10話 ダンジョン制覇とAランクパーティー
20層を突破した俺たちは、21層への扉をくぐり抜ける。
最初に転移結晶に触れて、ここでも休みを取る。
食事は日持ちする硬い黒いパンと干し肉だ。
水は自分で生み出して飲む。
味気ない食事だが、無いよりはマシだ。
亜空間の中は、こちらの世界と同様に時間が同じように進む。
腐りやすいものは入れられない。
配下達はアンデットだけら、兵站の心配もいらない。
それに不思議な事に黒く変色した俺の配下は、腐敗が進まないし一撃で倒したからなのか、最初の傷もほとんど目立たないようになってきている。
これも冥王としての力なのだろう。
「よし、休憩も十分にとった、パウロ出発だ」
21層からはオーク達がこれもわんさかいる。
しかし今の俺たちの敵ではない。
どんどん敵を壊滅させていく。
変化が起こったのは25層あたりだった。
普通にオークキングが徘徊していたのだ。
突然の遭遇戦に俺もあせった。
なんせオーク達も多数いるからだ。
魔法を多重展開して、先制攻撃を仕掛ける。
「ファイアーストーム!」
まずは、定石どおりに数を減らす。
数を減らし、オークキングへの道を開く。
「パウロ雑魚はまかしたぞ」
「はっお任せください」
俺は一直線にオークキングに向かう。
「ダーククラウド」
で相手の視界をふさぐ。
そしてこちらから一歩的に攻撃を仕掛ける。
「アイスフロスト」
仕上げに相手の動きを阻害してオークキングを仕留める。
これで後は、雑魚のオークのみ。
俺たちは25層の掃討戦を開始した。
オークキングが25層に居た事でモンスターが地上にあふれるのも時間の問題だったのだろう。
早めに倒せてよかった。
26層も似たようにモンスターで溢れかえっている。
地上に出ないように、モンスターを殲滅していく。
そして、ついに30層にたどり着いた。
ここからが本番だ。
魔法をなるべく温存しつつ、敵を切り伏せていく。
すでに俺の黒い剣は一撃でオークを倒すほどに成長している。
もちろん、俺の魔力も配下達の能力も順調に増えていっている。
すでに普通のブラックゴブリンでさえ、ゴブリンキング並みではないだろうか。
これでは負ける気がしない。
30層の守護者部屋にたどり着き、扉を開く。
そこには、オークキングとオーク達がいた。
てっきりオークキングも2,3体いることを覚悟していたが、これなら楽勝だな。
案の定、オークキングと配下のオーク達はすぐに全滅した。
「よし、これでこのダンジョンも終わりだな」
扉が開き転移結晶が現れる。
やはりできたばかりのダンジョンのようだ。
しかし街の近くに2つもダンジョンができるとは、考えもしなかった。
しばらくすれば、モンスターも資源も復活するし、本当にダンジョンとは不思議な所だ。
俺の力が上がり、魔力も増え、亜空間の容量も増えた。
だいぶ鉱石も行きがけの駄賃として取って来たから、これで、しばらくは食っていけるだろう。
何より、ここに配下達を配備しておけば、俺と配下達は繋がっているので、自然と俺も強くなるって寸法だ。
配備するにあたって、もう少し、配下達を増やした方がいいかもしれないな。
まだまだ時間はある。
ダンジョンからモンスターが溢れる心配もなくなった。
明日からは配下を増やすことを念頭に置いて、ダンジョンを周回しよう。
それにダンジョンの入り口も上手く隠蔽しておかなくては。
次の日からはなるべく配下を増やすためダンジョンに潜ることにした。
今まではゴブリンを中心にしていたが、そろそろオークも配下に加えていくのもいいだろう。
そして、俺は配下達を分散させながら、21層のオーク達が居る層まできていた。
まずは魔法を使わずに剣でオークを一突きで倒していく。
今回のダンジョン制覇でだいぶ俺も強くなったものだ。
「ダークソウル」
これでオークの配下ができた。
次々とオークの配下を量産していき、配下の能力も上げて黒く染めていく。
問題はオークキングだ。
奴だけは未だに一撃で倒すことができない。
こればかりは周回して自分の強さを磨くしかない。
そうこうしている内に1週間がたとうとしていた。
一度町に帰らなければならない。
一応ギルドでの常設依頼も完了しているし問題はないはずだ。
結局オークキングは配下に出来なかったが、これからもここに通えばいつかは可能だろう。
俺はダンジョンをでて、入り口を隠すようにする。
これでたぶんだが大丈夫だろう。
「パウロ後は任せるよ。もし人間が来ても戦わずに逃げて、俺の所へ戻ってこい」
「分かりました、戦闘は避けるようにいたします」
町に戻ると先にギルドに行って、怪しまれない程度のモンスター討伐の証と、ダンジョンからとれる魔石の納品を行う。
「グレイ君久しぶりに帰ってっきたわね~。お姉さんは少し心配したよ」
と受付のお姉さん。
「ちゃんと遠出すると言ったじゃないですか。それに依頼も完遂しましたよ」
「お、流石期待の星ね、今回はオークキングも倒したのね。ソロなのにほんとにすごいわ!」
「ソロと言ってもゴーレムを使いますから」
「謙遜しなくてもいいのよ。それも貴方の力なんだから」
「ありがとうございます」
「そういえば、グレイ君にギルドから指名依頼があるのよ」
「指名依頼ですか?内容は?」
「ほかのパーティーと合同で、飛竜の討伐よ」
「確か飛竜の討伐ってAランクからじゃないですか? 俺はまだCランクで今、Bランクになるのに試験待ちですよね」
「何言ってんの。今回ソロでオークキングを倒しているのよ、すでにBランクで間違いないわよ。ギルドマスターの認可待ちの状態になるわよ」
「それに今回は、Sランクまじかと言われているAランクパーティーの『銀の風』がついてるのよ。こんなチャンス他にはないわよ。とにかく明日ギルド長室に来てね。そこで顔合わせだから」
俺は、一旦家に帰り、父と母に明日の事を話した。
「すごいじゃないか、グレイ。Aランクパーティーと合同で討伐に当たるなんて。日頃の行いが認められたんだな」
「でも、相手は飛竜でしょ?なんだか心配だわ」
「そうだな、飛竜は空を飛ぶからこちらの攻撃が届きにくい。十分に気を付けて行くんだぞ」
「無理をせずAランクパーティーの人たちの言う事を聞いて、ちゃんと帰って来なさい」
と父と母からは褒められついでに心配もしてもらった。
ここは、気合を入れて明日に望まなくては。
次の日俺は、ギルドに向かった。
Aランクパーティーとの対面に少し緊張する。
一体どれぐらいの強者なのだろうか。
ギルド長室にノックをする。
「入れ」
と短いギルド長の声に応えて扉を開ける。
そこにはすでにAランクパーティーと思わしき4人のパーティーが居た。
この人たちがAランクパーティーの銀の風だろう。
「先ほど話していたCランクの冒険者グレイだ。グレイこちらの方々がAランクパーティーの銀の風だ」
とギルド長から紹介をうける。
「初めましてCランクのグレイです」
「グレイはこう見えても単独でオークキングの討伐に成功している。実力的にはBランクに匹敵する。今回の飛竜討伐をもって正式にBランクに昇給させるつもりだ」
とギルド長。
「要は俺らは、こいつのおもりをしながら飛竜の討伐をしろってことだよな?」
「よさないかジャック。仲間がしつれいしたね、僕が銀の風のリーダー、剣士のアベルだ。でこっちの2人が魔法使いのシャーリーと神官のリリア。で、さっきの憎まれ口を叩いのが、レンジャーのジャックだ。よろしくね」
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