12話 アンデッドダンジョン
Bランクに昇給してからできる依頼も増えた。
特にダンジョン攻略でBランクに昇給しないと入れないダンジョンもあるからだ。
僕にとってダンジョンは力を手に入れるための手っ取り早い場所だが、他の冒険者達がいると、中々配下達を使う事ができない。
今の所俺専用になっているダンジョンは1つだけ。
そこもいずれ見つかってしまっては意味がなくなる。
新たな拠点が必要だ。
そんな時だった。
いつものようにギルドでで仕事を探していると受け付けのお姉さんに呼ばれた。
「グレイ君にお願いと言うかまた、ギルドから指名なんだけど、最近アンデッドのダンジョンが見つかってね、アンデッドのダンジョンって旨味がほとんどないから誰も行きたがらいのよ。ある程度間引かなないとダンジョンがオーバーフローをおこすから、グレイ君に間引いて来て欲しいのよ」
渡りに船とはこのことか。
「わかりました、その依頼受けます」
そして俺は、初めてアンデッドのダンジョンに挑むことになる。
隣町の近くにあるダンジョンで人気がなく取れる素材もほぼ毒草など犯罪に使わるような物しかない。
後は敵が装備している錆びた剣や盾などのドロップ品を回収するぐらいで確かに旨味がない。
唯一のうまみとすれば、守護者のリッチが持つ消えないカンテラぐらいだ。
リッチの持つカンテラは不思議な事に明かりが半永久的に消えないと言われている。
常に品薄の商品でもある。
隣町までは商人たちの馬車に護衛を兼ねて載せてもらう事にする。
こういう時ソロでもBランクだとわかると、商人もタダで載せてくれることが多い。
もちろん商人達も護衛を雇ってはいるが、いざという時のための戦力は多い方がいいからだ。
俺は荷物に紛れて荷馬車に乗せてもらい出発となった。
移動中は特に問題もなく隣町に到着。
その足で、早速アンデッドのダンジョンに挑む。
第2の拠点になるかどうか、楽しみだ。
アンデッドのダンジョンに着いて門をくぐると確かに大量のアンデッドがいた。
俺は配下達を亜空間から呼び出して命令する。
「やれ」
アンデッド達はろくな抵抗もせずに倒されていく。
何かがおかしい。先ほどから襲い掛かって数を減らしているが、抵抗らしい抵抗があまりにもないのだ。
俺はそのままアンデッド達を倒しながら簡単に10層の守護者部屋に着いた。
10層の守護者はスケルトンナイト。
スケルトンが完全武装している、守護者だ。
だがここでも抵抗らしい抵抗をみせない。
一応スケルトンナイトにダークソウルを使い俺の配下にする。
20層に着くまで簡単に敵を殲滅出来ていく。
一体何なのだ。
20層の守護者はハイゾンビの集団で、ゾンビなのに俊敏な動きをする奴らだ。
やはりここでもアンデッド達は抵抗をせずにただただ、俺に切られていくのみ。
本当に、こちらが動けない相手を一方的に切り伏せていく。
配下達も俺の命令に従いただ、敵を倒していく。
そして、ついに30層の守護者、リッチの元にたどり着いた。
リッチは俺を見ると突然傅いた。
「我らが王、冥王様」
とリッチが誰にも話していない冥王の事を言い当てた。
俺は、黒剣を抜き問いただす。
「何故俺が冥王だとわかる?」
「そのいくえにもまき散らしてきた死の匂いが何よりの証拠でございます」
「死の匂だと?そんなもの冒険者であれば、当たり前だろう。いくらモンスターを倒してきた思っているのだ」
「冥王様のそれは、常人のそれを遥か上にあります」
「残念ながら俺はまだ生きている。貴様の言う冥王ではない」
「いづれ、冥王になられるお方です。それが遅かれ早かれ。その証拠にここまでの道のりであなた様に抵抗をしたものは皆無だったはずです」
確かに俺に対して攻撃を仕掛けてきたアンデッド達はいなかった。
「お前を信じられる保証はあるのか?」
「では、私も冥王様の配下の1人に加えて下さい」
「それは俺が使うダークソウルの事か?それをそのままお前に使えばいいのか?」
「はい」
俺はリッチにダークソウルを使う。
「ダークソウル」
これでリッチは俺の配下になり、俺を裏切ることはできなはずだ。
「これが冥王様の力か、何たる高揚感! 力が漲るのがわかる」
そこまでのことなのだろうか?
「お前に聞きたい、ダンジョンに湧くアンデッド達をどうにか抑制できるか?」
「それには、ダンジョンコアを掌握する必要があります」
「ダンジョンコアだと?」
「はい、幸いにもここは、アンデッドのダンジョン。冥王様なら、簡単に掌握できるでしょう」
「それはどうすればいいのだ?」
「最下層の更に下に続く道がございます。そこにコアはあります。それに触れるだけで冥王様なら大丈夫でしょう」
「ちなみにここは何層まであるのだ?」
「このダンジョンは50層まであります」
「なに!? そんなにあるのか?」
「このダンジョンでオーバーフローを起こされると困るんだ、多少は間引かしてもらうぞ」
「冥王様の糧になるのであれば、このダンジョンのアンデッド達も本望でしょう」
それからは、アンデッド達をある程度間引きながら階層を進んでいく。
40層の守護者は10mはある骨の大ムカデだった。
だがこいつも襲いかかることはなかった。
一応ダークソウルで配下にして先に進む。
そしてついに50層にたどり着くと10層で守護者をしていた、スケルトンナイトが跪いて並んでいた。
まるで王の帰還を待ち望んでいた騎士のようだ。
「冥王様、50層の守護者部屋はこちらです」
50層の守護者部屋の前にたどり着き、扉を開く。
「リッチ?いや、違うな。お前はワイトか?」
「さようでございます、冥王様」
ワイトとは本来ありえないアンデッドだ。
聖職者がリッチの力を手に入れて復活したアンデッドで、生前が聖職者の為か光属性が効かない厄介なアンデッドだ。
「どうか、私めも、冥王様の配下の末端に加えて下さい」
「もちろんだ、ダークソウル」
「おおこれほどとは、あなたが目覚めた時が楽しみだ」
「それで、ダンジョンコアはどこにある?」
「ここより更に下にあります。最下層の更に下のコアルームでございます。私が転移でお連れ致します。テレポーテーション」
ワイトは転移で俺たちをダンジョンコアの部屋に連れてきた。
そこに台座の上に丸く光り輝く石が浮いてあった。
「あれに触れればいいのか?」
「はい、その通りです」
俺がダンジョンコアに触れた瞬間にダンジョンコアが反発していることがわかる、俺を主と認めないと。
俺は無理やり自分の魔力でその反発を抑え込みダークソウルを唱える。
「いい加減に服従しろ!ダークソウル!」
俺は初めて、ダークソウルを多重展開してダンジョンコアにたたき込む。
すると、徐々にダンジョンコアが漆黒の闇のように黒く塗りつぶされていく。
更に俺は力を込める。
「オオオオッ!」
完全に黒くダンジョンコアが染まった瞬間にダンジョンの詳細がわかるようになった。
ダンジョンとは周りの魔力を吸い取り成長して、モンスターを生み出す機関だ。
中に入って来た冒険者から微量のエネルギーを吸い取り、また殺すことでもそのエネルギーを蓄えることができるようだ。
人間が入らなくなったダンジョンはエネルギーを蓄えモンスター外に放ち敵を倒すことで、エネルギーを得て成長するいわば生き物のような存在でもある。
そして敵とは、何も人間だけではなく、他のダンジョンのモンスターも敵になり得る事だ。
ダンジョンとは他のダンジョンとも喰い争う仲のようだ。
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