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第18話 俺の親友は変態

 こんにちは。夜更かし万歳系小説家、風井明日香です。

 この話を予約投稿した日付は、夏休み終了直後なのですが、夏休み中に生活習慣が乱れすぎてやばいです。夜更かしはするもんじゃないね。今この前書き書いてる時間、深夜の一時半ですけど。


「ん? ああ、さっき愛美がそう呼んでたから。それに、杉浦くんの話は愛美から毎日のように聞いているし」




「「え?」」


 その何気無い長谷川さんの言葉を受け、俺と佐倉さんは、二人して完全に思考と体が硬直する。


 数秒経ち、思考の硬直がとけてから、あらためて考える。

 長谷川さんが、佐倉さんから毎日のように俺の話を聞いている? それはつまり、毎日佐倉さんが俺の話をしているという訳で……。


 え?


 少し考えても、最初と同じ反応になってしまった。

 い、いや、あれだよな? 図書委員の手伝いをしてくれる親切な人がいるんだよーみたいな超世間話的なやつだよな? そう、そうに違いない。変な勘違いはするもんじゃないぞ。

 そう自分に言い聞かせ、勝手に納得する。


 よし、これで万事解決と顔を上げると、そこに佐倉さんと長谷川さんはいなかった。

 あれ? と思い、辺りを見渡すと、少し離れた所でこそこそと話している二人の姿があった。

 さすがに話の内容は聞き取れなかったが、佐倉さんが照れているような、慌てているような、そんな表情で長谷川さんに何か伝えていることはわかった。


 しばらくすると佐倉さんたちが戻ってきた。


「どうかしたの?」


 いきなり席を外したことが少し気になって、佐倉さんに聞いてみたが、慌てた様子で「な、なんでもないよ!」と言われた。

 特に深く追及せずに「そっか」と引き下がる。


 長谷川さんは相変わらず無表情で感情が読み取りにくかったが、なんとなく面倒くさそうな表情をしている……気がする。


 感情がすぐに顔に出てしまう佐倉さん……いや、それがいいところでもあるのだが。それと比べると、なかなか表情が顔に出ない長谷川さんは、性格が正反対にみえる。


 どこかで、性格が正反対の人同士のほうが仲良くなれると耳にした覚えがあるのだが、この二人を見ているとあながち間違っていない気がしてくる。


 だとすると、俺と真人も性格が正反対ってことか? 真人の性格は……変態? そうすると俺は変態じゃないということになりますね。うん、おっけー。俺、変態じゃない。大丈夫。


「おーい、浩介ー……ん?」


 噂をすれば、コミック売り場を見に行っていた変態……間違えた真人が帰ってきた。

 真人は俺の隣にやって来ると、俺の前にいた二人に目を向ける。


「えぇっと。お二人さんは?」


 しかし、すぐ俺のほうに目を向け直し、問いかけてくる。


「あ、うん。さっきばったり出会ってさ。ちょっと話してたんだ」


「こんにちは、松下くん。松下くんも一緒だったんだね」


 俺の後に続くように佐倉さんが真人に話しかける。

 真人は佐倉さんに軽く挨拶しつつ「なるほど」と納得するも、長谷川さんのほうを向いて再度首を傾げた。


 ああ、真人も長谷川さんとは初対面か。

 長谷川さんの紹介をしないと──


「長谷川さんは佐倉さんと一緒だったのか?」


 しれっと真人が長谷川さんに尋ねる。

 その瞬間、この場にいた真人以外の三人が真人の顔を凝視する。


 当の真人は「え、なに?」と困惑した面持ち。

 俺が代表として、おずおずと尋ねる。


「え、えっと。真人は長谷川と知り合いなの?」


 とは言うものの、長谷川さんは先程から真人に、俺の時のように「誰この人」とも言いたげな視線を……。あ! あれ違う! 変態を見る目だ!

 長谷川さんは半歩下がり、腕で少し体を抱きつつ、真人に冷ややかな視線を送っている。


 俺の質問を受けた真人は長谷川さんの凍えるような視線に見向きもせず、さも当然のことかのように衝撃の発言を放った。


「んー……ああ、いや。俺一年生の女子、ほぼ全員の顔と名前把握してるから」


 その瞬間、長谷川さんがもう一歩後(あと)ずさった。

 うん、やっぱり真人くんは変態だったようです。


 長谷川さんはさっきより殺気に満ちた視線を真人に送り、佐倉さんは、引くことはなかったが、苦笑いしている。


 さすがの真人も、この女子二人の視線に少しはびびるだろうと真人のほうを見るが、この変態は誇らしげな顔で意気揚々といい放つ。


「ふっふっふ。俺の頭には菊花高校一年生のかわいい女子、そのすべてがインプットされているのだよ!」


 これには俺と佐倉さんも一歩後ずさった。長谷川さんにいたっては携帯を取り出し「いち、いち、ぜろ……」と呟きながら携帯の番号をぽちぽちと……って! それあかんやつ!


 それに気付いた佐倉さんが、なんとか長谷川さんを説得して警察沙汰は免れた。


 真人は、そんなことには目もくれず自信満々に胸を張っている。俺、こんな変態の親友です、はい。まあ良いところもあるんだけどね。変態だけど。


 真人が変態を晒す一方で、長谷川さんを説得し終えた佐倉さんは、何か長谷川さんから耳打ちされていて「え!? 本気!?」と赤面しながら驚いている。……何話してるんだろう。


 そして耳打ちが終わると、佐倉さんが少し頬を紅潮させながら話しかけてきた。


「あ、あのさっ。よかったらお買い物、四人で一緒に回らない……?」


「えっ?」


 佐倉さんから発せられた言葉に一瞬耳を疑う。佐倉さんと一緒に買い物……? なにそれすごい楽しそう。

 だけど、どうしていきなりそんなこと……。さっきの長谷川さんの耳打ちのせい?


 そんなことを考え、佐倉さんの後ろにいる長谷川に少し視線を向けると、長谷川さんがこちらに向けて、無表情のまま小さく親指を立てた。

 うん。よく分からないけど、長谷川さんナイス!


「う、うん! もちろん俺は大丈夫だけど。真人は?」


「ああ、俺も問題ないぞ」


「よしっ! 決まりだね!」


 嬉しそうに佐倉さんが微笑む。ほんとにこの笑顔にはいつも癒される。


 こうして俺と真人、佐倉さん、長谷川さんで一緒にマレラを回ることになった。

 “さっき”より“殺気”に満ちた視線www はい、すみません。


 毎週日曜0時更新中! 次話≫9月24日

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