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第1話 始まりのきっかけ

 はじめまして。新米小説書き、風井明日香と申します。

 肩書きにある通り、新米小説家です。

 小説に関しては書くよりも読む派、たけのこよりきのこ派な私ですので、どうか生温かい目で読んで頂けたらと思います。


 それではどうぞ。


 窓から差し込む朝日によって目が覚める。

 少し前に止めたと思われる目覚まし時計は、短針がちょうど七と八の間を指していた。


「やばっ……」


 俺はそう呟くと急いでベッドを出て仕度を始めた。


 * * *


「あら、おはよう。浩介」


 一階に降りダイニングルームに入ると、台所にいる母さんが話しかけてきた。


 俺の家は四人家族で俺と両親、そして二つ下の妹がいる。

 父さんは建築業で、母さんが家事全般をこなしている。

 家族仲もそこそこ良く、これまで特に大きな事件もなく過ごせてきた。


「ん、おはよう……」


 俺はあくびを噛み締めつつ、母さんにそう返す。

 食卓の椅子に座り、用意されていた朝食に向け手を合わせ「いただきます」と呟き朝食を食べ始める。

 母さんはそんな俺を見て少し微笑むと、ふと思い出したかのように訪ねてきた。


「そういえば浩介、高校はどう?」


「高校? んー、まあ普通に楽しいよ」


 俺の通う菊花高校は、県内で中の上ほどの偏差値の学校。

 俺はその一年生で一週間前に入学したばかりだ。

 昔から人付き合いは苦手なほうでもなかったので、クラスで孤立などということはなく毎日過ごせている。


「そう。ならよかったわ」


 母さんはそう言って、嬉しそうに微笑んだ。


「おはよー、ふわぁ……」


 その後も母さんと他愛もない話をしていると、妹が起きてきた。

 こいつの名前はすみれ。今年、中学二年になった。

 中学生ながら結構しっかりしていて、よく母さんの手伝いをしている。


「おはよう、すみれ」


 俺がそう言うとすみれは眠そうに「うん……おはよー」と応え朝食を食べはじめた。

 すみれを見るついでにふと時計を見ると、そろそろ学校に行かないとまずい時間だった。

 俺は急いで残りの朝食を掻きこみ、家を出た。


 菊花高校は家から徒歩で十五分ほどの近場にある。

 通学路の途中にはゲーセンや本屋、コンビニなど暇潰しには持ってこいの施設が建ち並んでいるので、下校時はよく友達と立ち寄ったりする。

 俺はそのコンビニでミルクココアを買い、それを飲みながら学校に向かった。


 * * *


「おはー、浩介」


 教室に入って席に座ると、後ろから声を掛けられた。

 そいつは俺の前を通りすぎ前の席に座ると、俺のほうに振り向いた。


 こいつの名前は松下真人(まつした まさと)。小学校からの付き合いで、俺の親友でもある。


 ちなみに俺の席は最後列の窓側から二列目にある。その一つ前が真人の席だ。

 後ろのほうで真人の席も近いし、当分席替えは必要ない。


 真人は少し高めのテンションで話しかけてきた。


「浩介、昨日お前に貸したラノベってどのくらい読んだ?」


「ああ、あれね。もう読みきったよ。はい、これ」


 そう言って俺は鞄からそのラノベを差し出す。

 真人はそれを受け取りながら少し驚いた表情で、


「浩介って意外と読むの早いのな」


「そう? まあ沢山読んでるからね」


 というか意外とって何だろう。

 周りから見ると俺、文字に弱そうなイメージなのだろうか。まったく、失礼な話だ。……まあ実際文系は得意じゃないけどね!

 読書は好きなんだけどなあ……。


「そういえば、浩介はこのラノベだと誰推し?」


 真人が先ほどのラノベを見せながら言ってくる。

 俺は少し考えると、自慢気に言う。


「俺はやっぱり由美ちゃんかな」


 それを聞いた真人は、何故か半分呆れたような顔をする。


「本当にやっぱりだな……」


 真人はそう言いながらラノベの最初の数ページに目を向ける。

 そして由美ちゃんが描いてあるページを見てため息をつくと。


「また眼鏡っ娘かよ……」


 そう、真人が見るページに描いてある少女は眼鏡を掛けていた。

 そして真人が言う『また』の意味、それは……。


「やっぱり眼鏡っ娘って最高だよね!」


「知らねえよ!」


 真人がキレ気味にツっこんでくる。


 今までの会話から予想はつくと思うが、俺と真人はいわゆる『オタク』というやつだ。

 そして俺は、二次元では極度の眼鏡っ娘好きである。

 別に眼鏡っ娘でなければ愛せない、というわけではないが、まあ単純に好みの問題だ。


 そのあと、真人に眼鏡っ娘について熱弁してやろうと言ったのだがあからさまに嫌そうな顔をされたので渋々止めた。

 仕方なく他の話題で盛り上がっていると、教室に担任の香苗先生が入ってきた。


 彼女の名前は香苗由利(かなえ ゆり)。年は二十四才と若く、話しやすいと人気のある先生らしい。


「はーい、皆座ってよー」


 香苗先生がそう言うと、クラスの面々は友達との会話を中断し席に座り始めた。


 今日のSHRは、挨拶と香苗先生の一言二言で解散になったが、俺は香苗先生に呼ばれた。

 あれー、俺なんか悪いことしたかなー。と思いつつ香苗先生のもとへ行くが、どうやら説教ではなさそうだった。


「杉浦、今日の放課後用事ある?」


「まあ特に予定はありませんが、なんでですか?」


「実はね、私図書館の担当なんだけど、今人手が足りてないのよ。一年生の図書委員の子が一人いるんだけど、さすがに一人じゃ大変らしくてね」


 ふむ、なるほど。まあ十中八九それを手伝ってほしいという話だろう。

 しかし、まだ入学してから一週間なのに委員会の活動をしている人がいるのか。少し尊敬してしまう。


「分かりました、手伝いますよ」


「本当? 話が早いじゃない! じゃあ今日の放課後からお願いするわね」


 香苗先生はそう言うと、手をひらひら振りながら教室を出ていった。


「何の話だったんだ?」


 席に戻ろうとすると近くに来ていた真人に話しかけられる。


「いや、ちょっと頼み事されただけ」


「そうか。よし、じゃあさっさと理科室行こうぜ」


 そう言って真人が俺の教科書や筆箱を渡してくる。

 そうか、次は移動教室なのか。香苗先生と話しているのを見て、早く理科室に行くために教科書類を持ってきてくれたのだろう。


「サンキュ、後でジュースでも奢るよ」


 俺はそう言ってその教科書類を受けとる。


「いや、ジュースなんていらねえよ。俺と浩介の仲だろ?」


 なんて心の広い奴だろう。思わず尊敬の眼差しを送る。

 それを受けた真人はニヤっと笑う。


「そう、俺とお前の仲だ。ジュースなんて安っぽいもの要らねえよ。てことで昼飯のパン奢ってくれ。今日財布忘れちまってよ」




 前言撤回。

 お読み頂きありがとうございます。


 知っての通り、この作品は私の処女作になります。

 したがって、誤字脱字などがあるかもしれません。そんな時は感想欄にて報告して頂けると幸いです。


 ちなみに、次話でようやくヒロインが登場します。前フリが長くて申し訳ない! 初登場の異性がママってどういうこっちゃ!


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