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不便の発明家  作者: アオニシキ
本編
5/19

5 花咲先輩


 放課後になって軽井が絡んできたが部活に行くからと言ってまいてきた。絡み方は朝よりもうざくなかった。部活に行くって言えば素早く身を引いて来たし、話しかける距離も落ち着いていた。意外と距離感をつかむのが上手いのかもしれない。

 そんな考察をしながら、いつものように喧噪から離れた部室にはいる。中には花咲先輩がいた。


「あ、っとこんにちは。花咲先輩」

「来たか、曽倉」


 こちらを見てスッと目を細める先輩。普通に怖……くない? 慣れたのだろうか。


「先に謝っておこうと思ってな。お前があの子の能力目当てで近寄ったのかと勘ぐってしまったんだ」

「え、ええっ! ちょっと待ってください。いきなりすぎて思考が回りません」

「最初から説明するべきだったか……」


 そして簡単に説明と謝罪を受けた。花咲先輩曰く、発芽先輩の能力に目を付けていろいろな発明をぶんどろうと近づいてきたやつがいたらしい。それだけでなく便利に効率よく発芽先輩を働かせようとしていたらしい。軽井に対するよりムカついた。

 それで、中学時代、そいつを吊るしあげて発芽先輩を守ったのが花咲先輩と発芽先輩の仲良くなるきっかけだそうだ。花咲先輩は発芽先輩の考え方に救われたことがあるそうで、発芽先輩を守りたいと考えたらしい。無防備だから自衛させるのは諦めた、だそうです。


「で、僕が発芽先輩の能力目当てだと思って、けん制していた、と」

「というよりほとんど睨んでいたな。だが、あの鍵探しを楽しんでやっていたと聞いてな。効率ばかり気にするような奴ではないと分かったわけだ。本当にすまなかったな」


 という事で部室に入るなりきれいに頭を下げられた理由は分かった。で、こうなった花咲先輩をどうするかだけども、はっきり言って僕はあまり気にしてないし別にいいかな。


「花咲先輩、顔を上げてください。僕の方こそ初目先輩が最初カツアゲにでもあってるのかと不審に思いましたから。お互い様です」

「ちょっと待て、失礼じゃないか。あの時のアタシは確かに怖かったと思うが」

「だから、お互い水に流しませんか?」

「う……まあ、そうだな」


 少し意外だった花咲先輩の内面を知ることが出来て、この部活はやはりいい場所だと思うのだった。



「遅れちゃった、飲み物買ってきたよー」


 お互い謝罪が終わったタイミングで発芽先輩が部室に入ってきた。まさかのジュース三本持ち。ここにポットがあるはずなのになぜかジュースを買ってきたらしい。曰く三人でのんびりジュース会、だそうな。

 相変わらずだなぁと思っていると視界の隅でババっと動くものがいた。花咲先輩である。


「愛ちゃぁぁぁぁん! ジュースありがとう! 神棚に飾ってから飲むな」

「あはは……美稲ちゃん。私の分と後輩君の分もあるからねー」


多分、きっと、おそらく、ちょっとキャラがおかしいが、花咲先輩である。


「後輩君の前ではキリっとしてたから普段通りに戻ってよかったよ。打ち解けられたんだねー」

「ええぇ……」


 確かに発芽先輩は朝緊張してるって言ってたけれども……僕じゃなくて花咲先輩に言ってたんですか。


「花咲先輩って、もっとしっかりした人だと思ってましたよ」

「お! 後輩君もいつも通りだ! 美稲ちゃんの前では少し硬かったからやっぱり打ち解けたんだ! よかったよかった」

「あー、愛ちゃんはいい子だ」

「もう、美稲ちゃん撫ですぎだよ」


目の前では花咲先輩が目を細めて発芽先輩を撫でまわしている。身長差のせいでぎりぎり危なくない絵面である。

 とても意外だった花咲先輩の内面を知ることが出来て、この部活はやはりおかしいと思うのだった。





>>発芽先輩の能力に目を付けていろいろな発明をぶんどろうと近づいてきたやつ


不自然に近づこうとしていた人が居たような……かr誰とは言わないけど

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