表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/22

作戦開始

 夕食後の応接室。

 所長たちは召し使いたちを待っていた。大事な話があると言って、奥様が応接室に全員を集めることにしていたのだ。

「いよいよ作戦開始ですね」

 公介は胸がワクワクしていた。

「うまくいくかしら?」

 奥様は不安そうである。

「いきますとも」

 所長はいつものように自信満々だ。


 まもなくして……。

 それぞれ仕事をすませた召し使いたちが、間をおくことなく応接室に集まってくる。

 修理工場から帰っていたゲンさんもあらわれて、召し使い全員が一堂にそろった。

 奥様がおもむろに口を開く。

「みなさん。昼にあったあの電話、じつは犯人からのものでした」

「なっ、なんですと! そんな大事なこと、どうして隠しておったんですか?」

 所長がおおげさにおどろいてみせる。

「話すと、メリーが殺されるんじゃないか、それが心配で。でも、もう時間がありません。それで本当のことを、みなさんに話した方がいいと思って」

「で、相手はなんと?」

「五千万円を渡すようにと。でなければメリーの命はないとも……」

「五千万円とはえらい大金ですな。それで素直に渡すつもりですか?」

「はい、メリーの命の方が大事ですので」

「相手はほかに何か?」

「明日の朝、お金の受け渡し場所を連絡すると言いました。ですからそれまでに、お金を準備しないといけませんの」

「そんな大金、いったいどうやって?」

「明日の朝一番、駅前の銀行で都合します。私のかわりに、それを所長さんに。銀行には電話で、そのことを私から伝えておきます。お金はすぐに用意してくれると思いますわ」

「ワシがその金を、受け渡し場所まで運ぶんですな」

「はい、よろしくお願いします」

「まかせてください」

 所長が大きくうなずく。

「銀行には、うちの車で行くといいですわ。お金の渡し場所がわかりしだい、所長さんにはすぐに連絡しますので」

「わかりました。ところで犯人のヤツ、まさか金だけ受け取って、メリーを返さないってことはないでしょうな」

「メリーはしゃべれません。返したって、どうということはないはずですわ。でも、もしメリーに何ごとかあれば、そのときは警察に」

「なるほど、それがいいですな」

「メリーがぶじに帰ってくるよう、みなさんも協力してくださいね。これで私の話はおしまいです。ごくろうさまでした」

 奥様はそう言うと、ソファーにぐったり身を沈めたのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ