豪華な昼食
陽のあたる芝生の上で、所長はゴロリと寝転んでいた。
ダンゴ鼻がゴーゴー音をたてている。
栗まんじゅうが入っていたポケットはペチャンコになっている。みんな食べたのだ。
「所長、起きてください。お昼をゴチソウしてくれるんですって」
「なに、そうか」
ゴチソウと聞いて、所長がたちまち目をさます。
「よく眠っていましたね」
「バカタレ! 事件のことを、目をつぶって考えておったんだ」
「みなさん、確かなアリバイがありました」
「だからワシは、犯人は外部の者だと言ったではないか。そんなことよりメシだ」
所長にとっては、ゴチソウにありつくことがなにより優先されるのだ。
マサヨに導かれ、二人は広い食堂に通された。
食堂の中央に楕円形の大きなテーブルがあり、奥様はすでに自分の席につき、二人が来るのを待っていてくれた。
「所長さん、外では何かわかりました?」
「懸命に調査したんですが、残念ながら……」
所長がしらじらしくウソぶく。
それからすぐにマサヨが、スープの入った皿と野菜サラダの盛られた器を運んできた。
三人の前にそれぞれ料理を並べてゆく。
「遠慮なく召しあがってくださいね」
奥様がほほえんですすめる。
スープとサラダを目の前にして、公介はハタとこまってしまった。
ナイフやフォークなどの使い方がわからない。
――どうやるんだろう?
とまどいながらとなりを盗み見ると、所長が皿をつかんでスープを飲んでいた。まるでドンブリに入ったラーメンの汁をすすっているかのようだ。
料理は切れることなく運ばれてきた。
肉がある。
魚がある。
見たことのない料理もあった。
「ふむ、うまいな」
所長はガツガツ食べている。
公介も、わき目もふらずに食べていた。ぶ厚い肉にありつけるなど、これから先、いつあるともしれないのだ。
奥様は食欲がない。
メリーのことが心配なのか、料理のほとんどに手をつけていなかった。
「食べんのですか?」
所長が奥様の料理をねらう。
「よろしければ、どうぞ」
「では」
所長に遠慮はない。奥様の前の皿を引き寄せ、それも残さず食べてしまった。
食事が終ったところで……。
「お話があります。ここではまずいので、あとで私の部屋で……。公介さん、あのテープを持ってきてくれないかしら」
奥様が声をひそめて言った。