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5/1(土)→5/2(日)『天気予報は外れて、雨が降る』

話の流れをミスっちゃったので、辻褄合わせなのでうまく書けてないかもです。

 現在、俺達は閉口駅で電車を来るのを待っていた。

 閉口駅の本数は他の駅より少ない。何せ、三時間に一本程度しか電車が来ないし、大体がここを通過してしまう。

 時刻は16:10頃、後15分程度で電車がやって来る。

 ここ閉口町は他の町とは山を隔てて隔離されている。電車以外でこの町に来るとしたら、山を越えて行かなければならない。

 「あー」

 その待ち時間、偲が姿を現した。

 「偲...、どうした?まさか、敵襲か?」

 と問うてみるが首を振って否定する。

 『ご主人様。その殺人予告通りなら、おそらく彼女は明日の昼間に殺されます』

 彼女の手に出現したスケッチブックに文字が浮かび上がる。

 「それはどういう......意味だ」

 『どうもこうも、この目で見たんですよ。そういう結果の予知を』

 「予知?」

 『俺達、悪魔には二種類のステータスがある

 筋力、耐久、敏捷、持久、跳躍、平衡、創造の身体能力と手にする武装に関するステータス

 視力、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、直感、動体視力、予知の五感や感じ取る事に関するステータス

 その二つのステータスが存在する

 それで予知のランクはD

 このランクではご主人様とご主人様に関する事の危機においてこの先起こるだろう未来を見てしまう。そういう事があります』

 「それはいつ見たんだ?」

 『今日の朝、巡回をしている最中です

 いつ切り出そうか、考えてたんですがこういう事になるなんて思いもしなかったので言うのが遅くなってしまいました』

 予知能力なんて便利な物があるなんて聞いていない。彼女の口...ではなく、彼女の方から説明されていない。

 「それはいつでも見られる物なのか?」

 『いいえ、突如、発現される物なので操作は不可能です』

 「お前の予知のランクDって言ってたけど、ランクの違いで予知を見られる範囲は決まってるのか?」

 『はい、決まっています

 Eランクであれば、ご主人様のみの危機に関する予知

 Dランクであれば、ご主人様とご主人様の関係する物事の予知

 Cランクであれば、ご主人様からご主人様の関係する物事やご主人様の近くにいる無関係の物事の予知

 Bランクであれば、ご主人様からご主人様の現在、住んでいる地域の範囲での物事の予知

 Aランクであれば、ご主人様からご主人様の住んでいる地域の広範囲での物事の予知

 こんな感じでランクが高ければ高い程、予知する範囲が広がり、予知する回数も増えます』

 「じゃあ、お前のDランクの予知はあんまり起きたりしないって事だよな?」

 『そうですね。ご主人様とご主人様の関わりのある事ぐらいしか予知が出来ないので

 ですが、予知のランクが高ければ高い程いいという訳じゃありません。それこそ、ピンポイントで知りたい事を必ず得る事が出来るという訳じゃないので』

 「成る程......、範囲が広い程無駄な予知をしてしまうって事か...」

 「そんじゃあ、お前の失恋相手は白昼堂々と射殺されるって事になる訳だが場所が分かるのか?メイドさん」

 北上さんが割り込むように偲へと問い掛けた。

 『場所の特定は出来ませんでした

 ですが、俺が見たのはどこかの商店街でした』

 「鬼上市の商店街って言ったら、三ヶ所程あるわ

 そのどこかで殺されるって事?」

 「それより、どうして昼間って分かったんだ」

 と北上さんが偲へとまたも質問をする。

 『まだ明るくて、雨も降っていない様子でした

 ですので、三時といっても午後の三時かと』

 「そうか......」

 予知において雨が降っておらず、日はまだ顔を出しているという点から『鷹』の狙っている時刻は15:00という事になる。

 それに明日の天気予報では天気は快晴で絶好の射殺日和だと言えるんじゃないだろうか?

 「そう言えば敵側の悪魔ってどんな奴なんですか?」

 気になっている事を質問する。

 「そうだな、相手は近接戦に特化している

 それと...、とにかく速い。速くて、それでいて常人以上の筋力を持っている

 その戦闘力は訓練された戦士のような強さだとでも言ってもいいぐらいだ

 それでも相手の能力がどういう物なのかは分からない」

 「私達は『鷹』に近付く所か、見付ける事も出来ず、本気を出してもいない彼女にあしらわれてしまった

 相手は強敵で、私達じゃ相手にならなかった」

 「まぁ、今回は斎藤君の出番はないと思うぞ」

 「それって、どういう......」

 「目には目を、歯には歯を、悪魔には悪魔だ」

 自信ありげに北上さんは言う。

 「それならそれで俺達の出番はない......とは思うがそれでも斎藤君の納得はいかねぇんだろうな」

 「悪魔って......、警察の中に」

 「ああ、いる...。実の所、ここ鬼上市に配属されたデビルホルダーがいるんだ」

 「先輩.........、私もそれ、初耳なんですが」

 金澤さんが眉を潜めて、北上さんに視線を向ける。

 「話してないからな。これは上からあんまり話すなって言われてるんだ

 情報漏洩で敵に気付かれても困るしな」

 「じゃあ、なんで今、話したんですか?」

 「斎藤君を少しは安心させる為だ。こっちにも敵対している敵に立ち向かえる秘密兵器ぐらいはあるぞってのを教えといた方が安心出来ると思ってな」

 俺と同じデビルホルダーが警察の中に?

 ソイツが戦力になってくれるのなら期待は出来る。だが、期待だけをしてても仕方がない。

 「そうであっても俺は気を緩める気はないですよ

 相手は確実にアイツを狙っているって分かった以上、頼るよりもアイツを守るのが第一なんで」

 そう、期待だけしてては何かを取りこぼすだけだ。

 「ピュー...、言ってくれるじゃねぇか」

 と口笛を吹いた。

◇◇◇◇

5月2日日曜日、10:00頃

 ゴールデンウィークの二日目は雨が降っていた。昨日の天気予報は晴れると言っていたというのに空は曇天で雨が朝から降っていた。

 「うん、ごめんね。それじゃあ、また明日」

 電話先の相手との会話を終えて、携帯電話を畳み、机の上に置いた。

 連絡相手は新谷君だ。彼とは今日、デートする予定だったのだが、これでは外を出る事が出来ない。

 それはとても残念で

 「はぁ」

 溜め息が出るような事だった。

 そう思い、ふと外を見るとそこには見知らぬ黒い車が停めてあった。

 その見知らぬ車はすでに昨日からあった。何故、そこにあるのかは私には分からない。

 その車は一度も微動だにせず、ずっとそこにある。

 中にいる人がどんな人なのか分からない。ちゃんと確認していない。

 不審者。

 決め付けるのは良くない。良くないけれど、こうも怪しい車が停めてあると怪しく思ってしまう。

 そう思ってしまうと何故だか、その車が気になってしまう。

 あの車はどんな人が乗っているのだろうか?どういう目的でそこにいるのだろうか?

 思考が勝手に働かされてしまう。

 「はぁ、仕方ない。今日はお掃除でもしようかな」

 車が気になったとしても、今日、何もしないのはもったいない。

◇◇◇◇

 5月2日日曜日、時刻3:00頃、日にちは変わってしまったものの、未だに空は暗いまんまだ。

 俺達がいるのは斎藤家だ。つまり、俺の実家である。

 とりあえず、ここに潜む事になった。他に身を隠せる所が他にない為にここを使う事となった。

 アイツの家は俺の家の隣であり、実の所、俺の部屋の窓を開けた先に彼女の部屋がそこにある。

 方角的にはどうやっても射殺は出来ない。この場において東から射撃するという事は不可能なのだ。彼女の部屋の東側は俺の部屋の窓側の向かい合わせなのだから。

 「今の所、銃声も聞こえなかったし、ガラスが割れるような音もしていない

 今の所、愛しの彼女は死んでないみたいだな」

 「北上さん、他にも殺されそうな人っていますか?」

 「それって俺への当て付けか?」

 「そういうんじゃなくて、アイツ以外に名前に青とか緑とかそういう関係の名前で狙われそうな人はいなかったか、聞いてるんですよ」

 「お前、一目惚れした相手しか興味がないんじゃなかったのか?」

 「.........俺は彼女が死ぬのが嫌なだけで、他の他人が興味がない訳じゃない

 ただ赤の他人がどうなろうが俺にとってどうでもいいだけですよ」

 「やっぱり、興味がないって事だろ」

 「はぁ......、めんどくさい

 ここ鬼上市には色が入った名前をよく思わない風習があるんですよ

 それが今もそういう思想みたいなのが続いているっていっても......今は緩みつつある

 それでも人の名前に色を入れる事をタブーみたいに今も意識している

 だから、色が入った名前の人はここら辺の地域にはあんまりいない筈なんですよ」

 「へぇー...、そうなのか?金澤、知ってたか?」

 「いえ、私も初耳です。そう言えば、狙われるかもしれない人物のリストは四人だけでした

 その四人のどれもが青と緑の字が入った人物です」

 「四人......

 その内の一人の中にアイツはちゃんと入ってるんだろうな」

 「ええ、彼女も名前の中に色が入っているからちゃんとマークしている筈よ」

 こういう事を知らないという事はこの二人は元々は外の人間なのだろう。

 気が付けば、俺は床に寝転がっており、毛布を掛けられていた。

 「......」

 天井をボケーっと見て、焦って起き上がる。

 「今は」

 「10時過ぎよ」

 俺の言おうとした事に対して、先回りして誰かが答えた。

 「彼女はまだ無事よ」

 答えた相手は金澤さんだった。

 窓の外を見ると、雨が降っているのが分かった。そう言えば、今日一日、晴れる筈なのだが......。もしかして、天気予報は外れた?

 「天気予報は見事に外れたわね」

 「これじゃあ、あちらさんも狙いづらいかもな」

 「ていうか、さっさと保護したら手っ取り早いじゃないのか?」

 そうすれば安心なんじゃないだろうか。手元に殺されるかもしれない相手を置いておけば狙いようがない筈。

 「それもそうなんだけどな......」

 「失敗したのよ。一回目は堂々と乗り込まれて、ターゲットを射殺

 二回目は警察署の中に潜まれて、ターゲットを射殺

 相手はどちらも厄介な手練れ。まるで手のひらの上で踊らされてるみたいで腹立たしいわ」

 「そんで四人目は色で指定されて、どこの誰が殺されるのか予想出来ずにお手上げだったって訳だ

 だから、寧ろ保護するよりは見張って見守っている方が効率がいいっていうのが上から指示だ」

 そういや、偲の予知では雨が降ってなかったよな?それじゃあ、今日じゃないのか?

 それでも殺人予告は届いている。てか、何であの交番に届いたんだ。他の交番にも届いてるのか?

 「まさか、罠じゃないだろうな」

 そういや偲の姿がない。今は霊体化してるだけで、ちゃんと待機でもしてるのだろうか?

 まぁ、呼べばちゃんと出てくるだろう。

 「罠ねぇ...。そんな真似をするような相手とは思えないけどな

 相手はイギリスでは有名な殺人鬼だ。話によれば、殺人予告を出した相手を必ず殺す

 どんなに離れてても、相手を観察して必ず仕留める

 相手はそういう人間だ」

 「いや、偲の予知と殺人予告の手紙と一致しないような気がして...」

 だから、その殺人予告が疑わしいのだ。

 そう思いながら、自分の部屋の壁に画鋲で止められているカレンダーに記されている五月二日を確認する。

 その五月二日の日にちを確認した後、見逃していた事に気が付いた。

 普段、祝日なんて気にしないせいで気付かなかっただけなのだが......。

 おそらく、『鷹』は今日、何もして来ない。

 この殺人予告はフェイクなのか、それともただ誰かのイタズラなのかは知らないけれど、今日も明日も『鷹』は犯行を及ばない。

 「確かにこのまんまだと、あのメイドさんの予知は外れてる事になるな」

 「分かりませんよ。もしかしたら、昼から晴れるかもしれないですし、油断は禁物ですよ

 それに斎藤君、これはあなたのワガママなんだからちゃんと責任を持ちなさい」

 結局、この日は何も起こらなかった。雨も一日中降り続いて、止む事はなかった。

 「責任はちゃんと持ちますよ。言い出しっぺがこんな所で諦めて帰っちゃ世話ないでしょ

 それと犯行に及ぶ日にちが分かりましたよ。これなら、雨が止みそうにない今日と偲の予知のずれてる理由と辻褄を合わせれる」

 「何だ?また推理か?まさか、みどりの日に犯行を及ぶとか言うんじゃないだろうな」

 「............そのまさかですよ。単純に日にちが違うだけ

 もしかしたら、この殺人予告は偽物かもしれない。だからって、油断なんてするつもりはない」

 「さっきまで寝てただろ、お前」

 「......」

 それを言われると、痛い。

 「斎藤君、一応理由を聞いてもいい?」

 「それなら、俺にも分かるぞ

 今回、狙われる『青』ってのは緑の事を差しているんだろ?

 日本でも緑の事を青いって言う事がある。それは青い海や青い空とかじゃなくて、青リンゴや青々とした緑だとかそういう意味で

 だから、みどりの日は奴が狙う決行の日だって事だろ?」

 「ご明察」

 ガチャンとガラスが割れる。ガラスを割った張本人は俺の言葉を先取りし、割ったガラスの窓から突如、入ってきた。

 入ってきたのは黒装束の何者かだった。黒の外套を身に纏っているせいで外見が分からない。だけれども、声からすると女だという事はすぐに判断できた。

 つまり、相手は

 「ご主人様の邪魔になる相手は排除すべし...

 ですので、お命頂戴致します」

 悪魔だ。その突如、現れた悪魔は両手に刀が握られた。その二刀は普通の日本刀より短く、それでも短刀より長い。

 そんな刃を持って、俺達に襲い掛かってきた。

 カキン

 金属が鳴った思うと、偲が相手の刃を受け止めていた。

 「あー......」

 二刀の彼女はもう片一方の空いた手で偲へと刀を刺しにかかる。

 それに対して、彼女は手元にあった刀を消失させて下に屈んで回避した。その回避した直後、偲は彼女の右に移動して消失させた刀を再び、出現させて突きを繰り出した。

 それを彼女は二刀の小太刀で受け止めるようにして、上へと受け流す。

 その出来た隙を空かさず、斬りかかる。

 それを彼女は空いた片手に拳銃を出現させて、銃口を彼女に向ける。

 バン、と放たれた弾丸は目の前の彼女の顔を掠り、外れてしまった。

 「参りました......。あなた、速いですね

 これじゃあ、本気を出さないといけませんね」

 彼女は殺意のある言葉で言い放つ。

 彼女は未だに特典を使っていない。本気というのはどんな手でも使って殺しにかかる、そういう事なのだろう。

 カキン

 またも彼女と刀を交える。その交えた刀は刀身が氷結していく。

 刀身が氷塊へ包まれていく様子は普通ならあり得ない事だった。だけれども、相手はあり得ざる悪魔である。

 そういう特典を持った悪魔なのだと、俺はすぐさま理解した。

 偲はその刀をすぐに手を離し、もう一方の片手に持っていた拳銃を発砲させた。

 しかしながら、その弾丸は貫通せずに終わる。彼女が狙ったのは相手の額だったのだが、その額は氷結し弾丸を氷が飲み込んでいた。

 氷結した氷はすぐ溶けて、蒸発し、弾丸が下へと落ちた。

 今回の敵は戦い慣れている。

 まずい。

 そう思った次の瞬間だった。

 「ご主人様?ですが......」

 それは誰かと話をしている風ではあるが、その相手はいなかった。

 隙を出来たのを見て、北上さんは腰に付けている拳銃に触れる。

 「分かりました

 悪運だけはお強いみたいですね。さようなら

 次は殺しますから、お覚悟を」

 彼女はそう言うと、その場から消失してしまった。

 偲は気が抜けたのか、その場から姿を消して、その場に俺と北上さんと金澤さんが残され、ガラスは割れたまま放置されてしまった。

 「金澤...、本部へ連絡だ...と言いたいが絶対に連絡するな」

 「分かりました。これも斎藤君の為ですね」

 「ああ、このまんま報告したら、コイツを監禁しなくちゃいけなる

 それに俺らも謹慎受けて動けなくなるからな

 とりあえず、樋山さんに連絡頼む」

 「はい」

 「北上さん......、俺、何にも出来なかった......

 自分の為だとか、言ってる割に何も出来なかった

 こんなんじゃ、掬い上げたい命も......」

 そう、俺は何も出来なかった。何も出来ず、偲が戦っている所を見ているだけしか出来なかった。

 相手は強敵だった。このままで勝てる相手だとは思えない。だけれど、俺に何が出来る。

 「それなら、考えればいいだろ

 お前が出来る事を考えろ。お前には守りたいものがあって、それがお前にとっての大義名分だ

 お前は正しい。だから、その物事を成す為にも考えろ

 それぐらいしろ。それだけはお前しか出来ない事だろ。それにこれはお前自身の事だからな」

 俺より年齢が上で人生の先輩であるこの男はそう諭すように俺に対して、そう言った。

 「......考える...」

 「ああ、そうだ。お前の無謀はお前が責任を持て。その責任は俺にもお前のメイドさんにも背負う事は出来ない

 お前が言った通り、ちゃんと責任を持てよ」

 「...」

 無力な俺は責任を背負う覚悟をしなくてはならないらしい。

 ならば、自分の為に、アイツの命を掬い上げる為に俺は覚悟を決めた。

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