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13.~雨の日の過ごし方~


 しとしとと雨粒が葉っぱをたたく音がする。

 ここ数日ずっと雨だ。洗濯物を外に出せなくて困るな。


「あめー」

「雨ですねぇ」

「雨だなぁ」

「今日も外に出れないね~」


 慈雨の時期に入った。

 俺の住んでいる国は日本に似た気候で四季がある。

 しかし四季の理由は四季精霊の覇権争いというファンタジーな理由だ。

 そしてこっちの世界でも春から夏になる前に雨が降る。前世では梅雨と言われていたが、こちらの世界では『春の慈雨』と呼ばれている。でも、そんな呼ばれ方をしているが、実際は春軍が夏軍に負けたことによる悔し涙が雨になるんだとか。


 ……毎年のことなのに負けるのがそんなに悔しいのか。


 ちなみに、冬から春になるときに嵐があるのは、春軍が冬軍に勝ったことによる宴を雲上でやっていて躍り狂って騒いでいるからだそうだ。


 ……大丈夫か春軍。どんだけ嬉しいんだ。


 なので今雨が降っているのは春軍が負けたために悔し泣きしているのである。

 まぁ、ここで雨が降らないと水不足に困る地域もあるからな。存分に泣いてくれ。


 今日も一日雨だろう。

 さて、子供たちと今日は何をするかな。



***



 午後、自由時間になったけど外は雨なのでみんな居間にいた。

 俺は椅子に座って縫い物をしている。これから夏になるので子供たちの夏服を色ちがいで縫っているのだ。デザインも一人一人ちょっとずつ変えてある。力作だ。

 ちくちく縫いながら子供たちを見てみると、それぞれ好きなことをして過ごしている。



 ウィルとカルマはお互いの翼をお手入れしていた。雨が降ると湿気のせいで調子が悪くなるそうだ。特にウィルは翼が三対六翼もあるのでお手入れも一苦労だ。

 ウィルは普通にお手入れをしてあげていたけど、カルマはキャラ作りのためか「フフフ。悪魔たるワタシに天族の翼を任せてもよろしいのですか? 後悔しますよ」とか言いながらやっている。でも、言葉だけでお手入れは丁寧にやっているのでウィルの翼はツヤツヤのサラサラになっていた。


「カルマ、翼のお手入れありがとうね~」

「いえ、お互い様ですよ」


 ウィルはにっこり笑ってお礼を言い、カルマは胡散臭い笑顔を浮かべながら言葉を返す。


 ……うん。ツッコんだら負けかな。



 シエルは家の図書室から持ってきた本を読んでいる。ちらりと見えた題名は『ひきこもり竜とぐーたら猫の冒険』と書いてあった。


 ……シエルとベルのご先祖ですか?って感じの題名だな。てか冒険に出なさそうな組み合わせだよ。冒険するの?


 俺は読んだことがないので内容はわからないが、シエルは黒い瞳をキラキラさせながら読んでいる。題名からは想像もできないが、熱い冒険モノなんだろうか……。ちょっと気になる。

 シエルが読み終わったら貸してもらおうかな。



 エアとジーク、ティノとフィオは絵本を四人で読みながらごっこ遊びをしていた。


「おーほほほ。ここはお前みたいな庶民がくるところではないのよ!」


 なりきっているのか、ジークが口元に手を当てながら高笑いをする。ジークは高貴な雰囲気があるから、そういう仕草をするととてもよく似合う。

 エアが手に持っていたハンカチを噛んでギリギリしていた。芸が細かいな。


「くっ、悔しい。わたしに力があれば!」

「「アタシたちの魔法で力を貸してあげるよっ♪」」


 エアが庶民の女の子役(?)で、ティノとフィオが魔女(?)の役らしい。

 ……なんでその絵本をチョイスしたんだ。さっきから女の子ばっかりじゃないか。

 だが本人たちは楽しそうだ。ならいいのか。

 ついジッと見てしまったからか、エアとジークがこちらを見て駆け寄ってきた。


「レンもやるー?」

「えっと、あとはね、お姫さま役かいじわるな継母役が空いてるよ。レン、お姫さまやる?」

「……あぁいや、俺は縫い物があるから。また今度なー」


 ジッと見ていたのをまざりたいと解釈したのか、エアとジークが笑顔で俺もまざるか訊いてきた。だが、すまない。俺は今とても忙しい。手に持っている縫い途中のものを見せたら、二人はあっさりと引き下がってくれた。


「うん、わかったっ! 次は一緒にやろうね!」

「そっか、残念だなぁ。次は一緒にやろうね?」

「あぁ……ははは」


 中断させちゃってゴメンな。でも、できれば次は男の子が出てくる絵本にしてほしい。



 ベルは俺が椅子に座ったときから膝の上で丸まって寝てる。縫い物が一段落ついたので、針を置いてさらさらの毛を撫でた。するとベルが薄目を開けて気持ちよさそうに「ニャー……」と鳴いた。


 ……あー、癒されるな。


 ベルの身体が大きくなったことで膝に程よい重さがかかる。子猫のときのベルも超絶可愛かったが、力加減に気を遣っていたので今の身体の大きさがちょうどいい。全力で愛でられるので助かっている。


「ニャー」

「ん?」


 考え事をしていたら、もっと撫でろというようにベルが手のひらに頭を擦り付けてきた。


 ……はいはい。いま撫でますよ~。


 このあと、ベルが満足するまで撫でてあげた。

 うん。雨の日も悪くないな。


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