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第986話 「テオドラの復活⑪」

愛読者の皆様!


『魔法女子学園の助っ人教師』最新刊第3巻が発売中です。

ぜひお手に取って頂ければと思います。

幸せ笑顔のジョゼフィーヌとオレリーの表紙が目印です。

※店頭にない場合は恐縮ですが、書店様にお問合せ下さい。

書籍版をまだお読みではない方は、第1巻と2巻ともども宜しくお願い致します。

「わ!」


 吃驚して、テオドラが叫ぶ。

 それは、突然の出来事であった。

 冒険者ギルド内に、巨大な魔力を持つ者が現れたのだ。

 

 テオドラの機体である戦闘用自動人形(オートマタ)の仕様には、優れた索敵能力が含まれており、その能力が危険を知らせて来たのである。

 

 そもそも、テオドラの戦闘能力は高い。

 さすがにルウだけには完敗したが、大抵の者には、脅威さえ感じない。

 当然だが、危険のない身内に関しても警報は発令しない。


 だが、自分を脅かすくらいの強者や、常人ならざる者で敵や正体不明とみなした相手には激しく反応するのだ。


「どうした、テオドラ?」


 不思議そうに見つめるウッラに対し、テオドラはもどかしそうに言う。

 ……ウッラは半魔ダンピールである。

 並みの人間より遥かに優れた戦士であり、敵の気配を察知する事にも長けている筈なのだ。

 なのに、この怖ろしい脅威を感じないとは……

 

「な、何言ってるんですか!!!」


 大声で叫ぶ、テオドラ。

 「この怖ろしい気配をウッラは感じないのか?」と、もどかしそうである。

 そうなのだ。

 この大きな『危険』の前ではカッコなど付けていられない。

 形振り構ってなど、いられない。


「何って、何が?」


 ウッラは、何故か慌てない。

 だが、テオドラは血相を変える。

 新たな情報が心に伝わって来た。

 この気配は……絶対、人間ではない。


「もう! ウッラさん、貴女にはこの魔力が分からないのですかっ! とんでもない奴が、このギルドに来ていますよっ!」

  

「ん? ああ、この気配か……確かに凄いな。まあ私はそんなに魔力感知には優れていないが」


 ウッラは『存在』自体は探知しているようである。

 だが、やはり慌てない。

 相変わらず、のんびりしたウッラに対し、テオドラは苛立ちを隠さない。


「な! 何故、そんなに落ち着いてっ! ミンミ様っ!」


 テオドラは縋るような眼差しを、今度はミンミへ向けるが……


「ふむ……あいつめ、またもいきなり来たようだ。事前連絡をしろと、何度言っても聞かぬ」


 こちらも、ただ苦笑するミンミ。

 どうやら『存在』は彼女の知り合いのようである。

 そして、


「丁度良い、ウッラ、テオドラ。すぐ部屋を出ず、少し待機してくれるか」


「はい!」


 どうやら、ミンミとウッラは分かっているようだ。

 現れた者の正体を。


「???」


 一方、テオドラは不思議であった。

 ここまで大きな魔力を持つ者はそういない。


 主のルウは別格として、人外でも稀だ。

 自分は勿論の事、目の前に居るミンミより遥かに巨大な魔力波《オーラ》を放出している。

 そうでなければ、テオドラはこんなに慌てたりしない。


 もっと不可解なのは、ミンミとウッラの反応だ……

 全然動じていない。


 一体、誰なのであろう?

 テオドラは心当たりを考えてみる。

 ……ルウに付き従う精神体《アストラル》であった時は、知っていたような気がする。

 だが……いくら考えても、思い出そうとしてもはっきりしない。

 テオドラの記憶は、相変わらず曖昧であった。


 そうしている間にも『存在』は近付いて来る。

 テオドラは密かに魔力を上げて行く。

 いつでも戦闘モードに、切り替えられるようにと。


 まもなく……


 どんっ!


 はっきりした大きなノックが、たった一回だけ鳴った。

 いかにも、性格を表すような叩き方だ。


「おう!」


 短か過ぎるノックに対し、これまた短く叫んだミンミ。

 ミンミの返事に応えるよう、扉がバン! と思いっきり勢いよく開かれる。


 扉の開いた廊下には、苦笑したサブマスター、ピエレット・ラファランが立っていた。

 そして、もうひとりの人物……

 逞しい体躯の、戦士が立っていた。


 そもそもマスターへの取次ぎの際は、サブマスターが案内し、専用とする部屋の扉も開ける。


 しかし扉を開けたのは、客?である筈の戦士であった。

 それも女戦士だ。

 男の戦士顔負けの獰猛な気配を身にまとっている。


 警戒と興味が混在する複雑な気持ちから、テオドラはつい、まじまじと女戦士の事を見てしまった。

 彼女が、あの巨大な魔力の持ち主なのである。


 女戦士は、鍛え抜いた逞しい身体をしていた。

 しかし、ただむやみに鍛えただけではないのは、体躯が均整の取れたバランスの良い筋肉の付き方をしているのでも分かる。

 また伸びやかな四肢を見ても、秘めたるバネが凄まじい事も容易に想像出来るのだ。


 野生的な風貌の美しい女である。

 思い切り短く刈った金髪は、実用第一という趣き。

 切れ長の眼を持ち、鼻筋が「すっ」と通った涼し気な顔立ちである。

 革鎧を押し上げる巨大な胸がなければ、まるで凛々しい少年のようであった。


 肉食獣のようにきらめく、黄金色《アンバー》の瞳から放たれた視線が、ミンミを鋭く射る。

 自分に向けられた視線ではないのに、テオドラは「ぞわっ」と、寒気を感じる。

 

 あまりにも怖ろしくて、テオドラはつい俯いてしまったのであった。

いつもお読み頂き、ありがとうございます。

東導の別作品もお願いします。


☆『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』新パート連載中!


https://ncode.syosetu.com/n4411ea/


※『魔法女子学園の助っ人教師』とは微妙に違う

ヴァレンタイン王国における、のんびりスローライフな田舎ワールドです。


故郷に帰りたかった青年が謎の死を遂げ、15歳の少年になって異世界転生! 

バトルは少々ありますが、基本は田舎の村で美少女達とスローライフ。

畑を耕したり、狩りをしたり、魚を釣ったり、結婚した美少女達と日本の昔遊びなど。

スローライフ最中、自らの転生の謎を解き、様々な人々と、出会い&別れを繰り返す。

結果、逞しい『ふるさと勇者』へと成長して行く話です。


☆『隠れ勇者と押しかけエルフ』


https://ncode.syosetu.com/n2876dv/


深き深き地下世界で……

怖ろしい悪魔王により、父と一族全員を殺されたダークエルフの姫エリン。

穢されそうになったエリンを、圧倒的な力で助けたのは謎の魔法使いダンであった。


※両作品とも本日2月23日朝、更新予定です。

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