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不便の発明家  作者: アオニシキ
本編
8/19

8 金庫再び!


「なんなんすか、この金庫はああぁぁぁぁぁぁ!!」


 校舎の人気の少ない教室に楽し気な軽井の声が響いた。

 現在、軽井は僕もやった入部届を入手するためのノーヒント鍵開け神経衰弱に挑んでいるところである。軽井も文句を言いながらも楽しそうなので問題はないだろう。これを楽しんでできるやつなら心配無用ってことで。

 まあ、軽井が楽しそうな理由はなんとなく僕にもわかるんだけど。


「曽倉……恨むぞ」

「美稲ちゃん、頑張ってねー」

「愛ちゃん! 曽倉がいじめるんだ」

「でも、私たちも二人で探したし……条件はそろえるべきだって後輩君が言うから」

「美稲先輩! 次これ試してみてほしいっす」

「ああああああ! 軽井はくっつくな! 美稲先輩って呼ぶな!」

「ならぜひ則義って呼んでほしいっす」

「うわぁぁぁぁあ! どうしてこうなった!」


 目の前ではあらぶっている花咲先輩を抑える発芽先輩。そこに乗じてしれっと下の名前をゲットする軽井がいる。まあ、僕も金庫開けは二人ペアでやったからなぁ。一人でやらせるのもと思ったから花咲先輩とペアにしてみた。軽井からは感謝された。これで疑ってた罪悪感も減る。ついでに軽井の本気度も示せる。完璧であろう。


「それにしてもこんな発想するなんて面白い人っすね愛ちゃん先輩!」

「それ私? 愛ちゃん先輩って」

「美稲先輩がそう呼んでるんで!」

「エヘヘ、何かカワイイからよし! 美稲ちゃんも新しい部員連れてきてくれてありがとね!」

「愛ちゃぁぁぁん……喜んでくれたのならよかったよ」

「嬉しそうな美稲先輩もいいなぁ。キリっとした姿もよかったけど、こっちが本性なんっすね」

「悪いか? どうせ似合わないさ」

「全然、かわいいと思いますよ」


 最後のセリフだけ真顔になる軽井。それを聞いて少し赤くなる花咲先輩。……アイツすげえよ、自然にそれとなく本気度を示して伝えていくのか。本当に対人関係最強なのでは?

 あ、発芽先輩と軽井はすぐ仲良くなった。軽井の距離感を悪く思わない天然培養の純粋さんが発芽先輩なのでなんとなく心配はなかったけどね。その代わり発芽先輩が詐欺なんかで騙されないか不安になった。



「無事見つかった……面白いな、ここ」

「そうだろ」

「曽倉めーこんな面白い場所黙ってたなんてずるいぞ」

「僕も横から見て面白かったよ」

「後輩君のクラスメイトなんだよね、軽井君!」

「そうですよ」


 あれから花咲先輩と無事に鍵を見つけて、入部届を手に入れた軽井は僕に絡んできた。面白い場所であることは否定しないので素直にうなずいておく。それにこの一連の事を面白いといえるのだから軽井はやはり技術狙いではないのだろう。

 そんなことを考えていると発芽先輩が声をかけてきた。僕は後輩君なんだけど軽井の奴は軽井君呼びらしい、どこか複雑である。


「エヘヘ、これからもっと面白くなるんじゃないかなー、私もずっと美稲ちゃんと二人だったもん。四人なら楽しさはきっと四乗になるって」

「何で四倍じゃないんですか」

「なんとなく!」

「相変わらずですねぇ」

「そこがいいんだろう、曽倉」

「花咲先輩復活したんですね」

「お前のせいだからな……主犯は則義だが」


 そんな複雑な気持ちもみんなと話しているとなぜか晴れてしまうのだから不思議だ。何はともあれこれからは四人で発明部は盛り上がって行く事になりそうだ。

 あ、結局花咲先輩は軽井の事を則義と呼ぶことになったようだ。そう呼ばない限り軽井は可愛いとほめ続けるような構えだったから花咲先輩が折れたといって間違いではない。


「……そっかー」

「なんだよ、軽井」


 花咲先輩が残念な事になっているのを見ていると軽井が声をかけてきた。やけにニタニタした声だ。


「いやーなんで警戒されてんのかわかんなかったけどやっとわかったわ、曽倉がロリコンだったとはねぇ」

「いや待て、何だ!? そのいわれなき称号は!」


 警戒してたことは確かなんだが、なんか勝手に決めつけられて勝手に納得された。何なんだ。


 こののち軽井は発芽先輩を貶めたという理由で花咲先輩にしばらく口をきいてもらえなかったらしい。なんでこうなったのか全くもって謎だ。発芽先輩が『私は子供に見えるのかなぁ……先輩なのに』と言っていたから制裁を加えた、というのは花咲先輩の弁である。



主人公の影が薄くなっている気がした、執筆中の作者。


「もっと自己主張してほしいんだけど、三人いたら会話に入れなくなるタイプのコミュ障かよ

……まあ、自分もそうだけど」

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