11話 飛竜の討伐
Aランクパーティーの銀の風の紹介を受けて俺も挨拶をする。
「初めまして、ゴーレム使いのグレイです」
リーダーのアベルは、物腰が柔らかいが隙が全く感じられない。
さすがは、剣士だ。
いつで抜刀できそうな雰囲気だ。
憎まれ口をたたいてきたジャックも只者ではない。
常に俺を見張り、周囲を観察している感じだ。
武器は弓と短剣を使うのか装備している。
魔法使いのシャーリーはこれぞ魔法使いという風貌の女性で、どんな魔法を使うのか楽しみだ。
最後に神官のリリアだが優しそう雰囲気の女性だ。
神官服に身を包んでいる
流石全員Aランクパーティーの銀の風というか、装備からして全員が立派だ。
「君の話はある程度ギルト長から聞いている。今回はゴーレムを使いおとりとタンク役を頼みたい。君のゴーレムは相当硬いと聞いているかね」
「貴方、ゴーレムは」何体ほど操れるのかしら?1体や2体では話しにならないわ」
とシャーリー。
「主力のゴーレムが10体に現地で作れるゴーレムが50体は作れます」
「なっ!? そんなに操れるわけないじゃない! 嘘をついてもすぐばれるのよ」
「まあまあ、シャーリー、嘘か本当かは現場で確かめればいいじゃないですか」
とフォローしてくれたのは、神官のリリア。
「それじゃ、飛竜の討伐に向かいますか」
とリーダーのアベルが事を進める。
今回は途中まで馬車での移動になる。
Aランクパーティーにもなると、馬車も自前で持っているようだ。
とそろそろ、飛竜の目撃情報の近くにやって来た、僕らは、馬車を止めて森の中に入って行く。
レンジャーのジャックが先頭に立ち慎重に前に進む。
どうやら飛竜をみつけたようだ。
飛竜はいま食事中らしく、モンスターのビックボアを食べたいた。
「よし、手はず通りにグレイ君にはゴーレムを出してもらうよ」
とリーダーのアベル。
俺はその場で50体のゴーレムを作り出し、突撃させる。
そして亜空間から主力のブラックゴーレムを10体出現させる。
するとシャーリーが、
「ほんとに作り出すなんて、しかも空間魔法まで」
俺はおとりとタンク役とし前にでる。即席のゴーレムではやはり耐久性にかけるのか、飛竜のブレス一撃でつぶれていくが、こちらは数の利を生かして飛竜を引き付ける。
その間に銀の風のメンバーが飛竜に攻撃を仕掛ける。
「アイススピア」
とシャーリーが飛竜の翼に魔法をぶつける、飛んで逃げられないようにするためだ。
俺も飛竜に攻撃を仕掛ける狙うは翼だ。
アベルとジャックもまずは翼を狙って攻撃している。
飛竜が飛び立とうしたときには俺の主力のブラックゴーレムが取り付き動きを封じる。
この瞬間を見逃すはずもなく、全員で攻撃を仕掛ける。
「よし、今だ、全員で仕掛けろ!」
飛竜はゴーレム達を引きはがすための回転をしたりして、遠心力でゴーレム吹き飛ばす。
だが吹き飛んだゴーレムは即席のゴーレムのみ、主力のブラックゴーレムはがっちりとつかんで離さない。
翼がボロボロになると次はウロコの薄い足首をアベルが狙う。
アベルは見事片足の足首を切り伏せた。
飛竜はたまらずバランスを崩して倒れてしまう。
「ジャック狙え」
「あいよ、リーダー」
ジャックはそう言うと弓矢で飛竜の目に矢を見事に射貫いた。
「グオオオオ」
と飛竜もたまらず叫び声を上げた。
後少しで、倒せる。
そう思った時だった。
「ガアアア!」
ともう1匹の飛竜が現れた。
もう1匹の飛竜は急降下してきて、アベルの腕を切り裂いた。
あの一瞬で避けようと体制をずらしたのだが、間に合わなかったいだ。
すかさず神官のリリアが回復魔法を飛ばす。
「ヒール」
俺は素早く弱っている方を手早く仕留めるために動くが、もう1匹が今度は俺に標的に突っ込んでくる。
「アースウォール」
で壁を作りだし、何とか飛竜から距離を取ることができた。
「くそっこいつら番だったのか!リーダー傷の具合は?」
とジャック。
「リリアのおかげ何とか剣は振れる」
「どうする、一度撤退するか?」
「いや、このまま続行する」
「了解」
「グレイ君はもう一度ゴーレムを作っておとりを増やしてくれ!」
「分かりました」
俺はもう一度即席のゴーレムを作り出す。
「シャーリーとグレイ君は魔法で新たに現れた、飛竜を牽制するんだ!その間に俺とジャックで弱ってる飛竜を倒す。リリアは2人の援護を頼む」
アベルの指示の元にそれぞれが動き出す。
俺は、魔法を多重展開してアイススピアを撃ちまくる。
シャーリーは多重展開ができないのか、単発で攻撃を的確に牽制している。
「あなた、本当にCランクなの!?」
「この討伐が無事に終わればBランクに昇級です!」
「冗談じゃないわ、ここまでくればAランクとしてもやっていけるわよ!」
「それじゃあ、ギルドに帰ったら口利きしてくださいね」
「無事に帰れたらね」
「約束ですよ。それじゃあ、ちょっと本気を出しますかね」
「本気ってまだ何かあるのかしら!?」
「ダーククラウド」
「これじゃあ、何も見えないじゃない」
俺は上空に向けて魔法を放つこれで飛竜は暗闇の中を飛び回るしかない。
俺には奴が見えるが、シャーリーには見えないだろう。
「ちょっと行ってきます」
俺は自分に風属性をエンチャントしてスピードを上げて空中に躍り出る。
空中戦は初めてだが何とかなるだろう。
空中で右往左往している飛竜に俺の黒い剣で攻撃を仕掛ける。
更に黒い剣にも風属性をエンチャントして切れ味をます。
するといとも簡単に翼を切り落として地面にたたきつける。
俺は着地と同時に走り出し飛竜の喉を切り裂いた。
切り落とすつもりだったがこれでも十分だろう。
飛竜が息絶えるのを見届けて、アベルとジャックのほうを見ると、そちらも片付いていたようだ。
「まさかこちらが弱っている方を片付ける間にもう1匹の飛竜を片付けてしまうとは、とんだ大物だな」
「マジかよ。見てたがほとんど一人で片付けてやがった」
と、アベルとジャック。
これで俺もAランクと肩を並べられることがわかった。
まだまだ余力も残っている。
ダンジョンでの修業は無駄ではなかった。
しかし飛竜か、航空戦力として是非配下に欲しいものだ。
「飛竜の死体はどうするんですか?」
「飛竜は素材として持って帰るが2匹もとなると大変だな。グレイ君の空間魔法で運べないか?」
「たぶん、いけると思います」
「伝説の勇者の空間魔法は生物以外なら時を止めて収納できたらしいんだが、その辺はどうなんだい?」
「いえ、時間はちゃんと進みますから、伝説の勇者様のような亜空間ではありません」
「とにかく、荷物が運べるのは助かる」
こうして、飛竜の2体は亜空間にしまい、街に帰ることになった。
ギルドに着くと受け付けに行って討伐完了と素材の買い取りをお願いする。
「素材は亜空間にしまっあるから直接解体場に持っていこう」
とアベルさん。
ギルド長もきて、解体場にて2匹の飛竜を取り出す。
「っな、2匹もいたのか!?」
「ああ、どうやら番だったみたいだ」
「よく、5人とも無事で帰って来たものだ」
「グレイ君が大分頑張ってくれたからな、1匹はほぼ、彼が1人で倒したようなものだよ」
「本当か!? グレイ!?」
「ええ、まあそうなりますかね?」
「ふむ、しかしいきなりAランクにあげることにはできんのだ、許せよグレイ」
「そこまで高望みは元々してませんから大丈夫ですよ」
その日俺は、Bランクに昇格した。
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