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ぬる過ぎるわ!


「何か口上を述べることはあるのかしら?」


「い、いえ、その……ですが、これは陛下のご指示によりまして」


「たかが料理人の分際で、皇女に歯向かう気なのかしらね。あなた、いくつ?」


「22にございます。それが何か……」


「そう、22歳なのね。分かったわ……では、今からあなたは、22人分のスープを作って来なさい! 22通りの味、同じ温度、22通りのメニューでわたくしに提供しなさい! それが出来たら、あなたの腕を斬ることはしないわ。よろしくて?」


「か、かしこまりました! では、すぐに取り掛かります!」


「相変わらず可哀相な事を命じられるものだ。メルは人の心を何だと思っている?」


「あら、いたのね。えーと、確か2番目の……ビ、なんとかだったかしら?」


「トビだ。なぜお前はそこまで人に酷いことが出来る? 他国の皇女は決してここまで酷いことを言ったりはしないのだぞ? そこまで心を閉ざすのは何故なのか?」


「知った風な事を言うのね。たかが人。あなたも人よ? もちろん、わたくしは違うわ。タダの人ではないの! そんな特別なわたくしが人ごときに心を開くですって? 逆に問うわ。何故、開く必要がおありなのか、22秒以内にお答えなさい!」


「な、何で私も22が関係するのだ!?」


「ほら、あと5秒もなくってよ?」


「それが人間だからだ!」


「ふぅん? 答えになってないわね。罰として、あなたが22人分のスープを毒味なさい。一滴残らず飲み干すの。それが出来たら、あなたには何もしないわ。でも、そうね……全てのスープを飲み干した後に、お庭を全力で走ってもらおうかしら。うふふ……お花の肥料を口から与えてくれること間違いないなしね」


 ちょっとお下品ではあるけれど、お庭を全力でなんてそんなの無理に決まってるわ。やれるわけがないことを言った所でやりもしないだろうし、無駄ね。何もかもが無駄なのよ。


「メル。もし全てが出来たら、お前は私に何をしてくれる?」


「出来っこないわ。それでも、億が一にも出来て見せたら、あなた……従騎士その2の言うことを聞いてあげないことも無いわね。まぁ、せいぜいやってみることね。出来るはずもないことを妄想したところで、あなたは所詮その2のままなのだもの。ふふふふ……くだらなすぎて涙がこぼれてきそうだわ」


 そうして、あり得ないことを言ったわたしが大バカだということを後に知らされることになる。忘れていた。従騎士は普通の騎士よりも、覚悟が違うということを。とは言え、例え出来たとしてもわたしが素直に言うことを聞くと思ったらお間違い。


 そうでなければ何も面白くも無い。皇女が下民の騎士なんかに平伏すモノですか。全ての従騎士をわたしの前で平伏させてみせるわ。そうすれば、陛下に代わって皇女であるわたくしが国を支配出来るわ。


 想像しただけで笑いが止まりそうにないわね。全ての従騎士、全ての民が……わたしに平伏す姿。ふふふ……なんて愉快なのかしらね。望んでなどいなかったけれど、これならこれで最高かもしれないわね。

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