていた素材を使い、今できる最高の武具を作ると活きこんでいる。
おれは、旅の途中でできた、武具にダークソウルを使い、黒く染め上げ更に武具の強化を図る。
出来た武具は全て黒く塗りつぶされ、まさに冥王の闇の軍勢みたいになったが、これで、少しでも死ぬ可能性が減るのだから安い物だろう。
旅の途中はやはり子供たちを順番に馬車に乗せて、景色を楽しんでもらう。
何回かモンスターの襲撃があったが、子供たちに被害を出す前に亜空間に逃げてもらい、その間に俺たちが排除していく。
急ぐ旅でもないので村や街に立ち寄っては、モンスターの殲滅や村の守りを固めるために防壁を作ってあげたりとゆっくりとグランパレスへ向かう。
なぜか途中の町や村では恐れられていたが、それでも順調に旅は進んだ。
しかし、トラブルはやってくる。
剣戟の音が聞こえ、子供たちを亜空間に逃がす。
俺たちは、急いで、音の方向へと馬車に向かわせる。
明らかに豪華な馬車を盗賊風の奴らが襲っている。
馬車は多分貴族の者だろう、護衛が押され気味だ。
「助太刀いたします」
貴族の護衛の騎士達は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに戦闘を開始する。
盗賊を切り伏せていき、数が減ってきたところで、
「くっ撤退だ!」
と盗賊団が逃げていく。
俺は、シャドウウルフに密かに後をつけさせる。
貴族と思わしき護衛の騎士達に負傷者もいたのでその場での深追いは辞めておく。
「ご助力に感謝する」
「いえ、それより負傷者の治療をしましょう」
俺は負傷にヒールの魔法をかけていく。
「剣の腕だけではなく魔法まで使えるのか?そなた、何者だ?」
「ええ、私はAランクパーティー、ハーデスのグレイと申します」
「そなたがあの黒い惨殺者と言われているグレイか!?」
はい?
なんだその物騒な名前は!?
黒い惨殺者ってなんだよ?
「モンスターや、盗賊を見つけては事ごとく殲滅しているきいているぞ。こんなところで二つ名持ちと出会えるとはな」
俺も初めて知った、そんな二つ名が付いているのを。
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