表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/22

公介の推理

 証拠のひとつ、パチンコ玉のナゾは解けた。

 あとはもうひとつの証拠、万年筆だ。

――万年筆は連絡に使ったんだな。

 リョウコがメモ紙に伝言を書いて、それを塀の外に投げたにちがいない。で、あわてていたのだろう、そのあと万年筆を小屋のそばに落としたのだ。

――じゃあ、所長じゃなかったんだ。

 所長がくすねてポケットに入れ、犬小屋を調査したときに落とした。そうとばかり思っていたが、ここにきて思いちがいだったことがわかる。

――でも、なんで?

 ここで新たな疑問にぶつかる。

 奥様は、なぜ気づかなかったのだろうか。

 犬小屋は奥様の部屋の前にあるのだ。さらに、時々は庭の散歩だってするだろうから。

――マサヨだな。

 奥様は足止めされていたのだ。部屋でずっと、マサヨのおしゃべりにつき合わされて……。

 ただ、そのとき。

 リョウコは家の中で掃除をしていた。

 掃除機の音は奥様も聞いている。

――そうかあ。

 掃除機の音がしていたからといって、掃除をしていたとは限らないではないか。音を出すだけなら、スイッチさえ入れておけばいいのだ。

 だとしたら残るジュンコも怪しくなる。

 おそらく塀の外にはジュンコもいたのだろう。

――たしかジュンコは……。

 自分の家から通っていると言っていた。さらったメリーを自宅に連れていったにちがいない。

 公介はすっかり思いこんでいた。

 犯行のじゃまになるジュンコが、犯人に電話で呼び出されたのだと。だが自分から、メリーのそばを離れていたのだ。

 四人が役割を分担し、綿密な計画のもとに実行している。

 これには奥様もだまされるはずだ。

 次に犯人からの電話のことを考えた。

 声は女で、犯人から電話があったとき、四人は応接室にいた。

 では、だれが?

――そうだ!

 ゲンさんという人物を思いつく。

――あらかじめ録音しておけば……。

 電話では相手が一方的にしゃべったと、奥様はそう話していた。それがテープの声であれば、さらに納得できる。

 召し使い全員が協力してやったのだ。

 だが、これはあくまで推理である。万年筆やパチンコ玉だけでは確かな証拠とはならない。

――とにかく証拠を。

 公介は頭をフル回転し、確かな証拠をつかむ方法を考えたのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ