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20話 オーバーフロー

 ライカンスロープとダークエルフを配下にして、馬車の馬まで配下にしてしまった、俺たちは次の街まで向かう。

 新たにダークソウルで強化された黒馬は通常の馬より体力があり、スピードも段違いだったがあまり速くなると通りすがりの人や商人に怪しまれても困るので通常の速度で移動することにした。


 旅の途中での野営の時には亜空間に入り拠点で休み、馬車はブラックゴーレムに見張らせている。

 一応何かあればすぐに動けるようにはしているが、まあ大丈夫だろう。

 次の日の朝だ、里を出たことが無い子供たちが馬車に乗りたがったのだ。


 「冥王様、俺、外の世界を見てみたい」


 「いいだろう、その代わりお父さんとお母さんと一緒に乗る事が条件だ」


 その日以来交代で、子供たちが数名ずつ乗る事になり、賑やかな旅路になった。

 旅の途中も問題なく進み、次の街に着いた。


 街に着くとどうも慌ただしい雰囲気だった。

 情報収集も兼ねて俺たちは冒険者ギルドに行った。

 ギルドに着くと緊急クエストが張り出されていた。

 クエストの概要を読むと、2ヵ所のダンジョンでオーバーフローが引き起こったらしい。

 ここのギルドでも間引きはしているはずだが、なぜそんなことが起こった?


 『ワイト、間引きをしていてもダンジョンのオーバーフローは起こり得るのか』


 俺は亜空間にいるワイトに念話ではなしかける。

 

 『これは、推測ですが、ダンジョン同士の戦争が起きたか、どちらかのダンジョンがもう一方のダンジョンを制圧して、有り余る魔力でオーバーフローが起きた可能性もあります』


 どちらにせよ片方のダンジョンは潰す必要があるな。


 「あなた達、見かけない顔だけど旅の冒険者よね?ランクは?」


 と受付の女の人に見つかってしまった。


 「俺のランクはBランクだ。連れの2人はCランクの冒険者だ」


 「良かった。今は少しでも戦力が欲しいとこなのよ。悪いけどあなた達のパーティーにはギルドから強制的に依頼を受けてもらうわ」


 「しょうがない、状況が状況だ。依頼を受けよう。それでダンジョンの位置は?」


 「ダンジョンの位置はここから北に行ったところに2つともあるのよ。通称双子のダンジョンってみんな呼んでるわ」


 「ダンジョン同士の位置が近いのか?」


 「ええ、かなり近くにあるから歩いても5分ってとこね」


 「間引きはちゃんとしていたんだろうな?」


 「当り前じゃない、こんなことは初めてよ!斥候の話では2つのダンジョンから真っすぐこの街にモンスターが来ているみたいなのよ」


 2つのダンジョンから来ているってことは、戦争は終わり、片方がコアを吸収した可能性が高いな。


 『ワイト、ダンジョン同士が共闘することはあり得るか?』


 『まず、ありえません。2つの内どちらかが、本命のダンジョンでしょう』


 とにかく北門に急がなくては、俺たちは北門に急ぐ。

 そこではすでに戦闘準備がなされていた。

 どうやら北門で迎え討つらしい。

 本当は、配下達を総動員して迎え討ちたいところだが、人の目が多すぎる。

 俺はブラックゴーレムを10体亜空間から呼び出して、更に通常のゴーレムを40体生み出す。


 「もしかして、お前さん噂のゴーレム使いか?」


 話しかけてきたのは魔法使い風の老人だった。

 噂?そんな噂になってんのか。


 「どういう噂かは知らんが確かにゴーレムをよく使うのは本当だな。で、あんたは誰だ?」


 「わしはこの街のギルド長じゃよ」


 「そんなお偉いさんが前線に出て来ていいのか?それにどう見ても後衛職だろ?」


 「わかっておる。開戦の合図は儂の魔法で始めようと思うたが、ここはおぬし任せてみよう。噂通りの」実力なら、今回のクエスト無事に乗り切れたら、ランクの昇格も考えんでもないぞ」


 「わるいが、命あっての物種だ。ヤバくなったら逃げさせてもらうから、そんな話には乗れないな」


 「その時は、街が壊滅してるじゃろうな」


 ギルド長と話しているとモンスターの大群が見えてきた。

 この数は少しキツイな。


 「ギルド長、これは生き残れそうにない数だ。禁忌魔法を使うがお咎めなしで、口止めもしてくれるなら助けてやってもいい。どうする?」


 「どうするつもりじゃ?」


 「闇の眷属たちを呼び出す。何俺の配下達だ、害はない。ライカンスロープとダークエルフを呼び出す」


 「ダークエルフは分かるが、ライカンスロープじゃと!? 本当に危険はないんじゃな?」


 「ああ、だから他の冒険者達に攻撃しないように伝えてくれるか?」


 本当はもっとブラック軍団を呼び出したいところだが、流石にモンスターは不味いだろ。

 

 「よかろう、それしかなさそうじゃ。儂は他の冒険者達に伝えてくる。後は頼んだぞ」


 よし、じゃあ呼び出すか。

 

 『ライカンスロープの長、ガイア。ダークエルフの長、アマーリア。話しは聞いていたか?』


 『はっ、ライカンスロープの戦士はいつでも出撃可能です』


 『こちらもダークエルフの戦士もいつでも出撃可能です』


 俺は亜空間からライカンスロープとダークエルフを呼び出す。


 「この戦いで死ぬことは許さん!負傷した者はすぐに亜空間へ帰投せよ!」


 「ライトニングストーム」


 雷属性と風属性の複合技の魔法を多重展開してモンスターの軍団に食らわせる。

 そして追加にサーラがトルネードを3つ展開して打ち込む。

 そこに後方の魔術師部隊の冒険者達も各自魔法を展開して打ち込んでいく。

 モンスターの進撃はそれでも止まらずに白兵戦に突入しようとしていた。

 ライカンスロープの戦士たちの姿が狼のそれへと変わる。

 牙が伸び、爪が伸びて鋭利なものへと変貌していく。

 ダークエルフ達も弓の攻撃をやめ剣に持ち替える。

 

 「行くぞぉ!」


 俺は掛け声をかけて突進していく。

 ライカンスロープの戦士にダークエルフ達に冒険者達も俺に続く。

 雑魚は俺の配下と冒険者達に任せても大丈夫だ。

 俺たち3人が狙うのは上位種だ。

 

 「ミコ、サーラ!雑魚に構うな。俺たちは上位種を狙って倒していく」


 「了解です、グレイ様」


 「仰せのままに」


 まずはジェネラル級を切り伏せていく。

 ゴブリンキングも最早、俺たち3人の敵ではない。

 あらかた上位種を片付けて雑魚のうち漏らしも片付けながら俺たち3人は前へと切り込んでいく。

 目標は双子ダンジョンだ。

 そこまでいけば俺の配下達ももっと出せる。

 だが、モンスターが切れることはないかった。

 

 「クソっ数が多すぎる。ファイアーストーム!」


 「確かに、中々モンスターが多いです。アースインパクト!」


 「前に進むのも一苦労します。ウインドカッター!」


 一進一退のせめぎ合いが続く。

 それでも何とか前線の押上には成功した。


 『ガイア、アマーリア。無事か!? 戦力の低下はあるか』


 『ライカンスロープの戦士に負傷者はいません』


 『こちらも同じです、負傷者はいません』


 『では、このまま、任せる』


 この隙に俺たちは双子ダンジョンを目指す。


 「ここまでくれば人目にもつかないだろう」


 俺は配下達を漸く亜空間から呼び出す。

 

 「パウロ、リッチ、ワイトはそちらのダンジョンを任せる。俺たちは此方のダンジョンを片付ける」


 「「「仰せのままに」」」


 部隊を2つに分けて、殲滅戦と行こうじゃないか!

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