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5/2(日)→5/3(月)憲法記念日『立木青葉、斎藤家に訪れる』

5月2日日曜日の13:00過ぎの時間帯。

 私はお隣さんで幼馴染みの彼の家の前までやって来ている。

 ここに来た理由は幼馴染みの部屋の窓が割れてしまったのか、段ボールで補修されているからだ。

 何があったのかは知らないが、何かがあったのだろう。

 私は気になってしまい、こうして彼の家の前にいるのだ。

 ピンポーン

 とインターホンを鳴らすと

 「あら、青葉ちゃん。どうかしたの?」

 「あの」

 「もしかして、割れてるの見ちゃった?」

 彼の母親は私の言いたい事を先取りするかのように述べる。まるですでに知ってしまっているかのように

 それもそうだ、彼の母親もここで暮らしているのだから、そういう事を知っていて当然だ。

 それと気になる事がもう一つある。

 私は銃声を耳にした。どうせ、あれはおもちゃの類いの物だろう。だから、心配はない...筈。

 それでも、彼があんな物を持っていて遊ぶような年頃の男子だとは思えない。

 「とりあえず、入って」

 と彼の母親から、家に入ってもいいと了承を得た。

 案内されたのはリビングだった。

 「ここに座って待ってて

 呼んでくるから」

 と彼の母親はその場から足早に立ち去った。

 私は言われた通りにソファーに座り、彼を待つ事にした。

 もう数年も彼の家には来ていない。そのおかげで懐かしく思う。昔はよくここに来たというのにいつの日かお互いに疎遠となってしまった。

 「?」

 そんな物思いに耽っていると、誰かに見られているといった感じの視線を感じた。

 しかしながら、この場には誰もいない。なのに、ここに誰かがいるような気がした。まるで私の事を観察しているようなそんな雰囲気が漂っている。

 そのせいで何もない筈なのに不気味のように感じた。

 「よぉ」

 そんな雰囲気の生活空間に彼が現れた。

 久々のやる気のなさそうな顔を見て、私はどこかホッとした。

 「久し振りだな」

 そして、面倒そうに彼はそう言った。

 「学校で毎度、顔を合わしてるでしょ」

 私は私でそう反論する。

 「まぁ、そうだけど

 俺んち、来るのは久し振りだろ?」

 彼はやはり面倒臭そうに頭を掻きながら、そう言いながら私の隣に座る。

 「んで、何か用事か?」

 「ううん、大した用事はないんだけど

 何か、あった?」

 「ん?

 あぁ、ちょっとな。うっかり風邪を引いた。それと何でもない事でうっかり、窓ガラスを割ったぐらいはあったな...」

 「何?うっかりばっかりじゃない」

 「まぁな......

 最近、うっかりが多くてな」

 「大丈夫?何か疲れてない?」

 「憑かれてるかもな

 それより、お前も気を付けろよ。特に明後日の三時辺りとかな」

 「三時?

 明後日の三時に何かあるの?」

 「あるかもな。だけど、何にもないかもな

 まぁ、気に止めといてくれればいいから、そんなに気にするな」

 「うーん、...分かった」

 とりあえず、彼の忠告は受け取っておく。彼の言っている事が何を意味しているのか分からないが、彼自身、意味のない事はあまり言わない。

 だから明後日辺りの三時に何かがあるのだろう。

 「何ていうか...、お前は変わらないよな」

 「忍だって、昔っから変わってないよ

 それと、おばさん心配してたよ。自分の息子がちゃんと学校でやっていけてるのかって」

 「へぇー...、母さん、そんな事言ってたのか......」

 「心配させないようにしなきゃだよ」

 「それは無理だなー...

 お前、知ってるだろ。友達なんていないし、作らない主義だってのは」

 「......だから、ちゃんと友達作りなよ

 それが駄目なら部活とか入れば

 割と身体能力高いんだから」

 「無理な物は無理

 群れるの好きじゃない。群れるだけ、損するし疲れるだけだろ」

 彼は昔っからこうだ。あんまり人と仲良くなろうとしない。それと面倒臭がりの所もあって、自ら積極的に人付き合いをしようとしない。

 だから、私以外彼とは彼自身の家族を除いて、長い人付き合いをしている人はいない。

 まぁ、最近までは顔を合わせる程度で言葉を交わす事はなかったが...。

 「やっぱり相変わらずだね...」

 彼曰く、『俺は自分の為に生きている』と。だから、余計と余分はいらないし、そんな物があるから面倒なんだとも彼は言っていた。

 「そう言えば」

 と私は思い出したように口から自然と言葉が出てしまった。

 「あれは冗談...なんだよね?」

 あれとはあれの事だ。突然の事だったから、咄嗟に振ってしまったものの、結局、彼と私は付き合えない。

 私には彼がいる。

 「......まぁな。それより、用事はもう済んだんだろ?」

 私の聞いた事に関して、彼は適当に流し、話を切り替える。

 「用事は......

 うん、済んだ」

 私の用事は彼の安否確認であり、それは既に達成された。

 もしも、一大事にでもなっているのなら何かしようと思っていたが、彼は元気そうだ。

 不意に「あー...」と声が聞こえた気がした。

 その声は女の人の物のようだった。そんな気がした。

 会話していた時には忘れていた違和感を思い出した。何もないし、何もいない筈なのに、それでもここに何かがいるようなそんな気がする。

 そういった感覚が今の私にはある。

 それでも、ただの思い過ごしなんだと思う。

 「ねぇ、忍。久し振りに忍の部屋に」

 「悪い。それは今は無理だ」

 彼は先取りしたかのように断りを入れる。

 「......もしかして、見られてマズイ物とか......」

 見られてマズイ物と自身の口からそう出た後、思い浮かんだ物があった。

 「そうだよね...。男の子だもんね」

 確かにそうだ。彼にだって、隠したい物の一つや二つだってある筈なのだと気が付いた。

 それこそ、健全な男子の証拠でもある。そう思うと何だかホッとしたような複雑な気持ちになってしまう。

 新谷君もそういうの持ってたりするのだろうか?

 それはそれで気持ちがいい物ではない。だけど、それは許容しておかなければいけない範囲だと思う。

 そういう事だって仕方ないと思う。だって、新谷君も忍も男子なのだから。

 「何、勝手に納得してんだよ」

 「違うの?」

 「違......わないな...

 そういや、隠したい物があったわ」

 と彼は言い直す。どうやら、本当にやましい物を持ってるようだ。

 やはり、彼は健全の男子だ。

 「そっか、やっぱり忍も男の子だね」

 「まぁな...。お前には見せられないからな」

 「それって...、私限定?」

 お前だけと言われると何か気になってしまう。私にだけ見せられないやましい物って何だろう?

 「んー......、いや」

 「そう...」

 気になる。だけど、

 「長居しても悪いし、もうそろそろ帰るね」

 詮索し過ぎるのも良くない。私は帰る事にした。

 彼は玄関まで私が帰るのを見送ってくれた。その帰りの彼の家を出て扉を閉じてすぐの事だった。

 「ん?」

 自身の右手の中に何かがあるのに気が付いた。手を開いてみるとそこには折り畳まれた紙が一つ置いてあった。

 私はその紙を広げて見てみると、その紙の中心に『ありがとう』と書かれていた。

 ただそれだけだというのに

 「......」

 不気味に感じた。

 その意味不明な折り畳まれていた紙の手紙は霧散するように蒸発するように煙のように消失してしまった。

 「何、...これ......」

 そう言えば、彼は『疲れてる』と言っていたが、それは私の思い過ごしかもしれないが......。

 この家には何者かが

 「憑いている...?」

◇◇◇◇

 ようやく、彼女が帰った後、偲が姿を現した。

 『コーヒーでも入れましょうか?』

 「ああ、頼む」

 あんな事があった後だ。彼女が尋ねてくる事もあり得る事だった。それを想定に入れてなかったのはミスだとしか言えないがどうにか捌く事に成功した。

 「忍。青葉ちゃん、帰った?」

 母親が扉からそろりと入ってきて、そう尋ねてきた。

 「帰ったよ」

 母親に返答しておく。

 「そう......

 どうなの、青葉ちゃんとは」

 「どうって、どうもこうも母さんが期待するような事は何もないよ」

 「そりゃ、残念だな」

 と北上さんが割り込んできた。それもニヤニヤと何やら笑みを浮かべている。

 「盗み聞きはよくないんじゃないですか?この性悪警官」

 正直、その笑みが気に食わなかった。だから、俺は悪態を吐いた。

 「こら、お世話になってるのにそんな事を言わない」

 「別に構いませんよ」

 「でも...」

 「彼だって、必死に青春してるんですから。これぐらいの悪態は甘んじて受けますよ

 それと、忍、俺は盗み聞きなんてしてないぞ」

 「あー」

 偲がコーヒーを入れて、俺へと差し出した。

 「サンキュ」

 『砂糖とミルクはどうしますか?』

 「じゃあ、頼めるか?砂糖とミルク」

 苦いコーヒーは飲めないという訳じゃない。だけど、いつも好むコーヒーは大抵それらが入っている。

 だからって、まだまだお子ちゃまだとか大人だとかなんて気にしない。

 大人だって、砂糖とミルクぐらい入れる人もいるだろう。それはそういうのは偏見で勝手に決めた誰かの尺度だ。

 『皆さんもどうですか?』

 彼女は頷いた後、俺以外の二人に質問した。

 「じゃあ、頼めるか」

 と北上さんは気軽に彼女へとそう返答を返した。

 「お母さんもどうですか?」

 「......私も...ですか?私は...」

 「心配いらないですよ。毒なんて入っていませんから

 それに彼女は悪魔だと言ってもメイドなんですから

 彼が敵じゃない限り、彼女が敵に回るような事はないですから」

 「じゃあ、私も頼もうかしら...」

 そんな訳で彼女は二人にもコーヒーを入れた。コーヒーの味は不味くはないものの、美味しくもない。いや、美味しくない訳じゃなくて、至って普通に美味しい程度と言った方が正確なのかもしれない。

 「近くで見てたんだろ。なぁ、メイドさん

 どうだった?」

 北上さんは偲へとそう投げ掛ける。

 『ご主人様はなんだか嬉しそうにしてましたよ』

 「ほぉ......」

 北上さん再び、ニヤニヤとむかつく笑みを浮かべる。

 「......別に」

 それが何だか気に食わなくて、顔を背ける。

 「そんでどんな娘だった?」

 『美人さん。黒い髪の長髪でなんていうか清楚って感じだったけど、ご主人様の事を下の名前で呼び捨てするぐらい、ご主人様を親しみがあるようでした』

 「成る程な

 美人っていうんだったら、学校でも人気はあるかもだな

 そこんとこはどうなんだよ」

 気に食わない笑みにウザいテンションで俺の内にグイグイと入る込む、あの悪そうな外見とは裏腹にこの不良擬きの警官を本当にウザいと思った。

 「知らねぇよ...」

 「そうねぇ...、青葉ちゃん。見ない内に綺麗になってたわね

 忍、誰かに取られたくなかったら、早く手を出しなさいよ」

 おい、母さんや。何でアンタまで参加してんだよ。

 「青葉ちゃんなら、お嫁さんとしてウチに来てほしいわ」

 「母親公認か......、良かったじゃねぇか」

 「......はぁ、めんどくせ」

 とは言ったものの、彼女が家に来てくれたのは嬉しかった。彼女の縁なんて、もうとっくの昔に切られていたと思っていたが案外そうでもないようだった。

 「だけど」

 これなら、自分の為に頑張れそうだ。

◇◇◇◇

5月3日月曜日、憲法記念日。時刻7:00

 悪。私は人を殺す悪だ。人外ならぬ人害、死を運ぶ鷹。イーグルと私の名を知らない人間はそう呼ぶ。

 今回のターゲットは女。若い女で年齢からすれば、十代半ばの学生である。

 名前は立木青葉である。

 彼女を殺せば、私の勝ち。逆に殺せなければ私の敗けだ。

 「ご...、ご主人様、コーヒーをお持ちしました」

 熱っぽく顔を赤く染めた私の悪魔(メイド)がコーヒーを持ってきた。

 「ありがとう。いただくよ」

 「あの......、ご主人様」

 「何だい?私は君に用事はないぞ?」

 「.........もう、お許し下さい」

 彼女ははぁはぁと荒げながら、涙目でそう言う。

 「許す?

 最近、物忘れが激しくてね。葉文は何か悪い事をしたのかね?

 悪い子にはおしおきをしなくちゃね」

 私は彼女に向けて、わざと笑顔を作る。

 「ご主人様、そうじゃなくて...。

 ん...あ、もう許して下さい。このまんまじゃ、私、切なくて...切なくて

 どうにかなってしまいます」

 涙目に上目遣いで彼女は懇願する。

 「仕方ないね。分かったよ

 おしおきはこれでおしまいにしといてあげるよ

 ちょっと、こっちに来なさい」

 「はい」

 彼女は返事をして私の座っているベッドの前まで来た。

 「まぁ......、それでもよく我慢した。一晩は流石にやり過ぎた」

 彼女の頭に手を乗せ、撫でる。

 彼女はしんどそうではあったが、恥ずかしそうにそれでも、嬉しそうにはにかんで笑顔を見せた。

 「思う存分、イキなさい」

 そう言った後、私はあるスイッチをMAXにした。

 彼女は声を噛み殺し、絶頂に達し、崩れるように床へと座り込んでしまった。

 「もういい、ゆっくりと休みなさい

 用事があれば、呼び出すから」

 私がそう言うと

 「は...い」

 彼女は返事をした後に姿を消失させた。

 先程まで彼女に対し、おしおきをしていた。昨日、自分勝手な行動をしたそのおしおきを彼女に課していた。

 おかげで私のゲームで次に狙う人間に気が付いた者がいる事を知った。

 解き明かしたのは殺すと決めたターゲットの隣の家の住人の青年だった。

 葉文が言うには彼も私同様にデビルホルダーであり、私の依頼を受けて行動した五十嵐という男の言っていた人物と同一人物だという事が分かった。

 五十嵐静治に依頼した仕事はこの町にいるデビルホルダーの調査だった。

 その為、彼がどういう人間なのかは知っている。

 同類ならば、注意をしなければならない。五十嵐という男も同様に注意をして、釘を刺しているが、彼の場合は私の敵対しているという意識を持っている。

 だから、今は要注意人物で、彼の名前は斎藤忍。

 葉文と同じタイプの悪魔(メイド)を所持している男だ。

 「さぁーて、どうやって獲物を狩ろうかな?」

 苦境であればある程に狩りは楽しい物だ。命のやり取りはスリルがある程、良いに決まっている。

 自然と笑みが溢れる。

 「ようやく、張り合いのある狩りが出来そうだよ

 少年」

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