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もし普通(仮)の高校生が異世界で魔法を極めたら  作者: ぎるばあと
第一章 序・異世界ライフ
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4.念願の武器を手に入れたぞ

 

 「一番いいのを頼む」

 「いや、兄ちゃん一番いいのってもな……」

 

 サガの街でも有数の武器屋にて、七千ペルカを握りしめた俺と髭を蓄えたスキンヘッドの店主がカウンター越しに見つめ合っていた。


 「この店で一番安い銅の剣でも五万ペルカだよ。七千ペルカで買えるものといったら、使い捨ての矢ぐらいだぞ?」

 

 (まあ、それはそうか)


 日本円にして七千円程度で武器が買えるわけもないな、と冷静になった俺は踵を返して武器屋を出ようとする。


 「いわくつきの品を扱うジャンク屋なら七千ペルカで何か売ってくれるかもしれんぞ」

 

 去りゆく俺の背中におっさんの声が投げかけられる。


 なんて親切な店主だろう。

 

 何も購入せず、結果的に冷やかしに来ただけの俺に他の店まで紹介してくれるとは。

 さらに店主はジャンク屋の場所を懇切丁寧に教えてくれた。

 

 いつか金が貯まったらここに買いに来よう――密かにそう決意した俺は「ありがとう」と店主に一礼して店を後にするのであった。


 俺は店主に教えられた通りの道を進み、街外れにひっそりと存在する古びた建物を発見する。

 その建物から辛うじてぶら下がっていた看板には「じゃんく屋」と書かれていた。


 ここが件のジャンク屋で間違いないだろう。

 ただその店の顔とも言うべき入り口の扉には、巨大な髑髏が描かれていたのだった。

 

 (これ、商売する気あるのか?)


 一見して不吉な店である。

 

 (まあ武器屋のおっさんを信じるか)

 

 俺は意を決してジャンク屋の扉をくぐる。

 身構えていた俺を待ち受けていたのは、

 

 「らっしゃーい」

 

 少女のものと思われる、気だるげな声だった。


 「七千ペルカで買える武器はないか?」

 

 俺は目の前の、見た目が小学生くらいで眠たそうな眼をした少女に尋ねてみた。

 

 ものすごくやる気がなさそうだが、カウンターの奥に座っているので店員だろう。


 「お客さん貧乏だねー。そこの樽に突っ込まれている武器が一万ペルカ均一だけど、あんまり売れないから七千ペルカでいいよー」

 

 少女はそういって店の隅にある樽を指さした。

 

 そこには刃の欠けた剣や穂先の折れた槍、胴体が大きくへこんだ棍棒など、まさにジャンク品と呼ぶにふさわしい品々が揃っていた。

 

 俺は鑑定スキルを発動し、それらの品々を鑑定する。

 

 「お、これは・・・」

 「お客さん中々見る目あるねー。そいつはそこそこの業物だよー」

 「なんでこれがここにあるのかは・・・まあ見ての通りか」

 「うん、そだねー。いい素材を使っているのだけど、切れない剣はさすがに売れなくてねー。最初は二十万ペルカで売ってたけど、徐々に値下げして結局そこに突っ込んでるのー。素材代だけって考えたらかなりお値打ちだよー」

 「よし、買った」

 「まいどー」

 

 最初が二十万ペルカと聞くと、なんとなくお得な買い物をした気分がする。

 小学生位に見える少女だが、実は結構商売上手なのかもしれない。

 

 何はともあれ俺は念願の武器を手に入れ、喜色満面の笑みで店を後にしたのだった。


 俺が買った武器の名前はグローリーソード。

 

 おそらく相当にレベルの高い鑑定スキルでないとこの剣の真価はわからないのだろう。

 なんと「素質」のスキルがついたスキル付の武器である。

 

 ただし刃が付いていない。

 剣の形に加工されただけの金属の塊である。

 

 特徴として鍔の部分に小さな魔石が埋め込まれており、相当特殊な加工技術で製作された剣だと思われる。

 

 俺の持つ「素質」スキルと剣のスキルで効果が重複するかはわからないが、なんにせよ七千ペルカで買って損するものでないことだけは確かだった。

 

 そして俺が一文無しになったことも確かな現実である。

 

 現実に戻った俺は食費と宿代を稼ぐため、ギルドへと舞い戻るのだった。


 俺はギルドで再度スライム討伐依頼を受諾し、ダンジョンへと籠る。

 

 ダンジョンの第一層に到着したリュウジは、新調した剣でひたすらスライムを・・・いたのだった。


 「スライムを倒してきた」

 「あ、リュウジさんお帰りなさい」

 

 本日二度目の対応ということで、ギルド受付のお姉さんに名前を覚えてもらえたようだ。

 

 「換金を頼めるかな?」

 

 そういって俺は持っていた荷物袋からスライムの魔石を取り出し、ギルド受付のカウンター上に置く。

 

 「お、多いですね。そして明らかにその袋には収まらない量だと思いますが……。まあ余計なことを詮索しないのがギルド員の務めですので、粛々と査定をさせていただきますね」

 「助かる」

 

 この袋はマジックアイテムで見た目以上に物を入れる事が出来る――訳ではなく、俺のオリジナル魔法である空間魔法で、袋の中に広大なスペースを作り出しているのだった。

 

 空間魔法はあまり公にしたくないが、かなり使い勝手の良い魔法である。

 

 そこで比較的ポピュラーなマジックアイテムである魔法の袋という形を模して、空間魔法の存在を秘匿しているのであった。

 

 「お待たせいたしました。今日は二度目ですので、スライム討伐の依頼報酬は出ません。魔石の方は五十個で五万ペルカですが、この金額でよろしいでしょうか?」

 「大丈夫だ、問題ない」

 

 (一時間もせずに五万か、なんてボロい商売なんだ)

 

 日本の金銭感覚で考えると大儲けである。

 リュウジは思わぬ大金の獲得に、笑いが止まらないのであった。


 「あ、あとこの街でオススメの宿ってどこ?しばらく滞在したいのだけど」

 「それでしたら鶴亀亭がオススメですよ。温泉もありますし」

 

 風呂好き日本人の俺は迷わず宿をそこに決める。

 

 ギルドで教えてもらった道を進み、鶴亀亭へとたどり着く。

 食事付で一泊5千ペルカということで、とりあえず10日間予約することにした。

 

 (また一文無しになったけど、まあいくらでも稼げそうだからいいか)

 

 久しぶりの師匠以外との会話や、その他の事務手続きなどで疲れていたのだろう。

 夕食を食べて温泉に浸かったリュウジは、部屋のベッドに横になるとすぐに眠りに落ちていくのだった。



 人族:轟 龍二

 HP:126/126

 MP:4096/4096

 腕力:D

 敏捷:A

 体力:C

 知力:S

 運 :C


 スキル

 剣技  F 

 火魔法 S

 水魔法 S

 風魔法 S

 土魔法 S

 光魔法 S

 鑑定  S

 不屈  S

 素質

 ???


 武器

 グローリーソード(B:素質)


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