第976話 「特別閑話 シルフの祝福」
いよいよ明日25日!
『魔法女子学園の助っ人教師』第3巻
発売日です。
もしかしたら、もう店頭にあるかも?
1月23日から、書籍版発売日の1月25日までの3日間、
発売記念の特別閑話をお送り致します。
本日は第2弾です。
活動報告にカバーイラスト、口絵、モノクロイラスト等数点アップしております。
ぜひご覧下さい。
何卒宜しくお願い致します。
ここは、ヴァレンタイン王立魔法女子学園キャンパス……
ジョゼフィーヌは、2年C組7人の生徒と共に、ルウの特別授業を受けていた。
……この特別授業とは、はっきり言って補習である。
本来、ジョゼフィーヌは補習を受ける必要はない。
何故なら、彼女は召喚魔法の基礎課題をクリアしていたから、次のステップへ進むべきなのである。
別棟の祭儀教室で行っている、フランの正規授業を受けるべきなのだ。
しかしジョゼフィーヌは、愛するルウから離れたくない。
一途な想いが漸く叶い、ルウに受け入れて貰ったから。
そして父ジェラールから、結婚の了承も得た。
となれば、恋する幸せ絶頂の女子として、相手の傍にずっと居たいと思う気持ちになるのは当然の事であった。
無理を言って、補習を受けるジョゼフィーヌであったが……
今日の授業は精霊との距離を縮めて、魔力を高めやすくする訓練である。
ルウによれば、精霊が好む言霊、そして品物があるという。
ジョゼフィーヌはルウの言葉を絶対に聞き逃さないよう、集中して聞いていた。
ルウによれば、ジョゼフィーヌの魔法属性である『風』の言霊は創造、品物は剣であるという。
授業を聞きながら、ジョゼフィーヌは以前読んだ魔導書を思い出していた。
創造とは創造界……すなわち大天使が支配する世界、風の属性の領域である。
剣とは武器の象徴であり、攻撃する道具ではあるが、同時に己を守るという概念も持つ。
ルウの指示は属性に基づき、言霊を詠唱し、品物をイメージするようにというものだった。
他の生徒達は、ルウの指示を受けると思い思いの方角へ散って行った。
しかしジョゼフィーヌは、当然ルウの傍に座ると、すぐに詠唱を始めた。
更に先ほど思い起こした『剣』のイメージを心に浮かべたのである。
ジョゼフィーヌの魔法使いとしての素養は非常に高い。
既に、風の精霊の加護も受けている。
これからやるトレーニングも、上手く行く予感はあった。
ぴゅ!
いきなり爽やかな風が、ジョゼフィーヌを包む。
やはり!
来てくれた。
ジョゼフィーヌは、風の精霊の気配を感じる。
ふと見れば……
腰までの長い金髪に碧眼、鼻筋が通った端麗な顔、細身の身体にまとっているのは透明な布の衣……
いつのまにか美しい少女――シルフが、ジョゼフィーヌの傍に浮いていたのだ。
一般的にシルフは、きまぐれで我が儘な精霊だと言われていた。
以前、級友からまるでジョゼフィーヌと同じ性格だと言われた事がある。
その時は、むきになって反論した。
属性こそ風であれ、自分は絶対にシルフとは違うと……
だが、今なら受け入れられる。
ジョゼフィーヌは、いわば風の申し子………
風の魔法使いになる為に、この世に生を受けたのだと実感しているから……
精霊魔法に覚醒したジョゼフィーヌは、何度もシルフと意思の交歓を行った。
ただ残念な事に、精霊は言葉を発してはくれなかった。
ほのかな好意という、淡い感情を示してくれるだけだ。
しかし!
『おめでとう!』
いきなり、祝福の感情がジョゼフィーヌの魂に響く。
初めて聞く、シルフの意思。
けして具体的な言葉ではない。
だが、ジョゼフィーヌに対する、はっきりした意思の表示であった。
『おめでとう』というシルフの感情には、僅かな羨望も含まれていた。
……シルフは、ルウの愛を得たジョゼフィーヌの事が羨ましいのだ。
ジョゼフィーヌは、わずかに頬を染めながら……
申し訳ないという気持ちを籠め、『ありがとう』と返していたのであった。
いつもお読み頂き、ありがとうございます。
東導の別作品もお願いします。
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※『魔法女子学園の助っ人教師』とは微妙に違う
ヴァレンタイン王国における、のんびりスローライフな田舎ワールドです。
故郷に帰りたかった青年が謎の死を遂げ、15歳の少年になって異世界転生!
バトルは少々ありますが、基本は田舎の村で美少女達とスローライフ。
畑を耕したり、狩りをしたり、魚を釣ったり、結婚した美少女達と日本の昔遊びなど。
スローライフ最中、自らの転生の謎を解き、様々な人々と、出会い&別れを繰り返す。
結果、逞しい『ふるさと勇者』へと成長して行く話です。
本日1月24日朝更新予定です。




