7歳の少女の、ヴァネットとシフル。
幼女にう○○とか言わせてしまった。
反省はしていない。彼女は野生児なのだ。
何度もタオルは木に引っかかりそうになりましたが、タオルは止まりませんでした。
「んぐっ! はぁはぁ……! ぐうう!」
弱音を吐かず、1度も立ち止まらず、ヴァネットは必死にタオルを追いかけました。
もう、どのくらい走り続けたのかも分かりません。
やがて足元が走りやすくなって、何度かしてから、タオルがゆっくりと下に降りてきました。
右にいって、左にいって……タオルは振り子のように動きまわりながら、ゆらゆらと空から降ってきます。
ヴァネットの身長では、まだまだ届きません。
けれども、ヴァネットはもう待てませんでした。
「んっ!」
1度目のジャンプでは、まだ届きません。
「んんっ!」
2度目のジャンプで、手先がタオルに触れました。
「やった!」
3度目のジャンプで、ヴァネットは、ようやくタオルを取ることができました。
「やった! やった!」
ヴァネットは大はしゃぎです。
タオルをぎゅーっと抱きしめて、にっこりと笑います。
だけど周りを見て、ヴァネットは不安に駆られました。
「あれ……?」
そこは、見たことのないモノでいっぱいでした。
(ここ、どこだろう……?)
そこは不思議な場所でした。
木でも草でも、岩でもない。
だけど固くて、四角くて、冷たくて、ニジマルウサギのうんこに似た色……茶色の石が、綺麗に積まれている場所でした。
右、左、後ろ……ヴァネットの身長20人分ほどの高さで、その四角いなにかは積まれています。
よく見れば、地面にもそれがびっしりと敷かれていました。
「なにこれ? うんこ? くんくん……」
ニオイを嗅いでみますが、どうやらニジマルウサギのうんこではありません。
なんのニオイもしないのです。
触ってみると、やっぱりヒンヤリとしていて、硬いだけ。
少しだけ表面がザラザラしていますが、ヴァネットには未知の物体でした。
「なんだろうコレ? なんだろう?」
面白くなってきたぞ!
ヴァネットは初めて触れるソレにワクワクしながら、すぐ後ろのカベにも、手や頬をこすりつけました。
と、その壁の一角。
ヴァネットの足元の地面が、ボロボロと崩れ始めました。
ヴァネットはライオンに教わった動きで、咄嗟に飛び退きました。
「え? えっ? なに!?」
「まけたか……って、んあ!? だ、誰だよお前……って、子供かよ! ……ふー。焦った焦った」
地面の穴から出てきたのは、小さな女の子。
ちょうど背丈は、7歳のヴァネットと同じほどでした。