どうしてこうなった
処女作です。
拙い所が多い作品だと思いますが、よかったら読んでください。
「はぁ……ないわぁ……」
開口一番そんなつぶやきと共にため息が漏れてしまうのは仕方がない事だと思います。
ため息の原因の説明の前に自己紹介を、皆さんはじめまして、ボクは水島 圭といいます。
ちょっと色素が薄いせいで茶髪風な黒髪に、平均よりちょーっと低い身長に、色白で中性的な顔のせいで女の子に間違われることもあるけど男の子です。
先日かなり厳し目だったけど猛勉強のすえ志望校に合格し、合格祝い&慰労もかねて友達達と丁度やっているお祭りに行こうって事になりました。
待ち合わせの場所の神社へ一緒に向かっているのが親友の上野 正。
家も隣で幼稚園から中学まで同じクラスになるほどの腐れ縁。
成績優秀、サッカー部のエースだったほど運動神経抜群で、高身長イケメン
っという絵に描いた様な高スペックな正、シネバイイノニ。
おっと、すみません。嫉妬が漏れました。
そんな神社へ向かっているところ
ボクの人生が180度変わる事件がおきたのです。
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「今日は晴れてよかったね」
「おー、そうだな! 圭の祝いも兼ねての久しぶりの集まりだから雨より晴れだよなっ」
普段より機嫌がいいのかファンの女子が一発でノックアウトしそうな笑顔で答える正。
昨日まで大雨が降っていて、雨の強さ次第では祭りの中止も検討されていたみたいです。
今日集まるメンバーは推薦組だったのにボクに気を使って集まって遊ぶなどしなかったみたいだから、中止にならずに本当に良かった。
「でも圭よく受かったよなぁ」
「あー、うん。頑張ったには頑張ったけど、…正直ボクも受かるとは思ってなかったんだよね」
「姫と一緒の高校に行きたいっていう、圭の愛の力かねぇ」
「…っ!」
正のからかいに一瞬で真っ赤になってしまうボク。
姫こと姫元 姫乃は、もう1人の幼馴染で小中とずっと同じクラスで、ボクの好きな人。
腰まで届くストレートロングで目元で切りそろえられた艶のある黒髪、つり目がちの大人びた顔で美少女というより美女といった感じ。
普段は凛としているのにたまに見せる不意に笑った顔はすっごい可愛くていつもその顔を見る度にボクは顔を赤くしてしまっています。
すぐ真っ赤になるので周りにはボクの好意はバレバレみたいだし、姫といる時にからかわれる事もあるのだけど。
姫本人には「圭ちゃんは昔からすぐに顔が赤くなるんですからね」っと、顔が赤くなりやすい体質と思っているみたいでボクの好意には気がついていないみたいです。
むしろ好きと気が付かれてたら困ります。
姫を追いかけて猛勉強して同じ高校へ行きたいほど好きだけど、好意に気が付かれて今の幼馴染としての距離感が崩れてしまったら目も当てられません。
「あはは。圭は本当にすぐ顔赤くなるねぇ」
「むー、わかってるならからかわないでよ!」
「ごめんごめん。おっ、今日の川ヤベーなっ」
真っ赤になった顔の熱を冷ます為に手で顔を仰ぎつつ、集合場所の神社へ向かう為に渡らなければいけない橋まで来て正の言葉で川へ視線を向けると。
普段は膝下くらいまでしかない水嵩で穏やかな流れなのですが、今日は流れはかなり急で水位もかなり高そうです。
そんな川を身を乗り出して眺めている正に
「そんなに身を乗り出して見てると落ちるよ?」
「大丈夫、大丈夫。落ちないって」
「落ちないって言いつつ、なんで手すりに足かけようとしてるの!?」
「え? そこに手すりがあるから?」
「登山家名言!?」
「あぶない!!!!!!!!!!!」
「へ?」
正といつものじゃれ合いをしていると、後ろから突如叫ばれた言葉に間の抜けた声を出して振り返ると目の前に大きな壁が。
あれ?壁?なんで橋の上に壁?……あー、これトラックだ。ふと運転席に目が行くと居眠りしてるおっちゃんの姿が見え、普段なら信じられないスピードで正をトラックに当たらないように突き飛ばした。
そして妙に冷静に。
『居眠り運転でボク轢かれるんだ』
『これ位置的に正には当たらなそうだね。良かった』
『何かいろいろ考えられるんだ。これが走馬灯?』
『これボク死ぬって事なのかな』
『死ぬ前に姫に会いたかったなぁ……』
ボクが好きだった姫の笑顔を思い浮かんだ時に、ドン!っと強い衝撃を受けてボクは吹き飛ばされた
「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「けーーーーーーーーーーい!」
「事故だ! 警察! 救急車!」
トラックにはねられ宙に舞い衝撃で意識が薄れていっている中、他人事の様に喧騒を聞き、悲壮な顔の正を見て無事な事に安堵し川に落ちた。
濁流に飲まれているのに苦しみはなく、一瞬橋の袂に驚きの表情ですごく悲しそうな顔をした姫が見えた気がし、姫には笑っててほしいなぁっと考えているところで意識が途絶えた。
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「っん、あれ? ここは……?」
ボクが目を覚まし意識が朦朧とするなか、周りを見回すとそこは何もない真っ白な空間が永遠に続いているような風景だった。
ふと、トラックに轢かれたはずなのに外傷がなく、川に落ちたはずなのに服が濡れていないことに気が付きおかしいと思っていると。
『起きたかのぉ』
「!?」
さっき見回した時には誰にいなかったのに後ろから声をかけられて驚いて振り返ると、そこには宙に浮いている人(?)がいた。
ボクと同じくらいの身長に、足の先まである長い金髪がふわりと浮いて、言葉では表すのも難しいほどの整った顔立ちの美少女が微笑んでいた。
何千年に1人のアイドルが土下座してもおかしくない美少女だった。
でも胸はなかった。
『あ゛?』
「ひっ」
鬼がいた。
『お主もないんじゃから失礼な事を考えるでない』
「あ、ごめんなさい。えっ、ボクもないって?」
『まぁええ、ワシは主らの言うところの神じゃ』
「……かみ……さま?」
神様って言うことはボクは死んじゃってここは天国みたいなところなのかな?
『あぁ、そうじゃ。厳密に言えば天国ではないのじゃがな』
「あれ、ボク喋ってました?」
『ワシクラスになると心で思った事もわかるのじゃ』
「そうなんですね。あっ、だからさっき胸『ギロッ』……なんでもありません」
『ウホン、あー本来人が死んでもココにはこないんじゃが。主が最後にした行動のおかげで上野正が死なずにすんだ礼がしたくてな。特別にココに呼び出してもらったのじゃ』
「え?」
『上野正は後々重要な役割がある人物なのじゃが、ちいとばかし厄介な奴に気が付かれてな、ワシが対応する前に手を打たれてのぉ。お主がいなかったら本当に危なかったのじゃ』
ボクが正の名前で困惑して戸惑っていると、神様はニヤリと笑いながら
『お主、異世界には興味はあるかのぉ?』
「い、異世界?」
『そうじゃ。お主の世界の書物には異世界物があるそうじゃないか』
確かに最近のライトノベルでは、異世界物の話があふれている。
ボクも結構好きでwebでいろんな話も読んだりしてるし書籍化されてwebと違う内容になっているものは購入したりしていました。
『本来死後は決まった場所へ行き、決まった時間を過ごさなければいけないのじゃが。偶然にもお主に似て波長のあった人物が死んでしまってのぉ。今ならワシの加護をつけてその者にお主を移し蘇生させる事ができるのじゃ』
「加護?」
『ワシの、神の加護じゃからかなり強力じゃぞ。特にワシは守りが得意じゃから毒や麻痺などの状態異常は効かないし、属性などの耐性も大幅にアップするぞ』
「属性っていう事は魔法があるのですか?」
『あるぞ。剣と魔法の世界じゃ! お主らにいうとなぜか喜ぶ所だとエルフや獣人などもいるぞ』
エルフ!?獣人!!?もふもふ!!!?
『ほほっ、反応は良さそうじゃな。今なら加護の他にも1つスキルを付けることも可能じゃのぉ』
「スキルってどんなものがあるのでしょうか?」
『不老不死とかは難しいが、お主らの書物で出てくるようなスキルは大抵はつけれるじゃろう』
うーん、加護の話を聞く限り防御関係のスキルはいらないだろうなぁ。そうすると攻撃系のスキルがいいのかな、いろんな魔法とか打ってみたら楽しそうだし。
「複数の魔法が使えるスキルとかはあるのでしょうか?」
『いろんな魔法っというと「想像」というスキルがオススメじゃのぉ。扱いは難しいが頭で思った事を魔法として再現できるスキルじゃ。スキルLVや想像度合いでは再現できない場合もあるがの』
この時は妙にハイになった気分で死んでしまったのなら仕方がないし、異世界や魔法の世界などその時のボクにはとても魅力な言葉に聞こえ異世界へ行くことを選んでしまった。
「神様! そのスキルで異世界へお願いします!」
『おおそうか。それでは異世界「パールヴァル」へ送ろう。フンッ!』
神様の掛け声と共にボクの身体が徐々に薄まっていく
『おぉ、そうじゃ。異世界先のお主の身体じゃが、今のお主と同じ貧乳だから安心するといいぞ』
イタズラが成功した子供のような笑顔を向けて神様はおっしゃったけど、男のボクに貧乳?そういえばボクと同じってさっきも?
『え?』
「……え?」
まさかボクを女の子と勘違いしてる!?
確かにはじめての人には間違えられることも多いけど、神様が性別間違えるっておかしくない!?
「かみさ…・・・」
性別を確認しようと声をかけている最中に僕の意識は途絶えてしまった。
『ハハハ……ワシ、やっちゃった?』
誰もいない何もない真っ白な空間に乾いた笑いが響いていた。
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森の中腹にある旅人が休憩の為に立ち寄る泉から少し離れた場所に。
腰まであるきめ細やかな猫の毛の様な銀髪、幼い感じの中性的な顔、小柄な体型の少女がよほどのショックがあったのか膝を付き跪き頭を垂れ、俗に言う失意体前屈の状態でいた。
そう、ボクである。
転生から目が覚め、神様に確認出来なかった事をすぐ確認する為に股間をさわった。
なかった。
ついでに胸もさわった。
なかった。
別に胸はいいよ……。
折角異世界転生したんだし沈んだ気持ちのままは駄目だよね。
魔法が使えるならまずは試してみようと思い。
RPGなどでよく見た画面を想像して「ステータスオープン」っと唱えると。
名前 ケイ・ミズシマ
性別 女性
備考 転生者
特技 想像LV1
女神の加護
名前や特技などが表示された半透明なウィンドが無事でたけど、性別がしっかりと女性となっており止めをさされた感じで再び失意体前屈の姿勢に。
「はぁ……ないわぁ……」
神様が性別間違うってないわぁ。
貧乳だったしアレ神様じゃなかったのかも?っと思っているとズガン!っと後方で爆音が鳴る。
恐る恐る振り返ると晴天なのに雷が落ちた後の様に木が燃えていた。
つーっ、冷や汗が落ちる。
……うん。神様を疑っちゃ駄目だよね。
「はぁ。これからどうしよっかな」
事故にあったり、転生したり、性別変わったりと1日でボクの人生変わりすぎたけど。
ど う し て こ う な っ た 。
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この後、爆音を聞きつけて来た王子達と一悶着があったせいで王子に付きまとわれたり。
魔法ではっちゃけすぎたせいで賢者と崇められ魔王討伐の任につけられたり。
勇者召喚で召喚された勇者と聖女が正と姫だったり。
っと、今日以上にどうしてこうなるって感じが続くけどそれは別の機会にでも。
2018/05/13 改行&文章修正しました。