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私の立場と香坂兄弟。
屋上から下を見れば喧嘩が起こっている。
思わず笑みがこぼれる。
今日もいつもと変わらず、退屈しないですみそうだ。
「今日も面白ーっくなっりそう♪」
「東雲さんおはようございます!」
「はよ。」
一応私はこの狼牙高校のトップなのだそうで、声をかけられることは多い。
「よーう、シノ!今日もお偉いさん頑張れよー?」
「うるさい香坂。いっぺん死んでこい。」
「シノはこえーなぁははははははは」
うっざい。
この茶髪の学ランを少し着崩した男、香坂大和はその細い体躯に合わず名の知れたヤンキーである。
ついでに言えば私の腐れ縁の男でもある。
「ワカ、おはよう。」
「…ああ、総次さん。おはよう。」
そして香坂以上にヤンキーという言葉が似合わない男。
学ランを着てはいないが校則に違反することはなく、黒髪に、いつも笑顔を浮かべている。
頭脳明晰で、教師からの人望も厚い優等生と言うやつだ。
それが香坂総次。香坂の兄である。
ひとつ上の三年生で何故かNo.3。
そして恐ろしさで言えば間違いなくNo.1であろう男だ。
とりあえず私はさん付けをしている。
一応先輩だし。